看護師国家試験の概要を紹介! 受験資格を詳しく解説看護師国家試験の概要を紹介! 受験資格を詳しく解説
国家資格として認定されている看護師の資格は、国家試験に合格しないと取得することができません。看護師国家試験を受ける場合、その対策をしっかりとおこなうと同時に、試験自体の概要についても知っておくとよいでしょう。
ここでは、この看護師国家試験の概要や受験資格を満たすためのルートなどについて解説していきます。
看護師国家試験の概要を紹介!
看護師国家試験は毎年実施されており、受験する場合にはその年の試験概要を確認する必要があります。ここでは、現時点で最新となる第110回試験の概要を見ていきましょう。
1. 試験日・試験地
看護師国家試験は毎年1回実施されており、第110回の試験は2021年2月14日(日曜日)におこなわれました。詳細な日付に関しては毎年異なりますが、おおむね毎年この時期に試験は実施されていると認識しておくとよいでしょう。
また、第110回の試験地は「北海道・青森県・宮城県・東京都・新潟県・愛知県・石川県・大阪府・広島県・香川県・福岡県・沖縄県」となっています。こちらに関しては、すべての都道府県でおこなわれているわけではないという点に注意が必要です。
2. 試験科目|人体の構造と機能・基礎看護学など
看護師国家試験を受ける場合、出題される試験科目を知っておくことも不可欠です。基本的な試験科目は以下のようになっています。
・人体の構造と機能
・疾病の成り立ちと回復の促進
・健康支援と社会保障制度
・基礎看護学
・成人看護学
・老年看護学
・小児看護学
・母性看護学
・精神看護学
・在宅看護論および看護の統合と実践
また、試験では「必修問題」「一般問題」「状況設定問題」がこれらの科目にもとづいて出題されます。そのため、試験対策においては、特定の科目だけに知識のかたよりが生じないようバランスよく学習を進めていくことが大切です。
過去問&解答はダウンロード可能
看護師国家試験の対策では、過去問を見ながら問題の傾向などを確認しておくのも有効です。過去問と解答に関しては厚生労働省のホームページからダウンロードできるため、こちらも確認しておくとよいでしょう。
第110回試験問題と解答のダウンロードページ
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp210416-03_04_05.html
3. 受験手続き
受験希望者は、決められた期間内に受験手続きを済ませなければなりません。手続き期間は第110回の場合、2020年11月13日(金曜日)~12月4日(金曜日)となっていたことから、こちらも毎年この時期に手続きをおこなう必要があることを覚えておくとよいでしょう。ここでは、この受験手続きをする際に提出するべき書類をご紹介します。
すべての受験者が提出する書類など
すべての看護師国家試験受験者が提出しなければならない書類としては、以下の3点が挙げられます。
・受験願書
保健師助産師看護師法施行規則(2014年厚生省令第34号)第2号様式にのっとって作成したものが必要です。
・写真
出願前6カ月以内に撮影した縦6cm×横4cmの写真を用意して、裏面には撮影年月日と氏名を記入します。
・返信用封筒
縦23.5cm、横12cmで表面に郵便番号・宛先・宛名を記載します。そして、529円(定形郵便94円+一般書留435円)の郵便切手を貼付し、「書留」と記載しましょう。
大学や養成所などで必要な課程を修了した人(見込みの人)
大学や養成所などで必要な課程を修了した人の場合、そのことを証明する「修業証明書」の提出が必要です。
また、修業見込みの人の場合、受験手続き時には修業見込み証明書か卒業見込み証明書を提出し、後日、修了した際に修了証明書を提出する流れとなります。
指定大学などで2年以上修業した准看護師(修業見込みの人)
看護師国家試験は、指定大学などで准看護師として2年以上修業した人でも受験できます。この場合、修業証明書かそのほかの2年以上の修業を証明する書類の提出が必須です。
また、こちらも修業見込みの人の場合は、最初に修業見込み証明書などを提出し、その後、修業証明書などの修業したことを証明する書類を提出する必要があります。
外国で養成所を卒業または看護師免許を取得し、厚生労働大臣の認定を受けた人
外国で養成所を卒業したり、看護師免許を取得したりしたうえで厚生労働大臣の認定を受けた人もまた、看護師国家試験を受けられます。
この場合、厚生労働大臣の認定を受けた際に取得できる看護師国家試験受験資格認定書の写しの提出が必要です。
外国人看護師候補生で、厚生労働大臣の認定を受けた人
看護師国家試験はインドネシア・フィリピン・ベトナムの看護師候補生で、なおかつ厚生労働大臣の認定を受けた人も受験可能です。この場合も看護師国家試験受験資格認定書の写しの提出が必要となります。
また、こちらは看護師国家試験受験資格認定見込み書の写しを提出することでも受験手続きができます。
4. 受験手数料|収入印紙で納付
看護師国家試験を受けるには、受験手数料を期日までに支払わなければなりません。第110回試験の手数料は5,400円でしたが、今後金額が変更されることも考えられるため、こちらも必ず最新の情報を確認するようにしてください。
また、受験手数料は収入印紙で納付する形のため、早めに用意しておく必要があります。
5. 合格発表日・合格率|厚生労働省ホームページで発表
看護師国家試験の合格発表は、毎年3月の下旬におこなわれています。第110回は、2021年3月26日(金曜日)の午後2時に厚生労働省ホームページにて発表。
発表方法に関しては今後変更・追加がされることも考えられるため、こちらも最新の情報を確認してください。
ちなみに第110回の合格率は90.4%となっており、しっかりと対策を講じておけば合格できる可能性はじゅうぶんにあるといえるでしょう。
6. 受験願書の請求方法
看護師国家試験を受ける場合、受験願書を取り寄せ、期日までに出願をしなければなりません。受験願書は郵送、もしくは窓口での請求が可能ですが、コロナ禍の現在では郵送での請求が推奨されています。
郵送の場合、請求用紙と返信用封筒を看護師国家試験運営本部事務所、または厚生労働省医政局医事課試験免許室へ送付します。この場合、願書が手元に届くまでに1週間程度かかるため、早めに請求することが大切です。
窓口の場合は看護師国家試験運営臨時事務所、または厚生労働省の受付窓口で手続きをおこないます。この場合、事前の訪問予約と身分証明書の提示が必要です。ちなみに、第110回の願書配布は2020年10月中旬に開始されました。
看護師国家試験の受験資格を詳しく解説!
