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特集・コラム 2023-11-13

リハビリに携わる国家資格一覧|資格の取得方法や国家試験の概要もあわせて紹介!

リハビリは、病気やけがなどによって、日常生活を送ることに支障をきたしている人の機能回復を目指したり、悪化するのを防いだりするためにおこなわれます。

高齢社会となった現在、リハビリに携わる仕事は需要が高くなっていますが、リハビリをおこなうためには国家資格が必要です。

この記事では、リハビリに関わる国家資格を紹介します。取得方法や国家試験の概要も合わせてお伝えしますので、参考にしてください。

リハビリに携わる国家資格一覧

リハビリに携わる国家資格はたくさんあります。リハビリを専門とする資格は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士です。ほかにも、視能訓練士・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師などの資格を持つ人が、リハビリの現場で活躍しています。

それぞれの資格について見ていきましょう。

理学療法士

理学療法士は、運動療法や理学療法を用いたリハビリをおこなう医療技術者で、座る・立つ・歩くなどの基本動作能力の維持・回復・悪化予防を目的とした、基本動作に関する専門家です。

医師の指示のもと医学的・社会的観点から患者の状況を評価したうえで、ひとりひとりに合ったプログラムを作成し、自立した日常生活が送れるようサポートや指導をします。

運動療法はストレッチや筋力トレーニングなど実際に身体を動かす方法で、理学療法は温熱や電気など物理的な手段を用いる方法です。

関節可動域を広げたり筋力を強化したりするほか、麻痺の回復・痛みの軽減・動作や歩行の訓練などをおこないます。

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job tag:理学療法士(PT) – 職業詳細

作業療法士

作業療法士は日常生活の動作や、遊びやスポーツなどの活動を用いたリハビリをおこないます。

基本動作能力に加えて食事や家事などの応用的動作能力や、就労・就学といった社会的適応能力の維持・回復を目的に、人々の活動を「作業」として取り入れたリハビリの専門家です。

患者にヒアリングをしたうえで、心身の状況や生活環境などの情報を集め、適切な作業プログラムを作成します。その人らしい生活が送れるよう、心のケアも含めてサポートするのが特徴です。

作業を通じたリハビリには、手工芸の創作活動・レクリエーションなどの運動活動・農作業など社会での活動といったものがあります。

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言語聴覚士

言語聴覚士は、話す・聞く・食べる機能の障害をもととした問題の本質やメカニズムを明らかにするとともに、必要に応じたリハビリをおこないます。小児から高齢者まで、コミュニケーションや食事における問題に対応するスペシャリストです。

医師や歯科医師の指示のもと検査や評価をしたうえで、リハビリの目標やプログラムを作成し、コミュニケーションの面から豊かな生活が送れるようサポートや指導をおこないます。

言語障害をはじめ、ことばの発達の遅れ・嚥下(えんげ)障害・聴覚障害など、幅広いアプローチができるのが特徴です。

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視能訓練士

視能訓練士は、眼に関するさまざまな検査・斜視や弱視の矯正訓練・ロービジョンケアなどをおこなう眼科領域における専門家です。

眼に関する検査は、視力検査や処方検査をはじめ、眼圧検査・画像診断検査・手術前検査などがあり、眼や検査に使用する精密機器に関する専門的な知識を用いて、医師の診断や治療をサポートするのが特徴です。

おもに子どもを対象とした斜視や弱視のリハビリや、視機能が低下した人に対する、視覚補助具の選定・使用訓練もおこないます。

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柔道整復師

柔道整復師は、骨折・捻挫・脱臼・打撲・筋や腱の挫傷などを、手腕による応急的・医療補助的方法を用いて自然治癒での回復をはかります。

患者を視診・触診診断し、医療的な処置が必要であるか自身の業務範囲であるかの判断が必要です。関節のずれなどを元の位置に戻す整復後、ギプスなどで固定します。患部の状態に応じて、手技・運動・物理療法などのリハビリで機能回復を目指すのが特徴です。

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あん摩マッサージ指圧師

あん摩マッサージ指圧師は身体のコリや痛みに対して、あん摩・マッサージ・指圧をおこない、症状の緩和・改善をはかります。体力の回復や健康増進にも役立てられ、医師の指示のもとでリハビリに携わることも。

あん摩とは、衣服を着たまま身体の中心から外側に向かって「押さえる」「なでる」といった方法で、血流をよくすることです。

マッサージは肌に直接触れ、手足の先から心臓に向かって「押す」「こねる」といった方法で、リンパを流したり血流をよくしたりすることをいいます。

指圧は、指や足の裏などにあるツボを押し、不調を整えたり疲労を和らげたりすることです。

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それぞれの資格の取得方法|受験資格を得て国家試験に合格する

