骨と関節を意識して行う整体&ヨガで目指す体作りとは【ヘルスケアのお仕事 Vol35 ブルースカイヨガスタジオ 大江清一朗さん #3】
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。
これまで、整体院併設のヨガスタジオ「ブルースカイヨガスタジオ」を経営する大江清一朗さんに、ヘルスケア業界に入ったきっかけや、ヨガ+整体のスタジオを始めた経緯とメリット、お仕事を続けていくためのアドバイスなどについてインタビューしてきました。そのなかで大江さんは、施術でも仕事でも「力を抜くこと」の大切さを感じてきたと語ってくださいました。
後編では、そんな大江さんが行っている整体とヨガについてフォーカス。コンセプトとして取り入れているという「骨ナビ」と、整体とヨガのクラスで大切にしていることを教えていただきます。
教えてくれたのは…
ブルースカイヨガスタジオ
整体師/ヨガインストラクター 大江清一朗さん
『ブルースカイヨガスタジオ』主宰、大江整体院横浜元町本院代表。 鍼灸整体師。アスレティックトレーナー。骨ナビディレクターとして、骨・関節の機能向上と効率のいい身体操作を指導。イージーヨガプロデュース『マインドフルネススタジオ代官山』でもパーソナルセッションを行う。
骨ナビをコンセプトにした整体+ヨガで、スペースのある体を作る
―大江さんは骨ナビのディレクターを務められ、クラスも担当されていますね。どんな内容か簡単に教えていただけますか?
骨ナビは「骨と関節を意識する」というコンセプト。骨ナビ的に歩く、骨ナビ的に生活する、骨ナビ的にヨガをする、という感覚ですね。
体のゆがみというのは、動かしている骨と動かしていない骨の差によるもの。でも、どこが動かせていないかはプロじゃないとわかりません。だから、毎日全身の骨をまんべんなく動かす体操をすることで、ゆがみを最小限にしていこうというものなんです。
人が動けなくなる原因は、関節が動かなくなるということが大きい。関節さえ守られていたら、生涯元気に動ける体が作れます。だから筋肉を鍛えるより、まずは関節が正常に動いているかチェックしていきましょう、と。そういう考えで、一般の人でも取り組みやすい、3分でできる骨ナビ体操というものが考案されました。
クラスでは、その体操を説明しながら行ったり、より骨についての理解が深まるワークを取り入れています。
―大江さんが整体の施術で重視していることは何ですか?
整体でも、骨と関節の大切さというのは重視しています。骨と骨、骨と筋肉、筋肉と筋肉の間に隙間を作っていくイメージ。パンパンになって詰まっていると、血液も入っていかないし滞ってしまいます。ふわっと身離れがいい、スペースのある体にしていくことで、血液も入りやすくなる。すると、新陳代謝もよくなり、健康的な体になっていくという考え方です。
また、痛いところを触り、反発してくる直前で終えることも大切です。人それぞれ深く触れる度合は変わるので、そこを意識しながら基本的に全身に触れていきます。すると、全身の流れが良くなって、痛みのある部分の滞りも改善されます。
―整体技術は、どのように確立されたのでしょうか?
技術のベースは鍼灸学校で習ったものです。でも、いいなと思うものはどんどん学んでいきました。いろんな先生や講座に習いに行くのはもちろん、一緒に働いている先生や街で受けた整体でも、いい技術だと思ったら教えてもらいましたね。もちろん師匠の技術も入っていますし、骨ナビの考え方というのも活かされています。
ベースにあるのは、やっぱり自分なんです。自分が気持ちいいと思うものは実感をもって相手に提供できますからね。私自身痛いところがあったとして、ここで良くなりますよって言われても、全身触って欲しいなと思うんですよね。だから私の整体では全身触れていきます。局所ではなく全体を満遍なくが大切だと思っています。
ヨガをする時も6割7割で。骨と関節を意識して、怪我のないヨガを
―担当されているヨガのクラスでは、どんな内容を行っていますか?
