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特集・コラム 2021-07-22

柔道整復師が開業するために必要なこととは? 開業までの流れを解説!

柔道整復師の資格を取得したあとに、接骨院などで働く人は多いでしょう。そして、働きながら実力をつけたら、開業して自分の接骨院を営みたいと考える人も少なくありません。

しかし、実際に接骨院を開業するとなると、どのような手続きが必要なのか、どのような設備を揃えなければならないのかなどを知っておかなければなりません。

こちらでは、柔道整復師が開業するにあたって必要な手続きや準備について解説します。開業を検討されている人は、ぜひ参考にしてみてください。

柔道整復師が開業するためにはどんなことが必要なの? 流れを解説!

まずは、柔道整復師が開業するにあたり必要な要件などをまとめていきます。開業する前に流れを確認しておきましょう。

1. 施術管理者要件の確認

はじめに、開業する人が施術管理者要件を満たしているかを確認しなければなりません。以下では、施術管理要件の内容についてくわしく解説していきます。

施術管理者要件とは?|施術管理者研修

柔道整復師が施術管理者になるには、「施術管理研修」の受講が必須要件となります。この施術管理研修を受講するには、施術管理者の届け出をおこなう時期に応じて定められた期間の実務経験を満たさなければなりません。

たとえば、2018年の4月から2022年の3月までに届け出をした人は1年間の実務経験が必須です。2022年4月から2024年3月までに届け出をした人は2年間の実務経験が、2024年の4月以降であれば3年間の実務経験が必要となります。

施術管理研修は何回かにわけて開催され、合計16時間の研修を受けることになります。なお、2020年度の施術管理研修は、新型コロナウイルスの影響でオンラインでの研修も開催され、2021年6月以降もオンライン研修が予定されています。これから受講する方は、オンラインでの受講方法なども確認しておきましょう。

施術管理研修には定員があるため、申し込む時期によっては定員オーバーになってしまうことが多々あるようです。スムーズに施術管理研修を受けられるよう、申込み方法をしっかり確認して早めに申し込んでおきましょう。

2. 事業計画を立てる|ターゲットや料金・コンセプトなど

どのような事業を開業する場合も同様ですが、柔道整復師の開業でも「事業計画」を立てることは必須です。資金繰り計画や施術のコンセプトなどを、しっかり計画する必要があります。

資金計画も忘れずに

店舗を借りるうえで必要となる資金や当座の運用資金など、どのくらいの開業資金が必要か、運営資金はどの程度用意しておくべきかなどの資金計画はもっとも重要な要素です。

開業資金が足りない場合は金融機関から融資を受ける方法もありますが、その場合も資金計画は非常に重要となりますので、しっかり考えておきましょう。

3. 開業場所・店舗の選定をおこなう

開業する地域や店舗を借りる場所などを選ぶ必要があります。事業計画で決めた、ターゲット層が集まりやすい場所を選ぶとよいでしょう。店舗は一度借りたら簡単に変えることができないので、たくさんの場所を見てじっくり検討する必要があります。

4. 内装や必要な備品を揃える|構造設備など

店舗の内装も、事業計画で決めたターゲット層に合わせることでより顧客を集めやすくなります。たとえば、ママさん世代をターゲットにする場合は子どもが遊べるスペースを用意する、高齢者をターゲットにする場合はバリアフリーにするなどです。

また、施術に使う設備もターゲット層に合わせて用意することが望ましいです。スポーツをしている若い世代と、小さいお子さんのいるママさん世代、高齢者では症状も施術も変わってきますので、導入する機器も異なります。最近はさまざまな治療機器が展開されていますので、幅広くチェックしておくようにしましょう。

5. 開業手続きをおこなう

開業の準備が整ったら、開業手続きをおこなわなければなりません。ここでは東京都を例にして、開業手続きの流れを解説します。ただし、自治体によって手続き内容が異なる可能性がありますので、詳細は各自治体で確認しましょう。

東京都で施術所を開設するには

東京都で開業する場合は、開業届を出す前に保健所に事前相談をすることが必要となります。希望する名称に問題がないか、店舗の設備や間取りに問題がないかを確認されますので、店舗の平面図やそのほかの書類があれば持参しましょう。

開業届に必要な書類は、「施術所開設届」です。施術所開設届に添付する必要書類として、施術者の免許証のコピー、店舗の平面図、施術所までの案内図が必要となります。また、法人の場合は、登記簿謄本が必要です。