さきほど紹介した6つの資格の取得方法について紹介します。いずれも国家資格であるため、受験資格を得たうえで国家試験に合格し、免許申請が必要です。

理学療法士

理学療法士の国家試験を受験するには、国が養成校として認めた4年制大学・短期大学・専門学校・視覚障がい者が対象の特別支援学校のいずれかで、3年以上(作業療法士資格所有者は2年以上)必要な知識や技術の習得が必要です。

試験は一般受験者は筆記試験のみ、重度視覚障がい者は口述試験と実技試験です。試験科目は、一般問題と実地問題の2つ。解剖学・生理学・運動学・リハビリテーション医学・理学療法などがあります。

引用元
日本理学療法士協会:理学療法士になるには
厚生労働省:理学療法士国家試験の施行

作業療法士

作業療法士は、国が養成校として認めた4年制大学・短期大学・養成施設のいずれかで、3年以上の学習が必要です。必要な知識や技術を習得し、卒業することで受験資格が得られます。

一般受験者は筆記試験のみ、重度視覚障がい者は口述試験と実技試験の受験が必要です。

試験科目は、一般問題と実地問題があり、解剖学・生理学・運動学・リハビリテーション医学・作業療法などがあります。

引用元
job tag:作業療法士(OT) – 職業詳細
厚生労働省:作業療法士国家試験の施行

言語聴覚士

言語聴覚士を目指す一般的なルートは2つです。ひとつは高校卒業後、指定された3~4年制の大学、または3~4年制の言語聴覚士養成所を卒業することで受験資格が得られます。

もうひとつは一般の4年制大学卒業後、指定された2年制の大学・大学院の専攻科または専修学校を卒業することで受験資格を得ることが可能です。

試験科目は、臨床歯科医学・音声/言語/聴覚医学・発声発語/嚥下(えんげ)障害学および聴覚障害学などがあります。

引用元
日本言語聴覚士協会:言語聴覚士になるには
厚生労働省:言語聴覚士国家試験の施行

視能訓練士

視能訓練士の国家試験を受けるためには、2つのルートがあります。ひとつは高校卒業後、指定された養成施設で必要な知識や技術を3年以上学ぶ方法です。

もうひとつは、4年制大学・短期大学・看護師や保育士の養成施設で指定された科目を履修し、指定の養成施設で必要な知識や技術を1年以上学ぶ方法があります。

試験科目は、基礎医学大要・基礎視能矯正学・視能検査学・視能障害学および視能訓練学です。

引用元
日本視能訓練士:視能訓練士になるには
厚生労働省:視能訓練士国家試験の施行

柔道整復師

柔道整復師は、養成施設として認められている4年制大学・短期大学・専門学校で3年以上学ぶことで受験資格が得られます。具体的には、99単位以上(2,750時間以上)の履修が必要です。

試験は筆記試験ですが、重度視覚障がい者は点字・DAISY-CDの使用・点字とDAISY-CDの併用による受験が認められており、弱視者は弱視用試験が認められています。

試験科目は、解剖学・運動学・一般臨床医学・外科学概論・整形外科学・リハビリテーション医学・柔道整復理論および関係法規などです。

引用元
柔道整復師協会:柔道整復師になるには
厚生労働省:柔道整復師国家試験の施行

あん摩マッサージ指圧師

あん摩マッサージ指圧師の受験資格は、国が養成校として指定した4年制大学・短期大学・専門学校のいずれかで、3年以上学ぶことで得られます。また、視覚障がい者は盲学校高等部で指定された専攻課程を履修することで、受験が認められます。

試験は筆記試験です。試験科目は、解剖学・リハビリテーション医学、東洋医学概論・経絡経穴概論、あん摩マッサージ指圧理論および東洋医学臨床論などがあります。

視覚障がい者は、拡大文字や点字・照明器具・読書補助具などを使用した受験が可能です。

引用元
job tag:あんまマッサージ指圧師 – 職業詳細
厚生労働省:あん摩マッサージ指圧師国家試験の施行

それぞれの資格を理解して自分のやりたいリハビリについて考えよう

専門職である理学療法士・作業療法士・言語聴覚士をはじめ、リハビリに携わる資格は数多く存在します。そして、どれも専門的な知識や技術が必要であるため、指定された養成施設で学ばなければ、資格を取得することができません。

それぞれの資格によってどんなことができるのかを理解し、どんな人にどういったリハビリをやりたいか考え、取得を目指しましょう。

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