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特集・コラム 2023-07-21

作業療法士(OT)の仕事内容は?将来性や試験内容について解説

作業療法士(OT)は、身体面・精神面で障害を抱えている方の援助をして、動作能力や社会生活に復帰できるように支援する職業です。

しかし、作業療法士の具体的な仕事内容や作業療法士になるための準備について、詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか?

今回は、作業療法士の具体的な仕事内容やなるために必要なこと、将来性について紹介しますので、自分が目指すべき職業かどうかを判断する参考にしてください。

作業療法士(OT)とは?

ここでは、作業療法士とはどんな職種なのか、また期待される役割にはどのようなものがあるかを紹介します。仕事内容や資格取得などを具体的に見る前に、その概要をあらためておさらいしておきましょう。

訓練・指導・援助で3つの能力の維持・改善する医療技術者

作業療法士は医療技術者であり、OTという略称でも知られています。その役割は、身体や精神に障害を抱える利用者がその機能を回復できるように、日常生活における作業や動作などの訓練・指導・援助をおこなうというものです。

作業療法によって社会との関わりを作る「作業能力」を得る

作業療法士は、訓練・指導・援助のプロセスで、利用者の「作業」の獲得をサポートします。作業活動には下記のような活動が挙げられます。

・セルフケア(排泄・風呂・着替えなど)
・家事(調理・洗濯・掃除など)
・地域活動(コミュニティへの参加)
・余暇活動
・仕事

作業能力の維持・獲得を目指し、利用者と社会とのつながりを作る仕事です。

引用元:一般社団法人 日本作業療法士協会:作業療法士ってどんな仕事?

動作能力や社会適応能力の獲得をサポートする仕事

作業療法士がサポートする作業能力は、下記の3つのカテゴリーに分類されます。

・基本的動作能力(基本的な動作や感覚、精神力や認知能力)
・応用的動作能力(食事やトイレ、家事など日常的に必要になる能力)
・社会的適応能力(地域活動への参加、就労・就学への復帰)

基本的動作能力は、人間としての生活を送るために最低限必要な動作です。加えて、応用動作は、食事やトイレなど、独立した生活を自分で営むために必要な動作だといえます。

作業療法士は身体的な障害だけでなく、統合失調症などの精神障害も含めた、心身のリハビリテーションをおこなうことができるのが特徴です。病気やケガの段階に応じた作業の獲得を通じて、地域活動や就労などの様々な活動に参加できるようにサポートします。

引用元:一般社団法人 日本作業療法士協会:作業療法士ってどんな仕事?

作業療法士の仕事内容を紹介!

ここでは作業療法士が活躍する具体的な場面、その仕事内容を紹介します。病気やケガなどにより発生した障害が今どの段階にあるのかによって、求められるサポート内容も変わってくるのが特徴です。

どの段階でも共通しているのは、機能そのものの回復・維持を最終的な目的とするのではなく、あくまでも生活の質を向上させるために訓練をおこなうという点でしょう。

急性期のお仕事|早期リハビリテーション

病気やケガの初期段階である急性期は、病気や怪我をしてサポートが必要と判断された直後の段階です。早期のリハビリテーションとして、心身の基本的な機能改善を援助したり、機能低下が進むのを食い止めたりします。

具体的なサポートの内容としては、自助具などを利用した食べる練習・トイレでの乗り降りの練習、居住空間における移動練習などです。

回復期のお仕事|生活方法の習得

回復期は、病状が安定し、少しずつ身体や精神の機能改善がみられる時期です。その後の生活を具体的にイメージしながら、生活するうえで不足している機能を訓練し、応用的能力の改善を図るのが目的です。人それぞれの必要性に応じた能力の獲得を目指します。

