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特集・コラム 2021-06-07

訪問介護と定期巡回の違いとは? 主な違いについて解説|定期巡回のヘルパーは需要アリ?

今回は、訪問介護と定期巡回・随時対応型訪問介護看護について、その違いや求人情報など、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の事業所で働いてみたい人に役立つ情報をご紹介します。

訪問介護と定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、どちらも介護保険サービスの一類型で訪問介護という言葉が共通しますが、提供するサービス内容をはじめ細かい点で違いがあります。あらかじめ両者の違いを知っておくことで、実際勤務した際「思っていた仕事と違う」ということがないようにしておきましょう。

訪問介護と定期巡回・随時対応型訪問介護看護はどこが違うの?

訪問介護と定期巡回・随時対応型訪問介護看護はいずれも、利用者宅を訪問してサービスを提供するものですが、さまざまな点で違いがあります。

具体的にどんな点が違うのか、仕事の内容を比較しながら解説していきましょう。以下、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は「定期巡回」と表記します。

訪問介護とは|利用者の自宅へ訪問して生活援助などをおこなう

訪問介護は、ホームヘルパーの資格を有する訪問介護員が利用者宅を訪問し、食事や排泄などの身体介護、掃除や調理などの生活援助、通院時の外出移動サポートなどをおこないます。サービスを通じ、利用者が自立した日常生活の支援をおこなうのです。

定期巡回とは|利用者の自宅へ随時訪問してケアをおこなう

定期巡回は、2012年4月から開始された介護保険サービスです。内容としては、定期的に利用者宅を巡回しサービスを提供する定期巡回サービスに加え、必要に応じて随時サービスを提供する随時対応サービスがあります。

定期巡回サービスの内容は、生活援助や服薬介助など訪問介護と同様のものです。随時対応サービスでは、利用者の体調悪化などの緊急時における状況確認などをおこなうことができます。

定期巡回の事業所には一体型と連携型の2種類があり、ひとつの事業所で定期巡回と訪問看護を一緒に提供するところを「一体型」といい、定期巡回の事業所と訪問看護の事業所が連携してサービス提供するところを「連携型」というのが特徴です。

訪問介護と定期巡回の違いとは?

訪問介護と定期巡回は、利用者宅を訪問して介護サービスを提供するという点が共通していますが、いくつか大きな違いがあるのです。

比較的新しいサービスである定期巡回の視点から、その違いを見ていきます。利用者が訪問介護と定期巡回の両方を同時に受けることはできないため、サービスを提供する立場のヘルパーとしても、その違いをきちんと理解しておきましょう。

利用時間|定期巡回は1日24時間、夜間もアリ

訪問介護と定期巡回では、サービス利用時間が異なります。訪問介護では、あらかじめ作成したケアプランにしたがい、サービスの内容や利用時間を決めて利用する形になりますが、訪問介護の介護報酬はサービス内容や時間により決まっており、「身体介護30分」「生活援助60分」などという設定になります。

一方、定期巡回のサービス利用時間は、定期巡回・臨時対応型訪問介護という正式名称のとおり、実態に応じ臨機応変に変えることが可能です。介護報酬は提供時間やサービス内容にかかわらず、一定となります。

基本的には定期巡回等計画書にもとづきサービスを提供しますが、短時間の訪問を1日複数回提供できるという点が訪問介護とは異なる部分です。そのため、利用者の生活時間に合わせたサービス提供が可能となります。

訪問介護と定期巡回最大の違いとしては、随時対応の可否がある点でしょう。早朝、夜間を問わず訪問介護員や看護師が24時間対応することが可能なため、緊急事態や利用者の急な要望などの状況に合わせたサービスを提供できます。

サービスの利用条件|定期巡回は地域密着型

サービスの利用条件も訪問介護と定期巡回の違いで、定期巡回は地域密着型サービスという点が異なります。

一般的な介護保険サービスは、都道府県や政令指定都市・中核市などが事業所を指定しますが、地域密着型サービスは住み慣れた地域での生活を支えるという目的で、利用者により身近な市町村が事業所を指定するのです。そのため、地域密着型の定期巡回は、事業所の所在する市区町村に住民票のある要介護者しか利用できません。この点が、自治体をまたぎサービスを受けられる訪問介護との最大の違いです。

