障がい者支援資格にはどんなものがある?仕事に役立つ15個の資格を紹介
障がい者を支援するための資格は対象者や働く介護福祉施設の種類、業務範囲などによって数多く存在します。障がい者をサポートする職に就きたいと考えている方の中には、どんな資格があって、どのような業務に従事するのかよくわからないという方も多いでしょう。
本記事では、障がい者支援の仕事の概要・具体的な資格職一覧・それぞれの資格職の業務内容・障がい者支援するための資格を取得するメリットと注意点について紹介します。
障がい者支援に従事するために専門資格の取得を考えている方は要チェックです。
障がい者を支援する仕事にはどんなものがある?

障がい者を支援する仕事には、介護やリハビリなど直接的なサポートをするものや、相談に応じて助言したり、必要な福祉サービスにつないだりするものなどがあります。
福祉に関わる人たちはさまざまな場所で働いていますが、障害者支援施設もそのひとつです。
障害者支援施設は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に則って運営され、施設によって役割や提供するサービスには違いがあります。
障害者支援施設の例
・居宅介護
・重度訪問介護
・施設入所支援
・同行援護
・行動援護
・計画相談支援
・自立訓練
・生活訓練
・児童発達支援
・放課後等デイサービス
・障害児入所支援
などがあります。
引用元
e-GOV 法令検索:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
障害者支援施設で働くのに必要な資格一覧

障害者支援施設で働く場合、特定の資格が必要とされることが多いです。なかには、国家資格や民間資格を取得していないとできない仕事もあります。
・社会福祉士
・精神保健福祉士
・社会福祉主事任用資格
・サービス管理責任者
・相談支援専門員
・理学療法士・作業療法士
・言語聴覚士
・義肢装具士
・同行擁護従業者
・行動擁護従事者
・強度行動障害支援者
・重度訪問介護従業者
・介護職員初任者研修・実務者研修
・介護福祉士
・福祉用具専門相談員
ここからは、障害者支援施設で働くのに必要とされる資格・役立つ資格を紹介します。
社会福祉士
社会福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法に基づいた国家資格で、福祉・医療・介護などの相談援助における専門家のことをいいます。
障がい者・高齢者・生活困窮者など、日常生活に困難を抱える人の相談に応じ、援助をおこなったり関係機関との情報共有やサービスの利用調整などをおこなったりすることが仕事です。
障害者支援施設では、生活相談員として自立訓練や就労支援に携わっていることもあります。
社会福祉士についての詳細は、こちらの記事をご確認ください。
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社会福祉士の仕事とは?活躍の場や資格の取得方法は?資格取得のメリット・向いている人・給料も紹介
引用元
厚生労働省:社会福祉士・介護福祉士等
e-Gov法令検索:社会福祉士及び介護福祉士法
公益財団法人社会福祉振興・試験センター:社会福祉士国家試験
精神保健福祉士
精神保健福祉士は、精神保健福祉法に基づいた国家資格で、精神保健福祉における専門家のことです。
精神障がい者や心に病を抱える人の相談援助や日常生活支援のほか、社会復帰を目指すための訓練などをおこなったり、必要なサービスや公的支援制度を紹介したりする役割を担っています。
施設によって仕事内容には違いがありますが、ひとりひとりの状況に合わせた対応やサービスをおこなうのが特徴です。
精神保健福祉士については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
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引用元