この時期には自宅に戻ってからの生活を想定し、身の回りのことや調理、買い物・散歩で外出する練習など、応用的活動のリハビリテーションをおこないます。

生活期のお仕事|より豊かに生きるために

病気やケガの症状がほぼ治まってからは、住み慣れた自宅や居住空間に移動してQOL(生活の質)を高めるためのサポートに移行します。

利用者さんが豊かな人生を送れるように、社会の中で安心して過ごす場や仲間づくりの場を提供するのが目的です。

また、生活を楽しむという点から、地域のコミュニティへの参加や就労支援を通して、社会復帰の練習や福祉用具を用いてのレジャーや趣味の実現を支援し、一人ひとりの利用者に寄り添いながら、より生活を楽しむための支援をおこないます。

作業療法士と理学療法士(PT)の違い

作業療法士(OT)とよく似た職業に理学療法士(PT)があります。両者の仕事内容をまとめると、下記のとおりです。

・理学療法士:日常の基本動作である身体機能のリハビリを行う
・作業療法士:日常動作から応用動作、社会適応まで総合的にサポートする

理学療法士(PT) – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

基本的な日常動作の獲得をサポートする点は同じですが、理学療法士は日常動作の獲得をサポートするのに対し、作業療法士は日常動作から応用動作、社会適応までサポートします。ちなみに、どちらの仕事も医師の監督のもとで行われる点では共通です。

作業療法士の方が、利用者をフォローする範囲が広いと覚えておきましょう。

引用元
厚生労働省:職業情報提供サイト jobtag|理学療法士

作業療法士になるにはどうすればいいの?

ここまで作業療法士の仕事内容を紹介しましたが、作業療法士という職業につくには作業療法士の資格が必要です。つづいては、作業療法士の資格を取得するまでの手順についてご紹介します。

作業療法士は国家資格! 国家試験を受験して合格しよう

作業療法士は国家資格であり、資格を取得するためには作業療法士国家試験を受験し合格しなければなりません。

試験は筆記試験、口述及び実技試験によりおこなわれます。直近の第58回国家試験は、2023年2月19日から20日にかけて実施されました。

引用元
厚生労働省:作業療法士国家試験の施行

国家試験を受験するには養成施設などで3年以上の勉強が必要!

介護・福祉関連の国家試験では、多くの場合実務経験をはじめとした受験資格を満たさなければなりません。

作業療法士の場合、大学や専門学校など国から指定を受けた養成施設で3年以上学び、卒業することが求められます。

多くの資格のような実務経験は必要ありませんが、学んだ知識だけで国家試験に臨むという意味では、より計画的・効果的な試験対策が必要ともいえるでしょう。

作業療法士国家試験の概要

作業療法士国家試験で出題される試験範囲は、下記のようになっています。

・一般問題:解剖学・生理学・運動学・病理学概論・臨床心理学・リハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む)・臨床医学大要(人間発達学を含む)及び作業療法
・実地問題:運動学・臨床心理学・リハビリテーション医学・臨床医学大要(人間発達学を含む)及び作業療法
・口述試験及び実技試験:重度視力障害者に対して、筆記試験の実地問題に代えて次の科目について行う。運動学・臨床心理学・リハビリテーション医学・臨床医学大要(人間発達学を含む)及び作業療法

基本的には、筆記試験によって合否が決まる試験です。ただし、重度視力障害者に対しては、筆記試験の代わりに口述及び実技試験が課され、弱視者については弱視用試験による受験が認められています。

引用元
厚生労働省:作業療法士国家試験の施行

試験の難易度はそれほど高くない

作業療法士国家試験の難易度は、そこまで高くありません。直近の動向を見てみると、作業療法士国家試験の合格率は8割を超えていることがわかります。

引用元
厚生労働省:国家試験合格発表:第58回理学療法士国家試験及び第58回作業療法士国家試験の合格発表について

厚生労働省:国家試験合格発表:第57回理学療法士国家試験及び第57回作業療法士国家試験の合格発表について

厚生労働省:国家試験合格発表:第56回理学療法士国家試験及び第56回作業療法士国家試験の合格発表について

国家試験だからといって、難易度が極端に高い試験ではないのでしっかり準備をして挑戦しましょう。

作業療法士は需要のある仕事? 将来性について解説!