店舗をもたず出張専門で施術サービスとして開業する場合は、「出張施術業務開始届」を保健所に提出します。出張施術業務開業届に添付する書類として、柔道整復師の免許状の原本とコピーを2部、印鑑、運転免許証などの身分証明書を持参する必要があることも覚えておきましょう。

6. 保険取り扱い申請をおこなう|受領委任取り扱い契約を申請

柔道整復師がおこなう施術は健康保険が適用となる施術があるため、保険請求をするための届け出をおこなわなければなりません。柔道整復師の各種団体に所属している場合は代理で請求業務をおこなってもらえるケースもあるようですが、所属していない場合は所定の届け出をしたうえで各自請求することになります。

各都道府県の厚生局に届け出をするのですが、このとき開業届の控えのコピーが必要です。開業届の控えのコピーを持参し、開業後10日以内に厚生局にて届け出をおこなうことで保険請求ができるようになります。

届け出については、立ち会い審査が必要な場合があるなど、各都道府県によって異なるのが特徴です。必要書類についても異なる可能性がありますので、詳細は開業する店舗の厚生局に確認したうえで手続きをしてください。

施術の幅を広げるなら? おすすめ資格は鍼灸師!

柔道整復師が開業する際、提供できる施術のほかに鍼灸の施術を提供する店舗もあります。鍼灸は柔道整復師の資格では施術を行えないので、鍼灸師の国家資格が必要です。こちらでは、鍼灸師の資格について解説します。

鍼灸師|はり・きゅうの施術が可能に

鍼灸師がおこなう施術は、その名のとおり「はりきゅう」です。鍼(はり)は体に髪の毛よりも細い針を刺して、痛みなどの緩和を目的とした施術をおこないます。灸(きゅう)はもぐさを皮膚の上や皮膚の近くで燃やし、熱で刺激を与える施術です。他人に施術をする場合は、いずれも鍼灸師の資格がないと施術することができません。

柔道整復師の施術と並行して鍼灸の施術を提供することで、より患者さんのつらい症状を効率的に緩和できるようになります。

国家資格|はり師・きゅう師

鍼灸師は国家資格なので、国家試験に合格することで資格を取得できます。国家試験の受験資格は、厚生労働省が定めた鍼灸のカリキュラムを提供する学校を卒業している、もしくは卒業見込みであることです。

鍼灸師の学校は3年の養成課程で構成されているので、最低でも3年間指定の学校に通わなければなりません。解剖学など医療に深く関わることを学ぶので、かなり密度の濃いカリキュラムとなっています。柔道整復師のなかには、鍼灸師の資格も取得して施術を提供している人も少なくありません。

鍼灸を学ぶ学校は夜間部を設けている学校もあるので、社会人でも国家資格を目指すことができます。ただし、通信教育はないので、いずれにしても通学をして学ぶことが必須です。

流れを押さえてスムーズな開業を目指そう!

柔道整復師が開業するまでには、多くの手続きや準備が必要です。しかし開業することで自分の思い描く施術を提供することができ、頑張れば頑張っただけの収入をえられる可能性があります。

開業を目指す柔道整復師は多いですが、先に挙げた鍼灸の施術を提供するなど、周囲と差別化を図ることでより有利な運営をすることも不可能ではありません。しっかり事業計画を立てて、理想の店舗運営を実現してくださいね。

参照元:
全国柔整鍼灸協同組合 接骨院開業のながれ
全国柔整鍼灸協同組合 柔道整復師 施術管理者研修開催について
日本医学柔整鍼灸専門学校 柔道整復師として独立開業はできる?
厚生労働省 柔道整復師の施術に係る療養費の受領委任を取扱う施術管理者の要件について
公益財団法人 柔道整復研修試験財団 柔道整復師 施術管理者研修
東京都多摩立川保健所  施術所(あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう、柔道整復)・出張施術
東京都福祉保健局 施術所開設の手引き
関東信越厚生局 柔道整復師の施術に係る療養費の受領委任に関する申し出
関東信越厚生局 柔道整復師が受領委任の取扱を受けようとするときの申し出の手続きの流れ
名古屋平成看護医療専門学校 「鍼灸」と「柔整」ダブルライセンスのメリットとは
東京医療専門学校 ダブルライセンスの魅力
日本医学柔整鍼灸専門学校 鍼灸師の仕事内容
森ノ宮医療大学 鍼灸師
厚生労働省 はり師国家試験の施行
厚生労働省 きゅう師国家試験の施行

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