患者さんの「調子が良くなった!」という声がやりがいに 介護リレーインタビュー Vol.10 【理学療法士・野田祐太郎さん】#1
介護・医療業界における職種や仕事内容について詳しくご紹介するべく、実際に現場で働く方々にインタビューする連載企画。
今回は訪問看護事業を展開している「株式会社トータルライフケア」で理学療法士として働いている野田祐太郎さんにインタビュー。前編では訪問看護の理学療法士に転職するきっかけ、実際に働いて感じるやりがいなどのお話をご紹介。後編では苦労したこと、それを乗り越えるために行なったことを伺いました。
《プロフィール》
野田祐太郎さん…高校卒業後は専門学校で理学療法士の資格を取得。卒業後は東京都内の病院で回復期の患者さんにリハビリテーションを行なう理学療法士として勤務。6年勤めた後、1社経由し、6年後現在の「株式会社トータルライフケア」に訪問看護の理学療法士に。
介護業界に入ったきっかけ
怪我をした方の支えになるために!
―まずは、介護業界に入ったきっかけから教えてください。
高校生の頃に部活で膝を怪我してしまい、病院でリハビリテーションを受けたのがきっかけです。手術後、部活へ復帰出来るか不安でしたが、担当の理学療法士さんから熱心に励ましていただけたのが凄く心の支えになりました。その時に僕も人の役に立てる仕事に就きたいと思い、理学療法士の資格が取れる専門学校に進学しました。
卒業後は東京都内の病院へ回復期の患者さんにリハビリテーションを行なう理学療法士として就職しました。
―その病院での業務はどのようなものだったのですか?
半年間の期間を設けて、患者さんに低下した分の筋力アップを図るリハビリテーションを実施していました。ただ、退院した患者さんが日常生活を送っている途中、転ぶなどで怪我をして、再び入院するというケースもありました。それを受けて、退院後の怪我の予防をするポジションに就きたいと思い、「株式会社トータルライフケア」の訪問看護の理学療法士に転職をしました。
訪問看護の理学療法士の仕事内容
1日に7件、患者さんのご自宅に訪問しリハビリテーションを行ないます。
《ある一日の流れ》
―訪問看護の理学療法士とはどんな仕事ですか?
ケアマネジャーさんから依頼された患者さんのご自宅に訪問して約1時間のリハビリテーションを行ないます。僕の場合は1日7件ほど訪問し、それぞれの患者さんについて医師からリハビリテーションの大まかな指示をいただいた上で、患者さんの評価を基に適切なリハビリテーションを自分で考えて実施します。
患者さんの体調が悪くなることもあるので、そうなったら他の職種の方へ連絡を行なう必要がある場合もあります。デイサービスのヘルパーさんや、介護士さんなど、さまざまな職種の方々と1つのチームとなって動くため、上手く連携を取ることも大切になってきます。
―リハビリテーションを行なうためのコツは?
患者さんを観察する力が必要になってくると思います。病院だと患者さんの体調が急激に悪くなった時、医師や看護師さんが近くにいるので「具合が悪くてリハビリ出来ないのですが、どうしたら良いですか」とすぐに聞くことが出来ます。ですが、訪問看護は1人で対処する必要があります。
少しでも体調悪化を未然に防ぐため、リハビリテーションをしている時に患者さんの体調に常に気を配り、悪そうだと感じたらその日のリハビリテーションを止めるといった判断が重要になってきますね。判断力の精度を高めるために、患者さんの様子を観察し、調子が悪くなっているサインを見つけ、場合によっては看護師さんに報告するといった気遣いも大切だと感じています。
訪問看護のリハビリテーションの魅力
患者さんの調子が良くなったらやりがいを感じます。
―どんな時にやりがいを感じますか?
リハビリテーションを実施して、患者さんの体の調子が良くなったり、ちゃんと歩けるようになったという言葉をいただいたりした時に、やりがいを感じますね。
今まで一番印象的だったのは脳卒中の患者さんが回復した出来事です。患者さんは回復期の病院で6カ月間入院していて、脳卒中で麻痺があり歩けませんでした。脳卒中は6カ月間経っても治らなければ回復は見込めないと言われていましたし…。
それでも回復を信じてリハビリテーションを続けていると徐々に効果がでていき、ついには装具と装具用の靴が無くても歩けるようになったんです! 自分が気に入った靴を履いて喜んでいる姿に、喜びとやりがいを感じましたね。
―素敵なお話ですね。ご自身の成長を感じる部分はありますか?
的確な提案が出来るようになったことですね。患者さんの歩行をサポートする杖や歩行器、サイドカーなどの歩行補助具について患者さんやケアマネジャーさんなどから相談されることが多いんです。現場の経験が浅かった頃は、何度も提案して患者さんに合うものを探しながら時間をかけていました。経験を重ねていくうちに、状況に適した歩行補助具を1回で提案出来るようになったので、やりがいを感じられますね。
患者さんの様子を観察し、体調が悪そうだと思ったら無理にリハビリテーションを続けないという判断も理学療法士のお仕事には必要になってくるのですね。次回は、野田さんに働いていて楽しかったことや苦労したことなど、理学療法士の魅力をさらにお聞きします。
▽後編はこちら▽
患者さんに質の高い生活を送っていただくために日々勉強 介護リレーインタビュー Vol.10 【理学療法士・野田祐太郎さん】#2>>
取材・文/井上桂佑(レ・キャトル)