介護福祉士実務者研修について解説|受講科目が免除される条件とは?
介護職にはさまざまな資格があり、制度も変化しています。これから資格を取りたいがどんな資格を取ればいいのかわからない方や、過去に取得した資格や受けた研修が役に立つのかを不安に感じている方もいるかもしれません。
今回取り上げるのは、介護福祉士実務者研修。どのような内容で、過去に取得した資格との差異はどのようなものなのかをお伝えします。一部科目免除の条件や費用の免除についても紹介するので、介護分野での転職やキャリアアップを目指す方は参考にしてみてください。
介護福祉士実務者研修とは?
ここでは、介護福祉士実務者研修について詳しく解説していきます。
旧ホームヘルパー1級にあたる資格
介護福祉士実務者研修とは、「ホームヘルパー1級」および「介護職員基礎研修」を受け継ぐ資格で、2013年に創設されました。より実践的で高度な介護サービスを提供することを目指します。
介護福祉士実務者研修についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
介護福祉士実務者研修とは? 取得するメリットや初任者研修との違いを解説 | MORE REJOB
受講資格
介護福祉士実務者研修の受講資格は特になく、学歴や経験不要で誰でも受けられます。初任者研修の上級資格ですが、初任者研修取得は必須ではありません。そのため、未経験者から実際の介護現場で働いている人まで幅広い層が受講しています。
受講内容|450時間のカリキュラム
無資格の場合、20科目のカリキュラムで450時間の受講が必要なため、取得までに約半年間かかります。内容は介護の基本にくわえ、認知症の理解などの知識です。
なお、旧ホームヘルパー1・2・3級、旧介護職員基礎研修、介護職員初任者研修の修了者であれば、受講科目が一部免除されます。
費用の相場
介護福祉士実務者研修を受講する際の費用相場はどれくらいなのでしょうか。保有資格によって金額が大きく変わりますが、
・旧介護職員基礎研修取得者:3~5万円
・旧ホームヘルパー1・2級所持者:7~12万円
・無資格者:9~15万円
程度を目安にしてください。
受講費用の免除策ものちほど紹介します。
受講科目が免除される条件とは?
前章で触れたように、介護福祉士実務者研修は、保有資格によって一部の受験科目が免除されます。どんな場合に免除が受けられるのか、以下で主な資格と条件を紹介します。
1. 介護職員初任者研修
介護職員初任者研修を修了している場合は、「生活支援技術Ⅰ・Ⅱ」「介護過程Ⅰ」など9つの科目が免除され、320時間の受講でOKです。
なお、介護職員初任者研修の資格内容については、以下の記事で詳しく解説しています。
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)はどんな資格なの?|取得するメリットを紹介! | MORE REJOB
2. ホームヘルパー1級
つづいて、旧ホームヘルパー1級を持っている場合は多くの科目が免除され、受けるのは「介護過程Ⅲ」と「医療的ケア」の2つのみ。受講時間数は免除がないときに比べて大幅に少なく、わずか95時間です。
3. ホームヘルパー2級
旧ホームヘルパー2級を持っている場合は、「介護の基本Ⅰ・Ⅱ」など8つの科目が免除されます。受講時間は、介護職員初任者研修を持っている場合と同じく320時間です。
4. ホームヘルパー3級
ホームヘルパー3級を持っている場合は、「人間の尊厳と自立」「社会の理解Ⅰ」など3つの科目が免除され、受講時間は420時間必要です。
5. 介護職員基礎研修
介護職員基礎研修を受けている場合、法改正後に新たに加わった「医療的ケア(喀痰吸引等研修)」以外の科目は免除されます。
なお、医療的ケアは、50時間という規定の受講時間のほか、別途演習が必要です。演習内容は下記のとおりです。
【喀痰吸引(各5回以上)】
・口腔
・鼻腔
・気管カニューレ内部
【経管栄養(各5回以上)】
・胃ろうまたは腸ろう
・経鼻経管栄養
医療ケアが追加されたのは、医師や看護師しか実施できない業務ながらも、現場では求められる作業を介護士が実施することで、対応の幅を増やすためです。
学んでいれば無条件で処置できるわけではなく、認定された登録事業者において医師や看護師の連携が必要となります。しかし、対応できる介護士は転職で有利になりますし、手当てとして給料のアップも望めるでしょう。
なお、450時間の学習は、介護職員基礎研修修了証明書を提出すれば免除されます。過去に修了している方が現在の制度に合わせて介護福祉士実務者研修を修了するにあたり、再度長い期間学ぶ手間はかかりません。
また、2016年度からは、介護職員基礎研修を修了していて実務経験も3年以上あり、喀痰吸引などの研修も修了している場合には、実技試験も免除されるようになりました。
受講費用が免除される条件とは?