今後長い期間仕事につく際には、仕事に対するニーズや将来性を知ることも重要です。ここでは、作業療法士の仕事に対する需要や就職先の選択肢、将来性を確認して、作業療法士として働くイメージをもっておきましょう。

現在の需要は高い?|病院以外にも活躍の場は広い

作業療法士は、回復した機能を日常生活で活かすことや、生活そのものを充実させるという重要な役割を担っている仕事です。そのため、活躍できる場も幅広く、介護施設や病院に加え、ほかの福祉施設や教育施設など多岐にわたり、需要もあります。

広がるニーズに対応するため毎年数多くの作業療法士が誕生していますが、それ以上にニーズが増え続けているため、人材不足という課題も抱えている状況です。このことからも、作業療法士に対する需要の高さがわかるでしょう。

就職先は保険・医療分野を中心に幅広い!

作業療法士の就職先は、医療・福祉・教育・司法分野など幅広いです。具体的には、下記のような就職先が挙げられます。

・病院・クリニックなど
・児童発達支援センター・就労移行支援事業所など
・介護老人保健施設・デイケアなど
・ハローワーク・生活支援センターなど
・保健所・地域包括支援センターなど
・特別支援学校・教育委員会など
・刑務所・保護観察所など

主にリハビリを行う病院や介護老人施設などだけではなく、リハビリ後の社会適応のサポートを行う特別支援学校や刑務所など、幅広い就職先があるのがポイントです。

作業療法士の就職先はどこ?就職先別の業務内容や魅力を紹介

引用元:一般社団法人 日本作業療法士協会:作業療法士ってどんな仕事?

作業療法士の将来性は?

作業療法士は将来的に、非常に高い需要が見込まれます。医療技術者という職種ながら、病院だけでなく介護施設をはじめとした介護・福祉分野におけるニーズも高いからです。

近年は、とくに日常生活を送る動作自体の指標である「ADL」の向上から、生活の質を追求する「QOL」を重視した介護が一般的になっています。

また、これまで以上に「不自由のない日常生活」が求められる社会になっており、そのサポートをおこなう作業療法士の仕事は今後ますます重要になるでしょう。

作業療法士がおこなうリハビリテーションは利用者さんの機能を「回復」させるだけでなく、「予防・悪化防止」を目指す目的が広がりつつあります。

このように作業療法士の活躍が期待される場が増えているため、人材不足という声も上がっているということです。人手不足の傾向はこれからさらに拍車がかかるため、作業療法士の資格を取得すればこれからの就職にも有利にはたらくでしょう。

作業療法士の仕事内容を知って、どんな人をサポートしたいか明確にしよう!

今回は、作業療法士の仕事や試験内容、将来性について解説しました。作業療法士は、日常の運動動作から応用動作、社会適応まで総合的にサポートする仕事です。理学療法士と似ていますが、社会適応サポートまで行うのは作業療法士のみの特徴だといえます。

作業療法士になるためには、3年以上のカリキュラムを特定の教育機関で修了し、作業療法士国家試験に合格する必要があります。合格率は8割前後で推移しているのでしっかりと準備や対策を行うことで、挑戦しやすい国家試験だといえます。

作業療法士になった後の自分の姿をイメージしながら、どんな人をサポートしたいのかを考え、作業療法士を目指すべきかどうかを考えていきましょう。

引用元
一般社団法人 日本作業療法士協会:作業療法士ってどんな仕事?
厚生労働省:職業状況提供サイト:作業療法士(OT)
厚生労働省:作業療法士国家試験の施行
大阪保健医療大学:理学療法士と作業療法士の違いってなに? 具体的な仕事内容は?
厚生労働省:国家試験合格発表:第58回理学療法士国家試験及び第58回作業療法士国家試験の合格発表について
厚生労働省:国家試験合格発表:第57回理学療法士国家試験及び第57回作業療法士国家試験の合格発表について
厚生労働省:国家試験合格発表:第56回理学療法士国家試験及び第56回作業療法士国家試験の合格発表について

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