グループホームにおける社会福祉士の果たす役割とは
超高齢社会に突入した日本においては、今後さらに高齢化が進み、高齢者の人口は増加傾向にあります。高齢化に合わせて介護を必要とする人が増加する中で、さまざまな社会保障制度ができ、施設が多様化し、福祉の現場で専門知識が必要になっていきます。グループホームは認知症高齢者が少人数で生活をする施設です。ここではグループホームで仕事する福祉の専門職である社会福祉士について紹介します。
社会福祉士の資格と活躍の場
「介護福祉士」「精神保健福祉士」に並ぶ福祉系専門職の国家資格が「社会福祉士」です。この3つを合わせて「三福祉士」とも呼ばれ、「社会福祉士及び介護福祉士法」で1987年5月に制定されました。社会福祉士は有資格者でないと、名乗ることができない名称独占資格です。身体的もしくは精神的、経済的に問題を抱え、支援が必要な方に対して、専門的な知識と技術をもって相談に応じ、解決に導くのが主な仕事です。このような仕事をする人を、一般的にソーシャルワーカーと言います。
グループホームでは主に介護保険や介護計画、自立に向けた相談などに応じ、行政や医療機関などと連携して認知症高齢者の介護プランを作成することになります。特別養護老人ホームやグループホームなどの施設でソーシャルワーカーとして働く他、病院・診療所などの医療機関では医療ソーシャルワーカーとして、社会福祉事務所・児童相談所など地方自治体の職員として活躍の場があります。
社会福祉士の資格を取るには
社会福祉士になるには国家試験に合格する必要がありますが、試験を受けるためにも受験資格が必要です。受験資格を得るにはいくつかのルートがありますが、一般的には福祉系4年制大学において指定科目を履修して卒業する方法があります。福祉系大学卒業ではない場合、実務経験が必要になります。
短期大学などで指定科目を履修した場合は、2年制であれば2年以上、3年制であれば1年以上指定施設での相談援助の実務経験が必要です。児童福祉士や身体障害者福祉士など指定された職種において4年の実務経験があれば、6カ月の社会福祉士短期養成施設等を修了することにより受験資格が得られます。
一般の4年制大学を卒業していれば、1年の社会福祉士養成施設等を修了することにより受験資格が得られます。一般の大学や短期大学を卒業していない場合は、4年の相談援助実務経験ののち、1年の社会福祉士養成施設等を修了する必要があります。受験資格には細かい規定があるので、指定試験機関である一般公益法人社会福祉振興・試験センターのHPなどで確認してください。
グループホームにおける社会福祉士の仕事
グループホームは地域密着型介護サービスの一つで、認知症高齢者を専門に少人数の家庭的な雰囲気の中で日常生活のケアを行う施設です。グループホームの中で、社会福祉士は社会福祉制度の専門家として相談業務を担当することになります。入居者が感じている日常生活の困難な部分や、生活していく上での不安を聞き取り、行政や医療機関などと連携してサポートするのが仕事です。また、ケアマネジャーの資格を取得すれば自立支援のための介護プランを作成することもあります。
それ以外にも、入居者の家族がどのような介護を必要としているのかを聞き取り、支援することは大事な仕事の一つです。グループホームは入居者が少人数のため、介護職員も入居者に合わせて少人数対応になります。そのため、社会福祉士は相談業務以外の日常生活の介助をすることもあります。介護の現場で働き、入居者の日常生活をより深く知ることは、入居者と信頼関係を築き、相手の立場に立ってアドバイスする相談業務の上でも役立つ経験となります。
高齢化が進み、社会保障制度が変化していく中で、介護業界ではますます専門職の需要が高まります。何らかの問題を抱える利用者の相談に乗り、専門知識を持って問題を解決していく社会福祉士は介護業界において国家資格のある重要な専門職の一つです。グループホームにおいても社会保障に関する法律や制度について知識があり、コミュニケーション技術を持った社会福祉士は今まで以上に必要とされる職業となるでしょう。