ちょっと調子が悪い日も施術に入ると元気になれる【もっと知りたいヘルスケアのお仕事Vol.149 POWWOW泉安奈さん】#1
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載「もっと知りたいヘルスケアのお仕事」。今回は、女性専門整体POWWOW育成・研修担当の泉安奈さんにお話を伺います。
泉さんは、お客としてリラクゼーションサロンを訪れたときに、体だけでなく心まですっきりした経験からセラピストを目指します。「女性の笑顔をつくる」という運営方針に心惹かれ、POWWOWに入社。前編では、女性専門整体の施術の特徴、セラピストの魅力をお伺いします。
お話を伺ったのは…
POWWOW
育成・研修担当
泉安奈さん
リラクゼーション系サロンにセラピストとして勤務後、2009年POWWOW入社。入社後セラピストや店長を経験し、入社14年目の現在は研修・育成担当としてセラピストの教育にあたる。
POWWOW入社の決め手は女性客をメインにしていたこと
――まずはセラピストになろうと思った理由を教えてください。
リラクゼーション系のサロンではじめて施術を受けたときに、すごく体がラクになったんです。何回か通っているうちに悲しかったり辛かったりする気持ちもすっきりしていることに気づいて、こんなにいいものなら自分もできるようになりたいと思ったのがきっかけです。最初は、リラクゼーション系のサロンにアルバイトで2年くらい勤めました。
――POWWOW入社の理由は?
当時、小顔矯正や骨盤矯正の技術が流行し始めていて、自分もそういう技術を身につけたいと思ってリジョブで検索しました。POWWOWに入社を決めた理由は、女性客をメインにしていたからです。健康であることが美しさにつながる、心と体はつながっているというPOWWOWの基本的な考え方が、自分が感じていたこととすごく似ていたんですよね。
――女性をメインにしているのはなぜなのでしょうか。
POWWOWの運営理念は、「女性の笑顔を作る」こと。女性は、妻になり母になりライフステージの変化によって体の悩みも変わってきます。日本人女性は、諸外国に比べて家事育児負担が圧倒的に多いという背景もあり、まずは負担の大きい女性を笑顔にすることが先決。女性が笑顔になることで家族も笑顔になるという形を目指しています。
――百貨店やショッピングモールへの出店が多いですが、その狙いは?
仕事の後に通いやすいということもありますが、最大の理由は女性が安心して通えることです。百貨店側の視点からPOWWOWを紹介して下さるのでブランド認知の点でも相乗効果が生まれます。
最近では、これまでの女性に特化したブランド運営の信頼と実績を基に、店舗(テナント)ビルへの出店も増えてきています。POWWOWでは、どの店舗も常に女性が喜んでいただけるような空間を意識してお店作りをしています。
サクラムバランステクニックで女性の内側の悩みにも対応
――女性専門というと他のサロンと施術内容も違ってくるのですか。
商標登録のあるサクラムバランステクニックという施術を取り入れています。サクラムは仙骨という意味。仙骨が前や後ろに傾いていると腰痛や猫背など、全身のバランスがくずれてきて、自律神経やホルモンバランスなどの内側の悩みにも繋がってきます。仙骨を正常な位置に戻すことで身体のゆがみを改善し、女性の内側のお悩みにも対応しています。
――マタニティコースもあるそうですが、妊婦さんを施術する際には気を遣うことも多いと思います。とくに注意されていることは?
マタニティコースは産婦人科医の監修のもと開発されています。先日、セラピスト向けの教科書をリニューアルしたばかりで、セラピストは定期的に研修を受けています。マタニティの方の施術では確かに禁忌事項もあるのですが、お客様を妊婦さんという枠の中で見るのではなく、ひとりひとりの声に耳を傾けてコミュニケーションをとりながら辛い声を聞いていくことを大切にしています。出産経験がないスタッフは、どうしても一歩引いてしまうところはあるのですが、先入観がないからこそお客様の話をフラットに聞けるのは強みなのかなと感じています。
朝起きて調子が悪くても施術に入ると元気になれる
――これまでのご経験を通して、セラピストの魅力はどんなところだと感じていますか。
本来セラピストは、パワーが漲っている状態でお客様の体に触れたいところではありますが、生理周期などの関係でどうしても調子がよくない日もあります。でも午前中おひとり施術に入ると元気になっていたという経験がわたし自身何度もあるんです。
赤ちゃんやぺットなどと触れ合ったときに出るオキシトシンというホルモン(別名幸せホルモン)があるのですが、施術を受けている方はもちろん、たぶんセラピストからも出ているなと感じる節は大いにあります。お客様に癒されているなと実感する瞬間があるんですよね。
――施術をすることでセラピストも癒されるとは、とても興味深いです。逆にセラピストの大変なところは?
施術が立てこんでいてお客様対応が伸びてしまったりすると、とくに生理のときになかなかトイレに行けなくてまた1時間我慢ということは結構ありますね。POWWOWではサニタリーショーツなどフェムケア関連商品の販売をしているのですが、実はセラピストのそういった体験が開発のきっかけになったという経緯があります。
――スタッフの悩みが商品開発のきっかけになったのですね。
痩せ型の人が体重をかける施術で手首に負担がかかり、デビュー前に痛めてしまうというケースもときどき…。POWWOWでは40~50代の採用も多いのですが、未経験の方を守りつつ、現場に早くデビューしてもらうための仕組作りは課題となっています。そのひとつとして、人によってはいきなりロングコースなど全コース開放するのではなく、コース時間が短いお手頃価格のお試しクーポンからデビューしてもらい体を慣れさせていく試みを行っています。コースを絞ってデビューすることで研修の際も成果を出すための練習により注力できるというメリットもあります。
後編では、現在の研修・育成担当のお仕事内容、泉さんがトレーナーとして心がけていることを伺います。
撮影/大崎聡
取材・文/永瀬紀子