精神保健福祉士が社会福祉士を目指すには?|国家試験ではどんな免除が受けられるの?
すでに精神保健福祉士の資格を持っていて、キャリアアップをさせるために社会福祉士を目指そうと考えている方もいるでしょう。社会福祉士になると、児童相談所や障がい者支援施設、学校・学童などに就職することができるようになるため、就職先の幅がひろがります。
精神保健福祉士の資格を有している方が、社会福祉士を目指すにはどのような方法があるのでしょうか。ここでは、その方法を具体的に解説していきます。
精神保健福祉士が社会福祉士を目指すにはどうしたらいいの?
福祉の相談援助に関する専門家である社会福祉士。ここでは、精神保健福祉士が社会福祉士の受験資格を取得する方法について確認していきましょう。
ソーシャルワークの国家資格|福祉の相談援助に関する専門家
社会福祉士は、さまざまな理由により日常生活を営むことに支障が生じた方の福祉の相談援助に関する専門家です。具体的には、福祉サービスの紹介・利用調整などの業務をおこないます。
社会福祉士および介護福祉士法により、社会福祉士は名称独占の国家資格となっているため、国家資格を有していないと社会福祉士と名乗ることはできません。
精神保健福祉士とはどこが違うの?
社会福祉士と精神保健福祉士の業務とする範囲は重なる面が多く、どちらもソーシャルワーカーと呼ばれる職種ですが、対象者が異なります。
社会福祉士は、身体障害や家庭事情などの環境面での理由によって、日常生活を営むことに支障が生じた方を対象とします。一方で精神保健福祉士は、精神障害によって日常生活に支障が生じた方を対象としているのが特徴です。
社会福祉士と精神保健福祉士の違いについてはこちら:URL(K-397公開後リンク貼る)
社会福祉士国家試験の受験資格を紹介
社会福祉士は国家資格ですので、年一回実施されている国家試験を受験して合格しなければなりません。
受験資格を取得するには、福祉系大学・短大等卒業者(指定科目履修+必要に応じて相談援助実務)もしくは、社会福祉士指定養成施設卒業者であることが条件となっています。
社会福祉士の受験資格についてはこちら:URL(K-345公開後リンク貼る)
精神保健福祉士が目指せるルート|実務経験4年+一般養成施設ルート
精神保健福祉士が社会福祉士を目指す場合の一例として、現場となる施設での4年間の実務経験を経て、一般養成施設で1年以上学ぶ方法によって受験資格を取得するという方法があります。
実務経験の範囲とは?|障がい者分野
実務経験の対象となる施設・事業は「社会福祉士介護福祉士法施行規則」および「指定施設における業務の範囲等及び介護福祉士試験の受験資格の認定に係る介護等の業務の範囲等について」により定められています。対象となる施設は以下のとおりです。
・精神保健福祉士センター
・精神障害者生活訓練施設
・精神障害者授産施設(入所、通所、小規模通所)
・精神障害者福祉工場
これらの施設で福祉に関する相談援助業務が、実務経験の範囲となります。
一般養成施設とはどんなところなの?
先ほどご紹介した施設で4年以上の実務経験を積むと、一般養成施設で専門知識を学ぶことができます。
一般養成施設とは、1年以上修学する施設のことです。通信過程や全日制通学・夜間通学課程などの形態がありますので、ご自分のスタイルによって養成校を選ぶとよいでしょう。
実務経験証明書を事業所に提出して記入してもらおう
実務経験証明書は、実務経験+一般養成校で1年以上学んで受験資格を取得する方に必要となる書類です。実務経験を証明できない場合は、国家試験を受験できなくなってしまいます。
実務経験証明書は、記入用紙を厚生労働省のホームページからダウンロードすることが可能です。ただし、この証明書は勤務先の事業所側が記載することになっているので、ご自身で記入しないように注意してください。
国家試験ではどんな免除が受けられるの?