厚生労働省:精神保健福祉士について
e-Gov法令検索:精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
公益財団法人社会福祉振興・試験センター:精神保健福祉士国家試験
社会福祉主事任用資格
社会福祉主事任用資格とは、社会福祉主事として働くために必要な資格です。この資格を持っているだけでは社会主事を名乗ることはできず、実際に働き始めることで認められます。
社会福祉主事のおもな仕事は、障がい者・高齢者・生活困窮者などの相談援助です。障害者支援施設では施設長の役割を担ったり、生活相談員として働いたりすることもあります。
仕事内容や名称が似ていることから、社会福祉士と混同する人もいらっしゃるかもしれません。こちらの記事で社会福祉主事についてや、社会福祉士との違いについて紹介していますので、確認してみてください。
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社会福祉主事とは? 社会福祉主事任用資格を取得する3つのメリットと取得方法を紹介
引用元
厚生労働省:社会福祉主事について
サービス管理責任者
サービス管理責任者は、障害者総合支援法に基づいて、障害福祉サービスを提供する施設に配置義務があります。
その名の通り、施設のサービスに関する責任者として、利用者の支援プランの作成や職員の指導に加え、地域や行政と連携を図る役割を担っているため、5〜10年に渡ってさまざまな業務経験が必要です。
こちらの記事では、サービス管理責任者の詳しい仕事内容や、サービス管理責任者になるための必要要件などを解説しています。
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サービス管理責任者資格の要件とは?仕事内容と働ける場所について解説
引用元
厚生労働省:障害福祉サービスにおける サービス管理責任者について
相談支援専門員
相談支援専門員は、障がい者が自ら望む日常生活や社会生活を実現するための相談支援をおこなうソーシャルワーカーです。
障がい者やその家族の困りごとの相談内容に応じて、福祉サービスの利用計画と利用調整をおこなうほか、利用しているサービスのモニタリング・地域社会への移行や定着のサポートなどをおこないます。
相談支援専門員になる方法やさらに詳しい仕事内容については、こちらの記事をご確認ください。
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相談支援専門員とは?仕事の内容やなるために必要な実務経験や研修について紹介
引用元
厚生労働省:計画相談支援のしくみ
日本相談支援専門員協会:協会について
理学療法士・作業療法士
理学療法士・作業療法士はどちらも国家資格であり、医療技術者として障がい者・高齢者・ケガをした人などのリハビリに携わっています。
理学療法士のおもな仕事は、身体機能の維持・改善・向上を目的としたリハビリをおこなうことです。
障害や症状などに応じた運動療法や物理療法を通じて、障害や身体機能の悪化を防いだり、基本動作(座る・立つ・歩くなど)の改善や向上をサポートしたりするほか、身の回りの環境を改善するための助言をします。
一方作業療法士の仕事は、心身機能や日常生活動作の維持・改善・向上から社会適応までを目的としたリハビリをおこなうことです。
一人ひとりに適した作業療法を通じて、基本動作以外にも、家事や掃除などの応用的動作や、地域活動への参加・就労・就学など幅広いサポートをおこないます。精神障害を抱える人に対するリハビリがおこなえることも特徴です。
詳しくは、理学療法士・作業療法士それぞれの資格に関する記事をご覧ください。
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作業療法士(OT)の仕事内容は?将来性や試験内容について解説
引用元
日本理学療法士協会:理学療法士とは
日本作業療法士協会:作業療法士ってどんな仕事?
