患者さんに質の高い生活を送っていただくために日々勉強 介護リレーインタビュー Vol.10 【理学療法士・野田祐太郎さん】#2
介護・医療業界における職種や仕事内容について詳しくご紹介するべく、実際に現場で働く方々にインタビューする連載企画。
患者さんに日常生活を難なく送っていただくために、リハビリテーションを実施する理学療法士のお仕事をしている野田祐太郎さんにインタビュー。前編では訪問看護の理学療法士に転職するきっかけや実際に働いて感じられたやりがいなどのお話をお聞きしました。後編では苦労したことや、それを乗り越えるために行なってきたことを伺います。
《プロフィール》
野田祐太郎さん…高校卒業後は専門学校で理学療法士の資格を取得。卒業後は東京都内の病院で回復期の患者さんにリハビリテーションを行なう理学療法士として勤務。6年勤めた後、1社経由し、6年後現在の「株式会社トータルライフケア」に訪問看護の理学療法士に。
訪問看護・理学療法士のやりがい
患者さんについての議論を交わすことが楽しいです。
―野田さんが仕事をしていて「一番楽しい」と感じることはどんなことですか?
仕事に関する新たな気づきがある時間が楽しいです。中でもケアマネジャーさんや、看護師さん、医師、ヘルパーさんと患者さんがどうやったら質の高い生活を送れるかについて話し合うと新たな気づきに触れることが出来、楽しさを感じることがあります。
―リハビリテーション中に感じたことは?
本や医師から得た手技を患者さんに実施し、効果が出た時です。例えばこりや痛みの軽減に効果があるという筋膜リリースという手技を習い、実際に患者さんに実施してみて「こりの痛みが良くなったわ」というお声をいただいた時は手技を取得出来たと、僕自身のスキルアップを感じることが出来ます。
訪問看護の理学療法士の苦労
教科書で学んだこと以上に現場での経験が重要になってくる!
―仕事をしていく中で苦労もありますよね…。
『理学療法士あるある』ですが、教科書で学んだこと以上に現場での経験を求められることです。患者さんの症状から推測される病因は複数あることが多いので、教科書から学んだ知識だけでは本当の病因を見極めるのがすごく難しいです。
特に働き始めの頃は、この壁によくぶつかりました。実際に病因を見極めることが出来ず、リハビリテーションをしても患者さんがよくならないことがあり、「学校で習ったことなのに何故良くならないのか」と思うこともありましたね。
―どのようにしてその壁を乗り越えましたか?
先輩スタッフに聞いて知見を広げていきました。「あの患者さんはこういう病を持っているから、リハビリテーションをするならこれが良い」、「野田さんは偏った見方があるから、別の視点を持った方が良い」など、さまざまなアドバイスをもらい、そこから学びました。他には看護師さんやヘルパーさんなど、他職種の方々にも意見を聞いて、病因を見極める精度をより高めていくなど、努力しました。
休日の過ごし方
娘、息子と遊んで疲れを吹っ飛ばします!
―仕事で溜まった疲れをどうリフレッシュしていますか?
4歳の娘と1歳の息子を連れて、公園で遊ぶことです。家の近くに公園があり、そこに設えられているアスレチックで子供たちとはしゃぐように遊んでリフレッシュしています。
今後の目標
コミュニケーションツールを活用してより円滑に情報共有出来る環境にしたい!
―仕事を円滑に進めるために、何か考えていることはありますか?
チャットツールを利用してほしいですね。1人の患者さんにあたる上で看護師さんや医師など、さまざまな業種の方々とチームを組むので連携が大切になります。患者さんのコンディションは良い日もあれば悪い日もあり、たまたま訪問したら悪い日だった場合、スピーディに対応する必要もあります。
現状の連絡手段は患者さんのセキュリティ面を考慮して電話やファックスといった方法が主流で、看護師さんや医師に患者さんの様子を連絡したいのですが、忙しくて連絡がつかないことも。翌日やっとつながるといったこともあるんですよ。この場合は一刻も早く連絡を取りたいので、リアルタイムで情報を共有するツールやシステムを利用していくことに重要性を感じています。
―野田さんご自身が感じられている課題や目標は?
僕自身は手技やリハビリテーションの質を上げることです。スキルをもう少し高めて、患者さんが少しでもよくなるように、貢献出来るようになることが自分の目標だと思っています。加えて、ケアマネジャーさんや看護師さんなど多くの職種の方々と関わる機会もあるので、理学療法士の視点で「こういうケースはこうした方が良いよ」と、アドバイスがどんどん出来るようになっていきたいですね。
この2つの目標を持って、患者さんにとっても住みやすい環境作りに協力していきたいと思っています。
【訪問看護の理学療法士のここが魅力!】
1.患者の方が良くなるとやりがいを感じられる
2.新たな手技を取得したら成長を感じられる
3.他の職種の方との関りから学びを得ることが出来る
【編集後記】
退院後の患者さんに寄り添い、自宅でリハビリテーションを行なうのが訪問看護の理学療法士。異変があると1人で対処しなければならず苦労もありますが、その分大きなやりがいに繋がるんですね。自分自身のスキルアップとして他の職種の方ともコミュニケーションを図ることも大事だと勉強になりました。
▽前編はこちら▽
患者さんの「調子が良くなった!」という声がやりがいに 介護リレーインタビュー Vol.10 【理学療法士・野田祐太郎さん】#1>>
取材・文/井上桂佑(レ・キャトル)