私が担当しているのは「基本のヨガ」というクラス。ポーズに対してどんな意識でやっていくといいのか、という練習をしていきます。多くのヨガクラスは、身体操作の基本をわからずにやっていく流れになっているのが現状です。私のクラスでは、その基本をしっかり理解し、各ポーズで体にどんな効果があるのか、骨と関節の動きを考えながら行うことを重視しています。初心者の方はもちろん、ヨガに習熟した方も受講していただいています。
―ヨガを教える時に意識していること、生徒さんによく伝えていることは何でしょう?
徹底して伝えているのは、「絶対に全力でやらないでください」ということです。これも、6割7割で、ということですね。
しゃべりかけられたら普通に応えられて、呼吸が乱れない程度に行えば怪我をすることも体への負担もありません。一生懸命頑張れば成果が出ると思いがちですが、会話ができないくらいの集中は体を頭も固まっている状態。だから、少し意識や力みを分散させていったほうが効率的なんです。
ヨガのポーズをとることで目指す効果は、全身の巡りがよくなること。それには、力を入れ過ぎず、頑張り過ぎずにやることが大事です。
―骨ナビを整体にも活かされているとのことでしたが、ヨガとの親和性はいかがでしょうか?
ヨガの動作では筋肉をのばしていくことが多いので、そこに骨ナビの「骨と関節はどう動いているのか」という視点を取り入れると、また一段体にとってやさしい取り組みになります。
ヨガやストレッチは筋肉をのばす以上、間違ったやり方で取り組むと「やらないほうがよかった」ということも起きます。自分の体のキャパシティを知らずに、100%で取り組むと体を壊してしまう。だから限界まで行わず、6割7割で。常に逃げと遊びを持って、やっていったほうがいいんです。
でも力を入れるというのは簡単だけど、抜くというのはすごく難しくて、修練が必要です。そこを骨ナビで練習していく。
「6割7割で行う」と聞くと、効果が出にくそうに感じるかもしれません。でも怪我をせずに、しっかり6割7割の実力を上げていけるので、最終的には体がよくなっている率が高いんですよ。
大江さんが伝授! 全身の巡りを良くするヨガポーズ
基本のヨガポーズのなかから、全身の巡りを良くするのにおすすめのポーズを教えていただきました。丸まりがちな骨盤周りの関節を動かすことで、体の滞りを改善していけるそう。
1. ウトゥカタコーナーサナ(女神のポーズ)
下半身の強化と安定感を作ってくれるポーズ。骨盤の内側にある「仙腸関節」から、体を左右に割っていくイメージで開いていきます。
足を肩幅より開き、つま先を横に向けて立つ。仙腸関節から脚を左右に開きながら腰を落とす。膝は足首より前に出さず、上半身をまっすぐキープ。「腰を下げる」ことを意識すると、体に負担がかかるので、脚を左右に開くことを優先しましょう。
2. ナヴァーサナ(船のポーズ)
インナーマッスルである腸腰筋を鍛え、骨盤を立たせるため、姿勢改善に効果的。内ももを引き締めて前ももを縮め、お腹と脚を引き寄せることを意識して。
膝を立てて座り、腰が丸まらないように背骨を伸ばしながら、脛が床と平行になるようにゆっくりと足を浮かせます。両手を前に伸ばしてキープ。股関節を引き込み、お腹と太ももが寄せられているか確認して。すると自然と骨盤が立てられるように。
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整体によるスペースのある体作りと、骨ナビで体の基本を理解し、6割7割の力で行うヨガ。仕事にも、整体やヨガにも「スペース」が必要であるという大江さんの考えを、全3編で感じられました。これからヘルスケア業界を目指される方は、ぜひ参考にしてみてください。
▽#1はこちら▽
骨と関節を意識したヨガ+整体で成功! そこに辿り着いた経緯とは【ヘルスケアのお仕事 Vol.35 ブルースカイヨガスタジオ 大江清一朗さん #1】>>