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ヘルスケア 2023-03-31

SNSは戦場ではない。人とつながり、信頼を借りる「クボ鍼灸院」

2021年に開業され、全国でも数少ない東洋医学専門の鍼灸院として話題を集めている「クボ鍼灸院」。前編では西洋医学の鍼灸師だった久保さんが、なぜ東洋医学専門の鍼灸院を立ち上げたのかを伺いました。転機となったのは、妻・里菜さんの産後の不調。その里菜さんを救った東洋医学に可能性を感じ、開業に至ったといいます。

後編ではTwitterのフォロワーが2万人を超える久保さんに、どのようにして認知を広げていったのかを伺います。ペルソナ設定をしっかりした発信でフォロワーを獲得してきたという久保さん。もう1つ大切にしてきたのが、SNSで同業の先生とつながりを持つことだといいます。同じ思いを持った先生方から借りた信頼により、フォロワー数が増えたり、来院につながることも多かったそうです。

今回、お話を伺ったのは…

久保和也さん

クボ鍼灸院・院長/鍼灸師
鍼灸接骨院で経験を積んでいたときに、妻の不調を経験したことから、東洋医学の可能性を感じるようになり、2021年6月に東洋医学専門の「クボ鍼灸院」を開業。これまで延べ2万人に施術を行い、慢性疾患の改善を行っている。また東洋医学を広めるためSNS発信にも力を入れており、Twitterのフォロワー数は2万人、YouTubeのチャンネル登録者は1.5万人を超える。

一匹狼にならず、人とつながりながら発信していく

久保さんのTwitter。季節の不調などの対処法を発信し、人気を集めている

――Twitterのフォロワーが2万人いらっしゃいますが、どのようにしてフォロワーを増やしてきたのでしょうか?

ペルソナをきちんと設定した発信が重要だと思っています。あるときまで僕は、みんなに理解してもらいたい、みんなに良く思ってもらいたいと思って発信していたのですが、不特定多数に向けた発信はあまり刺さらないんですよね。そこからペルソナを意識するようになりました。僕のツイートはすべて、実際に患者さんから受けた相談に対して僕が答えた改善策やエクササイズ、食事などのアドバイス内容をツイートしているだけなのですが、1人が悩んでいることは、かならずほかにも悩んでいる人がいます。そして発信した内容が役に立ったと思ってくれた方はリツイートやいいねで反応をしてくれるので、徐々にフォロワー数が伸びてきました。

――ほかにも何か心がけてきたことはありますか?

同業の先生方とSNS上でコミュニケーションをとることを大切にしてきました。SNSでつながっている同業の先生が後押ししてくれて、リツイートしてくれたりすることで、信頼が増し、実際に来院してくださる方もいらっしゃいました。治療家の方のなかにはSNSのなかで一匹狼のようになって、なかなかフォロワーが増えないと孤軍奮闘している方がいらっしゃいますが、僕は人の力を借りた方が信頼を集めやすいし、伸びていくと思っていますね。

僕のSNS発信の目的は、東洋医学の素晴らしさ、可能性を知ってほしいという思いなんです。そして僕とつながりのある東洋医学の先生方の多くも、そのように考えていらっしゃいます。それぞれちょっとずつ考え方が違ったとしても、大元のところで同じ思いがあるので、つながりが生まれやすいのかもしれません。

「先生らしさが出てない」患者さんの声で変わったYouTube

久保さんのYouTubeチャンネル。チャンネルキャラクター「かたつむりパイセン」とのコミカルなやりとりが視聴者にも好評

――YouTubeにも力を入れていらっしゃいますね。発信する際に心がけていることはありますか?

等身大の自分として発信するようにしています。それに気付かせてくれたのは、患者さんからの声なんです。あるときYouTubeがあまりにも伸びなくて、患者さんが来院するたびに「僕のYouTubeを見てて、どう思います?」と聞いていたことがあって。そのときに信頼関係のある患者さんから言われたことが「あの動画、先生らしさが全然出てないし、しゃべり方がよそ行きになってます」という言葉でした

――しゃべり方がよそ行きに。

はい。東洋医学に熱くて、よく冗談言ったり、ふざけたりしている先生っぽさが全然ないといわれたんです。どうやって改善しようか考えていたときに、YouTubeライブをやってみたらすごく反応がよくて。撮影のときって、どうしても緊張してしまうのですが、ライブだとその場のノリになるんですよね。お茶を飲んだりしながら、リラックスして、素の自分を見せられたのかな、と。そこからありのままの自分、完璧じゃない自分を出したほうがいいんだと思い、意識するようになりました。

――YouTubeにはかたつむりパイセンというキャラクターも登場していますね。

これは信頼している漢方の先生から「もっとキャッチーさを出したらいいと思う」と言われたことがきっかけになっています。キャッチーさをどうやって出そうかと考えた結果、行き着いた結論が、僕が変装するか何かキャラクターを登場させるしかないということで。娘が描いたかたつむりの絵を元に、妻がデザインしたのがかたつむりパイセンです。妻が声を担当してくれるときもありますし、タイミングがあわないときは、ただ僕のよこにキャラクターだけを置いているだけのときもありますが、このキャラクターがいるだけで僕も素の自分を出しやすいし、エンタメの要素が加わったのかなと思います

YouTubeに関しては、いまだに正解が何なのかよくわからないところが多く、これまでやったことがチャンネルにどうプラスになっているかはわからないのですが、患者さんから「先生がすごく楽しそうだった」、「かたつむりパイセンファンです」と言われることが増えました。この治療院と患者さんをつなぐツールとしても、大きな役割を担っている気がします

東洋医学の知恵を伝え続ける

東洋医学についてもっと知ってもらいたいと、熱を込める久保さん

――今後の目標を教えてください。

東洋医学をもっと広げていきたいですね。鍼灸治療の可能性だけではなく、食事や生活習慣などの東洋医学の知恵をもっと多くの人に知ってもらいたいと考えて行動しています。東洋医学が、病院や薬以外のもう1つの選択肢になってくれればうれしいですね。そして知ってもらいたいのは大人だけでなく、子どもたちに対しても同じように思っています。子どもの頃から東洋医学の知恵を知ってもらえれば、病気になりにくい体作りにもきっと役立つのではないかと。

そうするためには発信に力を入れるだけなく、僕の鍼灸治療で結果を実感できる人を増やしていかなくてはいけないなと思っています。体が良くなった、楽になったと言ってくれる人が増えるよう、これからも進化していきたいです。


東洋医学の話になると、熱く語りだす姿が印象的だった久保さん。人生をかけて東洋医学の良さを伝えていきたいという思いが、患者さんや同業の先生たちにも伝わり、信頼を集めているのではないかと感じました。

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