サービス内容|訪問看護も可能

訪問介護と定期巡回では、提供するサービス内容も若干異なるのが特徴です。訪問介護の場合、身体介護や生活援助など、提供できるサービス内容が限定されています。療養上の世話や必要な診療の補助といった、利用者の看護をおこなう訪問看護とは別のサービスです。

そのため、訪問介護のなかで同時に看護サービスを受けることは、原則としてできません。訪問看護サービスを受ける場合は、訪問介護サービスを提供している事業所と別途契約する必要があります。

一方、定期巡回では安否確認や健康チェック、服薬確認だけの訪問も可能なため、訪問看護のサービスを同時に提供することが可能です。

定期巡回で働いてみたいけど需要はある? 求人情報をチェック!

前項では、定期巡回の特徴をご紹介しました。ここでは実際に定期巡回の事業所で働きたい人を対象に、ヘルパーとしての需要の有無、給与をはじめとした条件面など、求人情報サイトからチェックした結果を抜粋してご紹介します。

定期巡回で働けるヘルパーさんは需要あり!

定期巡回の事業所で働くヘルパーに対する需要は多く、求人サイトでもさまざまな求人情報が出ています。就労場所としては利用者宅を訪問することが多いですが、なかには有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、一般的な住宅でない場合もあるのです。

また、定期巡回の事業所は地域密着型事業所として地域に根ざしたサービスを提供するため、遠距離通勤の不安がなく、給与以外の勤務条件も自分に合ったところを見つけることも難しくありません。だからといって求人にすぐとびつくのでなく、応募前には給与や勤務時間をはじめとした条件をしっかりと確認するようにしましょう。

正社員の給与相場はどれくらい?

定期巡回の事業をおこなっている事業所で働く場合も、ほかの業種と同様、さまざまな勤務条件での求人があります。ここでは、正社員として雇用される場合の給与相場を調べてみました。

地域により、給与の相場は違います。東京・神奈川・大阪などの都市部をピックアップすると、19万円台から27~8万円と幅があり、なかには30万円を超える条件が明示されている事業所もあります。給与の一般的な相場としては、20万円台前半くらいの求人が多いようです。

サービスに直接従事するヘルパーの求人もありますが、管理者やリーダーなどの職種、もしくはプラスアルファの資格をもつ場合は、勤務条件のアップも期待できます。

また、正社員待遇のため社会保険加入は万全といえますが、交通費支給や賞与の有無については条件が異なる場合があるので、応募する際にしっかりと確認しておくようにしましょう。

パート・アルバイトの時給相場はどれくらい?

定期巡回は1日短時間のサービスを複数回利用することができるため、パートやアルバイトとしても働きやすい環境が整っているのが特徴です。ここではパート・アルバイトとして働きたい人のために、時給の相場をご紹介します。

正社員と同様地域差はありますが、時給1,100円台から1,300円台、高いところで1,400円台の求人が確認できました。相場としては、時給1,200円台の求人が多いようです。なかには日給換算の求人もあり、15,000円から21,000円程度の条件が確認できました。

訪問介護と定期巡回はサービス提供時間や回数などに違いあり!

ここまで、訪問介護と定期巡回の比較という形で定期巡回を説明してきました。対応の柔軟性や緊急時の対応、訪問看護などさまざまな点が異なり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

定期巡回の事業所、とくに訪問介護と定期巡回両方のサービスを提供する事業所で働く際は、両者の違いをしっかりと理解しておくことで、より質の高いサービス提供ができるようになります。

定期巡回はサービス提供が柔軟なぶん、働くスタッフの負担も増えます。求人に応募する際は、自分の希望条件に合うのかをあらかじめ確認しておきましょう。

参考元:
ミンナノミライ 定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは24時間対応の訪問介護サービス
イリーゼ 訪問介護とは?サービス内容・費用・上手な選び方を徹底解説!
認知症ねっと 第83回 知っていると便利、介護保険サービス:定期巡回・随時対応型訪問介護看護

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