言語聴覚士
言語聴覚士も理学療法士や作業療法士と同様、リハビリに関する国家資格のひとつで、話す・聞く・食べることに困難を抱える人を専門としています。
言葉によるコミュニケーションに困難がある人は、子どもから高齢者まで幅広く、言葉の発達の遅れ・聴覚障害・失語症・高度脳機能障害など、原因や対処法もさまざま。
言語聴覚士は、問題の本質や仕組みを明確にするための検査や評価をはじめ、必要に応じて機能の維持や改善を目的とした訓練・指導・助言などをおこないます。医師の指示に基づき、嚥下訓練や人工内耳を調整するのも仕事のひとつです。
言語聴覚士については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
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義肢装具士
義肢装具士は義肢装具士法に基づく国家資格です。ケガや病気などが原因で、身体の一部や機能を失ってしまった人が自立した生活を送れるようサポートするため、医師の指示のもと義肢や装具と呼ばれる福祉用具の型取り・制作・適合・調整をおこないます。
義肢は失われた手足の機能や形を復元するもの、装具は麻痺や変形など身体機能の補助と障害を軽減するものです。
必要となる義肢や装具は人によってさまざまで、身体の作りも違うため、ひとりひとりに合った義肢や装具を仕立てる必要があります。
義肢装具士になるための方法や、必要なスキルについてはこちらの記事でご確認ください。
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義肢装具士になるための方法とは? 仕事内容や必要な能力を分かりやすく解説
引用元
e-GOV:義肢装具士法
日本義肢装具士協会:義肢装具士とは
同行援護従業者
同行援護従業者とは、重度の視覚障がい者の外出時における同行・移動に必要な情報の提供・移動の援護などをおこなう人のことです。
同行する際は代筆や代読をしたり、出先での食事や排泄の介護などをおこなったりするほか、適宜必要なサポートをします。
障害者総合支援法で同行援護について定められており、サービスを受ける対象となる人が重度視覚障がい者にしぼられているのが特徴です。
同行援護従業者については、こちらで詳しく解説しています。
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ガイドヘルパーの同行援護とは? 同行援護従業者になる方法と資格取得のメリットを解説
引用元
e-GOV:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
厚生労働省:同行援護について
行動援護従業者
行動援護従事者は、知的障害がいや精神障害を抱える人に対し、行動するときに起こりうる危険を回避するためのサポートや外出時の援護をおこなう人のことです。
行動するうえでの危険から守るだけでなく、外出時に必要な介護(食事や排泄など)をおこなうほか、危険な行動を防ぐために移動先での行動を理解させたり、なにか問題が起きてしまった場合に対処したりと、さまざまな支援をします。
同行援護が視覚障がい者を対象としているのに対し、行動援護の対象は知的障がい者や精神障がい者であることが特徴です。行動援護についても、障害者総合支援法で定められています。
行動援護従業者の詳細は、こちらの記事でご確認ください。
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ガイドヘルパーの行動援護とは? 行動援護従業者になるための方法を解説!
引用元
e-GOV:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
強度行動障害支援者
強度行動障害とは、自傷や他傷、多動、睡眠の乱れ、物の破壊、こだわりなどが通常ではありえない頻度で生じ、本人や周囲の人たちの生活環境では対処が困難な障害をさします。
強度行動障害支援者は、対象者の強度行動障害の原因を突き止め、障害ごとの特性に沿った医療的なサポートも含めた障害支援の体制を構築していくのが業務です。
2021年10月時点の調査で強度行動障害支援を受けている方は68,906人で、これは障害支援区分を受けた方の約15%とされており、知的障害のある方の10〜15%が該当します。
また、強度行動障害をもつ方の3割近くに虐待を受けた経験があるとされており、その養育者・支援者に適切な対応をとっていく必要があるのも強度行動障害支援者の仕事の特徴です。
引用元
障害保健福祉研究情報システム:強度行動障害の理解とその支援課題
公益財団法人 東京都福祉保健財団:強度行動障害支援者養成研修事業
国立障害者リハビリテーションセンター発達障害情報・支援センター:強度行動障害支援者研修資料
重度訪問介護従業者