介護福祉士実務者研修の資格を取りたくても、人によっては受講費用がネックになることもあるかもしれません。そこで、費用が免除される可能性のある制度について紹介します。
ただし、都道府県によって内容が異なる可能性があるので、利用したい場合は必ず自分の自治体の内容をチェックしましょう。
受講資金貸付制度とは
介護福祉士実務者研修には、「受講資金貸付制度」が用意されています。費用を貸してもらえるだけでなく、所定の条件を満たせば、返済が免除されるという制度です。
条件には、
・その都道府県に住んでいる
・その都道府県の養成学校や施設に所属している
・その都道府県の介護施設に勤務している
などがあります。
東京都の「実務者研修施設在学者向け修学資金貸付事業」を例に挙げて解説すると、介護等の業務に3年以上従事した人が、貸し付け金を利用して都内で介護福祉士実務者研修を終えたのち、都内で介護福祉士として2年働くと返還義務がなくなるという内容です。
なお、東京都の場合、金額は20万円以内と規定されています。
実務者研修のおすすめスクール&講座を紹介!
介護福祉士実務者研修に一本化されたことで、キャリアアップするための学習方法が多様化されました。続いては、学べるスクールからおすすめの講座をご紹介します。転職や再就職、キャリアアップなどで介護職員基礎研修修了者が介護福祉士実務者研修の修了を目指す方は講座を活用してみてはいかがでしょうか。
ニチイ|ニチイの介護福祉士実務者研修
学習タイプ:通学+通信
受講料金:57,627円(税込み)〜
受講期間:1カ月(介護職員基礎研修修了者)〜
運営会社:株式会社ニチイ学館
自社で運営する介護事業所が1,800以上もあり、教室は各地域合わせて300カ所以上の規模であるニチイ学館の講座です。医療や介護の求人情報サイトも運営しているため、介護に関連したノウハウを豊富にもっている企業であることがわかります。時期によっては受講料が安くなるキャンペーンも開催しており、費用を抑えたい方に向いている講座です。
三幸福祉カレッジ|介護福祉士実務者研修
学習タイプ:自宅学習+通学講習
受講料金:40,700円(税込み、介護職員基礎研修の場合)
受講期間:1.5カ月〜
運営会社:株式会社日本教育クリエイト
介護福祉士実務者研修を修了した生徒は合計で10万人を超えている講座で、自宅にて自分のスケジュールに合わせて進められます。介護の現場で活躍してきた、または現役で活躍する講師が、はじめての方に対してもペースを合わせて教えてくれるので安心です。
介護福祉士受験対策講座とセットで受講すると割引になるプランなどもあるため、事前にしっかり対策をしておきたい方に向いています。
カイゴジョブアカデミー|介護福祉士実務者研修
学習タイプ:自宅学習+スクーリング
受講料金:関東33,000円(税込み、介護職員基礎研修の場合)
受講期間:2カ月+2〜8日(平均)
運営会社:株式会社エス・エム・エス
介護系求人サイトと連携している介護スクールです。提携している事業所に就職すると、受講料が無料になる特待生の支援制度を用意しています。キャリアアップしたいけれど費用の捻出が厳しいと感じている方、転職を検討している方にぴったりです。受講の振替も電話でかんたんにできるのも魅力で、スクーリング時に家庭の都合などでスケジュール調整が必要な方も受けやすくなっています。
介護福祉士実務者研修は保有資格によって受講科目に免除あり!
介護福祉士実務者研修は、より高度な介護サービスを提供できる資格であることがわかりました。すでに保有している資格によって受講科目に免除があり、条件に合えば費用の面でもサポートが受けられます。まだ取得していない方は、ぜひ挑戦してみてください。
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実務者研修の受講のための負担軽減策