地方で整骨院を成功させるには「繋がり」が重要!【整体師/YouTuber 高橋竜士さん】前編
地方でヘルスケア事業に携わっている方に、集客や売上アップのための取り組みについてインタビュー。今回は宮城県仙台市で活動している整体師、高橋竜士さんにお話をうかがいました。
整骨院グループのマネージャーとして勤務する傍ら、整体師YouTuberとしても活動している高橋さん。昨年にはヘルスケア事業会社を立ち上げるなど、多岐にわたり活躍されています。
前編となる今回は、整骨院グループのマネージャーとして、地方出店のノウハウについてお話をお聞きします。
お話をうかがったのは…
整体師/YouTuber 高橋竜士さん
柔道整復師、鍼灸師資格を取得後、宮城県仙台市の整骨院に勤務。マネージャーとして店舗展開に携わり、グループ院に展開を拡げる。2年前よりYouTubeを中心にセルフケア情報を発信し、チャンネル登録者数は現在4.7万人超に。2021年には自身が代表を務める会社を立ち上げ、地方ヘルスケア事業の創生に取り組む。施術家向けマーケティングコンサルタントとしても活動中。
店舗オープン2カ月前から挨拶回りで地域との繋がりを構築!
――マネージャーに就任後、3店舗の店舗展開に携わったそうですね。店舗展開はすべて同じ仙台市内ですか?
はい。就職した1店舗目が仙台市内だったので、管理することを考えると同じ市内がやりやすいだろうと。とは言え、仙台は区で分かれていて、区が違うと別地域みたいな感覚なんです。なので、それぞれの区に展開していった感じですね。
――新規出店の際に大切にしたこと、意識したことはありますか?
オープン初月で一気に黒字化を目指していたので、おおよそ200~300人の新規集客が目標でした。そのなかで 僕がとくに力を入れたのは、オフラインでの集客です。
これは地方ならではだと思いますが、 地域のつながりや地域性というのはどうしても大きい。だから新しくコミュニティに入っていく際には、実際に面と向かって集客していくことがとても重要になります。
例えば5月に出店が決まったら、3月か4月くらいから、1日30件くらい挨拶回りに行きました。店舗の近くにある別事業のお店やコミュニティに顔を出して、どんなことをするのか説明したり、施術体験などもさせていただいたり。とくにメインターゲットとなる30~60代の女性が多くいそうな場所には、積極的に顔を出しました。
――オープン前から繋がりを作ることが大切なんですね。
実際の動きとしては、最低2回は顔を出していました。1度目のご挨拶まわりの際に「〇月〇日に地域の方限定でこんな施術体験会をします」とお知らせして、2度目に顔を出した際にご予約をお取りするんです。
初回で顔を知ってもらっているので、2回目に行くとたくさんの方からご予約をいただけました。 ひとつの施設やコミュニティから一気に予約をいただけるので、それを繰り返すとすぐに目標の集客数が達成できます。
地方はひとつひとつのコミュニティが強いので、1カ所に顔を出すだけでも、そこから紹介が生まれて…というかたちで、どんどんオフラインで繋がっていきます。逆に、その繋がりを作れないと、その地域から阻害されてしまうというリスクもあります。最初に面と向かって挨拶するだけで、その後の店舗運営が変わってくるんです。
黒字経営を維持するには個々の繋がりを強くすること
――初月から黒字スタート。その後、運営で大切にしたことは?