社会福祉士の受験資格を取得したあとは、国家試験を受けなければなりません。また、すでに精神保健福祉士の資格を持っている方が社会福祉士の国家試験を受験する場合には、一部免除される科目があります。
つづいては、社会福祉士国家試験の概要や試験科目、合格基準、さらには免除される科目について確認しておきましょう。
社会福祉士国家試験とは|年に1回実施
社会福祉士国家試験は年に1回おこなわれており、1月下旬から2月上旬の間に実施されています。午前は共通科目、午後は専門科目と、試験がわかれていて約2時間ずつの試験となり、配点は150点満点です。
試験地は東京、大阪、福岡などを含む合計24地域で実施されています。試験のおよそ1カ月後の3月中旬に、合格者を発表。合格率は毎年異なりますが、およそ30%程度の合格率となっています。
試験科目と合格基準を紹介
社会福祉士国家試験の試験科目は出題範囲が多いので、幅ひろい知識が必要となります。また、合格基準もどのようになっているのでしょうか。つづいては、社会福祉士国家試験の試験科目と合格基準についてご紹介します。
試験科目|共通科目+専門科目
試験科目は、共通科目(11科目)と専門科目(7科目)にわかれて出題されます。共通科目とは、精神保健福祉士と共通分野の試験内容です。具体的には、社会理論と社会システム・現代社会と福祉などがあります。
専門科目とは、社会福祉士専門分野の試験内容です。具体的には、相談援助の基盤と専門職・福祉サービスの組織と経営などがあります。
試験科目は全部で18科目あり幅がひろいため、じゅうぶんな試験対策が必要となるでしょう。過去の試験問題はダウンロードできますので、以下のリンクより過去問題を確認して、実際に問題を解いてみることをおすすめします。
社会福祉振興・試験センター 社会福祉士国家試験 過去の試験問題
合格基準|60%+18科目すべてで得点が必要
国家試験に合格するには、以下のふたつの合格基準を満たさなければなりません。
・総得点の60%程度を基準に、問題の難易度で補正した点数以上の得点者である
総得点の60%に満たない点数であったとしても、各問題の難易度を考慮して修正した得点が60%を上回っていれば合格点に達していると見なします。
・共通科目・専門科目の合計18科目のすべてにおいて得点をとる
合格点に達していたとしても、1科目でも得点をとることができない場合は、不合格になってしまうということです。そのため、すべての科目をまんべんなく勉強する必要があります。
精神保健福祉士は共通科目が免除される!
精神保健福祉士の資格を保有している場合は、受験申込み時に必要な書類を提出することで、共通科目を免除できます。試験では、専門科目のみ受験すれば問題ありません。
受験資格を満たして国家試験に臨もう!
精神保健福祉士が社会福祉士を目指すには、4年の実務経験と一般養成施設で1年以上学ぶ必要があります。また、すでに精神保健福祉士の資格を有していると、国家試験では共通科目が免除されるので、そのぶん試験勉強にかける時間も確保することが可能です。
精神保健福祉士が社会福祉士の資格を有することで職域が拡大し、対象者の範囲もひろがるため、キャリアアップにつながるでしょう。現場で相談援助業務を4年以上経験して一般養成校に通い、受験資格を満たしたうえで国家試験に臨んでみてくださいね。
引用元サイト
厚生労働省 社会福祉士・介護福祉士等
全国社会福祉協議会 社会福祉士
社会福祉振興・試験センター 社会福祉士国家試験 試験概要
社会福祉振興・試験センター 社会福祉士国家試験 受験資格(資格取得ルート図)
社会福祉振興・試験センター 社会福祉士国家試験 実務経験証明書の様式と記入方法
社会福祉振興・試験センター 社会福祉士国家試験 過去の試験問題
社会福祉振興・試験センター 社会福祉士国家試験 出題基準・合格基準
社会福祉振興・試験センター 社会福祉士国家試験 よくあるご質問