看護師国家試験を受けるためには、受験資格を満たさなければなりません。そのためには、一定の基準を満たした学校や養成所などへ通い、決められた時間だけ学習をすることが必須です。
つづいては、受験資格を満たすためのルートを解説していきます。
1. 高校卒業+4年制大学の看護師課程で学ぶルート
高校を卒業してから看護師を目指す場合に選択肢のひとつとなるのが、4年制大学の看護師課程で学ぶルートです。このルートでは看護師試験を受ける場合にも必要となる看護関連の必修課程がある大学へ進学しなければなりません。
そのため、大学受験の勉強を通じて看護などに特化した基礎的な知識を身につける必要があります。
2. 統合カリキュラム|高校卒業+看護師課程のある養成所で4年学ぶルート
高校を卒業してから看護師を目指す場合、看護師課程のある養成所で4年間学ぶルートも選択肢のひとつです。この養成所では統合カリキュラムのもと看護師に求められる知識や技術を学ぶことができます。
また、養成所は全国にあり、看護師国家試験対策にも力を入れているところを選ぶとよいでしょう。
3.統合カリキュラム外|高校卒業+看護師課程のある養成所や短大で3年以上学ぶルート
高校卒業後に看護師課程のある統合カリキュラム外の養成所や短大で3年以上学ぶことでも、看護師国家試験の受験資格を満たせます。
できるだけ早く受験し、看護師資格を取得したいという方は、こちらのルートも選択肢のひとつとして考えてみるとよいでしょう。
4. 中学卒業+5年一貫教育校で学ぶルート
中学卒業以前から看護師になることを決めている方の場合、中学卒業と同時に5年一貫教育校で学ぶというルートもおすすめです。
このルートでは早くから看護師国家試験の受験対策をはじめることもできるため、早くから看護師になることを志し、できるだけ早くその資格を取得したいという方が選択するケースも少なくありません。
5. 准看護師資格を活かすルート
すでに准看護師資格を取得している方の場合、その資格を活用できるルートを選び、看護師国家試験の受験資格を満たすことも可能です。つづいては、このルートの詳細について見ていきましょう。
養成期間2年の養成所・短大で学ぶルート
准看護師資格を保有している場合、養成所や短大で2年間学ぶだけで看護師国家試験の受験資格を満たせます。
このルートでは准看護師の仕事に関する知識や技術を土台とすることができるため、上述したほかのルートにくらべて短期間で必要な知識・技術を身につけることが可能です。
通信制で2年学ぶルート
准看護師資格を保有している方の場合、通信制の学校で2年間学ぶことでも看護師国家試験の受験資格を満たすことが可能です。
とくに働きながら看護師資格の取得を目指したい場合、こちらのルートを選択するとよいでしょう。
受験資格を満たして国家試験に臨もう!
看護師国家試験は合格率が比較的高く、しっかりと対策をしたうえで臨めば合格しやすい国家資格といえます。その一方で受験資格を満たすためには2年以上の期間にわたって学校や養成所で学習する必要があり、それらも含めると試験対策は早い段階から計画的におこなうことが重要です。
このことから、これから看護師資格の取得を目指す方は、まずは自身にとって最適なルートを理解し、それに見合った方法で学習をはじめることをおすすめします。
引用元:
厚生労働省 看護師国家試験の施行
厚生労働省 第107回保健師国家試験、第104回助産師国家試験、第110回看護師国家試験の問題および正答につい
厚生労働省 第107回保健師国家試験、第104回助産師国家試験及び第110回看護師国家試験の合格発表
厚生労働省 保健師助産師看護師国家試験の現状について
厚生労働省 看護師になるには
日本看護協会 看護職を目指す方へ