地方の場合、人の出入りがあまりありません。だから 一時的なサービスの提供ではなく、「この人の人生をどういう風にみていけるか」という価値観で施術を提供しないといけないと思っています。 それができないと、そこにいる人たちを集客し終わったら終わり。初月が瞬間最大風速で終わってしまうんです。
この「長期的なヘルスケアサービスを提供する」という価値観は、会社の理念でもあります。例えば腰が痛い場合、腰の痛みが取れるというところがゴールではなくて、今後痛みが出ないようにするにはどうしたらいいのかを考える。また、例えば女性だったら20代30代は単純に体が痛いという症状も、40代50代になってきたらホルモンバランスなどの問題になってきます。ライフステージによって変わる問題に、その ステージに合わせて僕らがどういうものを提供できるのかで、人生を通しての健康を提供するんです。
そのためには施術の内容も常に変わっていくべきですよね。お話しする内容も、例えば「今日はここが痛いからこうしましょう」ということじゃなくて、 「今こういう問題があるということは10年後20年後こうなりますよ」と、そこまで見据えて指導していく。そういう視点を、常にサービスに落とし込んでいくことが、地方の施術院運営では重要だと思います。
――運営や売上アップのためにスタッフの方々にとくに伝えていることはありますか?
スタッフみんなが、うちの会社に一生いてくれるかはわかりません。だからスタッフには、独り立ちしたり別の環境に移ったりしても、施術家として生き残ってもらいたいという想いがあるんです。
そうできるように、グループ院ではあるんですが、ちゃんと個々の色を出してもらうことを意識して伝えています。院のなかでも自分は他の先生より〇〇が得意ですよというものをちゃんと発信してもらう。例えば、ふだんからお客様とのやり取りの中で、セルフケア動画を送ったり、LINEで一言送るときだったりに、個人の色や得意分野を強く出させてあげるんです。
そうすると、そのスタッフに長い期間きちんとお客様がついてくれるようになります。人生を通してこんな施術やケアが必要なんだということをご理解いただいたうえで、そのスタッフにちゃんとついてくれる状態。そうなれば必然的に院の売上も上がりますし、既存のお客様が常にいる状態が作れます。
だから僕がいるグループ院は、新規の集客数がすごく少ないんです。 新規に頼らない運営というのは地方では重要なので、かなり意識してスタッフ教育から徹底しています。
――お客さんとのコミュニケーションも重要なのかなと感じました。
そうですね。そのベースを作るためにも、スタッフが率先して地域に溶け込んでいく活動を普段からしていく必要があると思います。地域ならではの価値観というものはありますし、その地域が地元だというスタッフはあまりいませんから。
ただ繋がりを作るのって結構パワーが必要なので、まずはマネージャーとして僕が主導で動かざるを得なかったりはします。僕がまずコネクションを作って、例えば 施設でのイベントに施術体験ブースを出展させてもらったり、何かのお手伝いに行ったりという場を作り、そこにスタッフを派遣する。積極的に地域とのコミュニケーションをとる努力は絶対的に必要ですね。
その上で、一度お店に来ていただけたあとは、個人間でのコミュニケーションが重要になってきます。これができると、自分という人間にしっかりお客様がついてくれるようになるんです。このコミュニケーションは今の売上はもちろん、将来的な売上にも影響してくると思います。
――既存顧客を作るためのコミュニケーションとして意識していることはありますか?
僕の場合はSNSでお客様と繋がっているので、例えば以前の投稿でお子さんが熱を出したというものがあったなと思えば、一言「お子さん体調いかがですか」と添えたり。そういった何気ないコミュニケーションを取ることです。
あと大前提としてスタッフにも伝えているのが、コミュニケーションをとる頻度。気まぐれでメールするとかではなく、毎日おおよそ何人には連絡をとるなど、定期的にコミュニケーションをとることは徹底しています。気にかけているということを伝えるには、内容どうこうより頻度が一番大事ですね。
地方でヘルスケア事業を運営するために大切なこと
1.コミュニティとの繋がりを作る
2.「人生をみる」という視点でサービスを提供する
3.密なコミュニケーションで顧客を作る
コミュニティや顧客との密な繋がりが必要という地方ならではの視点は、地方での施術院展開を考えている方の参考になったのではないでしょうか。
次回後編では、高橋さんが取り組んでいる施術家のSNS運営にフォーカス。オンラインで成功するためのノウハウをお聞きします。
取材・文/山本二季