重度訪問介護とは、身体上もしくは精神上、または知的に障害があって障害区分4〜6に該当する常時介護を必要とする人を対象としておこなう介護サービスです。ただし、難病患者や脳性まひ患者などデリケートな対応が求められるケースも多く、細心の注意が求められます。
重度訪問介護従業者は、対象者がいる場所を訪れて以下のような業務に従事します。
・入浴・排せつ・食事の介護
・調理や洗濯、掃除などの家事
・日常生活全般におけるサポート
・外出時の移動中の介護
・日常生活の見守り
また、場合によっては入院時の意思疎通のサポートなどにも携わるのが特徴です。
引用元
厚生労働省:重度訪問介護
介護職員初任者研修・実務者研修
介護には、家事や買い物などの生活介護と食事・入浴・排泄などの身体介護があり、身体介護をおこなうには資格が必要です。
介護職員初任者研修とは、介護の基本的な知識や技術の習得を証明する資格で、取得することにより身体介護をおこなうことができるようになります。また、訪問介護の仕事にも必要です。
実務者研修は介護職員初任者研修の上位資格で、より専門的な内容を習得できます。実務経験ルートで介護福祉士試験を受験する場合は、この資格の取得が必須です。
どちらも受講資格はないため、未経験や無資格の人でも取得を目指すことができます。
それぞれのカリキュラムや詳しい違いについては、こちらの2記事をご覧ください。
関連記事
介護職員初任者研修とは?働ける場所はどんな施設?|資格取得のメリットも紹介
介護福祉士実務者研修とは? 初任者研修や介護福祉士とはどこが違うの? おすすめ講座6選を紹介
引用元
社会福祉振興・試験センター:[介護福祉士国家試験]受験資格
介護福祉士
介護福祉士は、介護職員初任者研修・実務者研修後のステップアップとして取得できる、介護福祉系で唯一の国家資格です。介護福祉におけるハイレベルな知識・技能を証明できます。
介護福祉士は以下のような業務に従事します。
・身体介護(食事や入浴、着替えなど)
・生活援助(炊事や洗濯、買い物など)
・施設でのレクリエーション
・利用者やその家族からの相談に乗る
・現場でのチームマネジメント
介護福祉士は現場での介護はもちろん、必要に応じて他職種・他施設と適切に連携しながら自立支援に向けた介護技術を用いて指導・助言・介護をおこなっていく仕事です。
介護福祉士のくわしい業務内容については以下の記事を参考にしてください。
関連記事
介護福祉士とはどのような仕事?施設別の1日のスケジュールや仕事のやりがいをご紹介
引用元
厚生労働省 介護福祉士の概要について
公益社団法人 日本介護福祉士会:介護福祉士とは
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター:介護福祉士国家試験
福祉用具専門相談員
福祉用具専門相談員は、加齢や障害などの理由で日常生活に支障をきたしている方に対して、日常生活の質改善や機能訓練のための福祉用具を適切に選定・運用していく仕事です。
福祉用具がいつでも最高のパフォーマンスを発揮できるように、機能や安全、衛生状態などをチェックし、福祉用具サービス計画をもとに介護支援専門員などと連携をとります。
福祉用具専門相談員のくわしい業務内容や資格取得ルートは以下のとおりです。
関連記事
福祉用具専門相談員とは?業務内容や資格取得ルート、3つのやりがいについて解説
引用元
商業情報提供サイト job tag:福祉用具専門相談員
一般社団法人 全国福祉用具専門相談員協会:福祉用具専門相談員とは
独立行政法人 福祉医療機構:福祉用具専門相談員
障がい者支援の資格を取得するメリットと注意点とは?

障がい者支援の資格を取得するメリットは、資格取得によって介護福祉における自分自身の専門性やスキルを証明できる点です。専門性の高い資格の取得によって就職・転職が有利になる可能性が高いだけでなく、今いる職場の待遇の改善も期待できるでしょう。
ただし、資格取得には時間と労力がかかります。とくに介護福祉士や社会福祉士、理学療法士、作業療法士のような国家資格の取得は長い道のりになると考えておきましょう。
自分のやりたい仕事に合わせて資格を取得し障害者支援施設で働こう

障害者支援施設は、子どもから大人までさまざまな障がいを抱えた人が利用しています。相談援助や特定の障害に特化した専門家や、リハビリに携わる医療技術者などをはじめ、福祉用具の適合や調整・行動や移動の援助など、必要とされている仕事も多種多様です。
障がい者支援の資格を取得するメリットは、専門性の高い資格取得がキャリアアップや待遇の改善につながる可能性が高い点です。自分のキャリアに役立つ資格は積極的に挑戦するのがおすすめです。ただし、それ相応の時間と労力がかかる点には留意しておきましょう。
自分のやりたい仕事やキャリアプランに合わせてベストな資格を取得して、障害者支援施設で働いてみてはいかがでしょうか。












