資格なしのホームヘルパー(訪問介護員)っているの?無資格でもできること・できないことについて詳しく解説!
ホームヘルパーの需要は、高齢化により増加傾向にあります。求人も多いため、興味を持つ方も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では「資格がなくても働ける?」「資格なしの場合、どのような仕事を任される?」といった疑問について詳しく解説します。ホームヘルパーの仕事に興味がある方はぜひ参考にしてください。
資格なしのホームヘルパー(訪問介護員)っているの?
ホームヘルパーは資格がなければ勤まらないと考える方も多いかもしれません。しかし、資格がなくても、ホームヘルパーとして働くことは可能です。ここでは、資格なしのホームヘルパーの現状と求人について解説します。
資格なしのホームヘルパー(訪問介護員)の現状
本来、ホームヘルパーとして働くためには資格が必要です。しかし、2020年4月に人材不足が問題視され、有資格者が足りていない場合にかぎり、資格がなくてもホームヘルパーとして訪問介護ができるようになりました。
ただし、無資格者が訪問介護するには次の2つの条件があります。
・介護サービスの経験者であること
・問題なくサービスの提供ができること
高齢者公益財団法人の労働者調査によると、2022年には訪問介護職員の0.7%が無資格という結果でした。現状、無資格者雇用に期限は決められていないため、今後さらなる増加も考えられるでしょう。
資格なしのホームヘルパー(訪問介護員)の求人
無資格者のホームヘルパーの求人は2020年から2022年にかけて増加しています。老人ホーム検索サイトを運営する株式会社クーリエの調査によると、2020年の資格なしのヘルパーの求人は約50%。2年後の2022年には60%を超える求人が掲載されています。
これは、有資格者の深刻な人材不足が原因です。これまでは、生活援助や事務作業も有資格者であるホームヘルパーがおこなっていました。
しかし、人材不足解消のために利用者に触れない業務などを無資格者に分担するようになったことが、求人数増加につながっています。
ホームヘルパー(訪問介護員)の資格がなくてもできる仕事
ホームヘルパーの資格がなくてもできる仕事内容は、次の5つです。求人のほとんどがこれらの業務ができる方を募集しています。
・身体介護
・生活援助
・有資格者のサポート
・利用者さんの送迎など
・事務作業
以下で順に紹介します。
無資格でもできる仕事①身体介護(施設内のみ)
施設内で介護福祉士の指示をうけながら業務にあたる場合にかぎり、無資格でも身体介護ができます。身体介護とは利用者の身体に直接触れてサポートすることを指します。無資格でも、着替えや体位変換だけではなく、食事介助や入浴介助、排泄介助も可能です。
ただし、介護の経験や知識がまったくない方がいきなり身体介護することは現実的ではありません。介護補助などの身体介護を手伝う補助的な業務が一般的です。
自宅に訪問して介護するホームヘルパーとして、身体介護をしたい場合は「介護職員初任者研修」などの介護の資格を取得しましょう。
無資格でもできる仕事②生活援助
生活援助は、施設内外問わず資格がなくてもできる仕事です。生活援助とは、利用者が日々不便なく暮らせるように身の回りのサポートをすることをいいます。仕事内容は部屋の掃除・炊事・洗濯・買い出し・ベッドメイキングなど多岐にわたります。
身体に触れる直接的な介護ではありませんが、利用者の生活を支える大事な仕事です。利用者との信頼関係が重要になるため、相手の気持ちを汲み取ってコミュニケーションがとれて最低限のマナーと家事能力さえあれば、未経験でも充分活躍できるでしょう。
無資格でもできる仕事③有資格者のサポート
直接的な身体介護はできませんが、身体介護する有資格者のサポート業務は可能です。例えば配膳や食後の片づけなどの食事介助のサポート、着替えやタオルの準備などの入浴介助をサポートすることで、有資格者がスムーズに身体介護できます。
有資格者をサポートする無資格者がいることで、結果的に利用者に満足してもらえるサービスを提供することに繋がるのです。
介護の知識はそれほど問われませんが、コミュニケーション能力はもちろんのこと、利用者の変化に気が付く観察力や協調性が必要とされます。
無資格でもできる仕事④利用者さんの送迎など
ホームヘルパーの場合、利用者が通うデイサービスへの送迎業務は無資格でも可能です。デイサービスの時間までに利用者を車で送り、終わるころに迎えにいきます。
ただし、車の乗り降りのサポートは直接利用者に触れるため、車の乗り降りに介助が必要な利用者の送迎はできません。介助が必要な利用者を送迎するには「介護職員初任者研修」など身体介護ができる資格を取得しましょう。
もちろん、普通自動車第一種運転免許の補修者限定です。高齢の利用者を乗せることが多いため、急ブレーキをせず、利用者の身体に負担をかけない丁寧な運転を心がけましょう。
無資格でもできる仕事⑤事務作業
ホームヘルパーの仕事は利用者と直接関わる仕事だけではありません。事務所での電話応対や介護に必要な備品の発注や管理、介護記録をつける事務作業は、無資格でもできます。
また、その日利用者に相談されたことを有資格者へ報告したり、ほかのホームヘルパーに業務の引継ぎをしたりすることも大切な仕事です。
こうした事務作業がきちんとできないと、利用者との信頼関係を築けないだけではなく、施設の信用問題にまで関わってきます。
たとえ資格を持っていなくても、ホームヘルパーとして介護に携わっている以上、責任を持ち業務にあたりましょう。
ホームヘルパー(訪問介護員)の資格がないとできない仕事
ここまでホームヘルパーの資格が無くてもできる仕事を紹介してきましたが、ここからは、資格がないとできない身体介護の具体的な業務内容と必要な資格の種類について紹介します。
資格がないとできない仕事①訪問による身体介護
資格がないとできない身体介護の具体的な業務内容は以下のとおりです。
・食事介助(食前のうがいや嚥下体操、姿勢の確認などを含む)
・入浴介助(洗顔や洗髪などを含む)
・清拭
・排泄介助(トイレまでの誘導、オムツ交換)
・衣類の着脱
・体位変換(2~3時間以内に1回)
・歩行介助
食事介助といっても、ただ食事を食べさせるだけではありません。食事前のうがいや嚥下体操、食べやすい姿勢の確認から食後の静養まで幅広い業務があります。
これは食事介護にかぎったことではなく、ひとつひとつの介助に付随する多くのスキルと知識が必要です。
訪問介護で身体介護ができる資格の種類
訪問介護で身体介護するために必要な資格は以下の7つです。
・介護職員初任者研修
・介護職員実務差研修
・介護福祉士
・居宅介護または重度訪問介護を提供
・介護職員基礎研修(2013年に実務者研修に統合)
・訪問介護員1級(2013年に実務者研修に統合)
・訪問介護員2級(2013年介護職員所員者研修に改名およびカリキュラム変更)
訪問介護の場合、利用者の自宅には基本一人で訪問しサービスを提供します。したがって資格を持たないホームヘルパーは、有資格者の指示を仰げないため、上記の資格が不可欠です。
訪問介護の資格を取得し利用者の生活を支えよう
資格が無くてもホームヘルパーとして、訪問介護の仕事に携われますが、資格を取得することで訪問介護においても身体介護が可能となり、仕事の幅が広がります。
介護未経験であれば、初心者向けの「介護職員初任者研修」がおすすめです。無資格で働きながらでも取得できるため、ぜひチャレンジしてみてください。
現在、介護業界は人材不足です。介護の資格を取得し、一人前のホームヘルパーとして利用者の生活を支えていきましょう。
引用元
公益財団法人 介護労働安定センター
令和3年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書