言語聴覚士の就職先はどんなところがあるの? 需要と将来性について紹介
言語聴覚士とは、言語コミュニケーションや嚥下(咀しゃくして胃まで流す機能)に困難を抱えている方に対し、寄り添って訓練・指導を行う仕事です。
高齢者や障がい者だけでなく、事故や病気で言語・嚥下障害が生じている方や学生を対象とした言語コミュニケーションのサポートなどが、言語聴覚士の主な仕事です。
本記事では、言語聴覚士の主な就職先や需要・将来性、自分に合った就職先を見つけるためのポイント、おすすめの求人情報サイトについてご紹介します。
言語聴覚士の働き先や将来性、職場探しのポイントをおさえて転職に活かしましょう。
言語聴覚士の就職先にはどんなところがあるの?
言語聴覚士の就職先には、大きく分けて医療機関・介護福祉施設・教育施設があり、そのほかにも専門学校や短大・大学などの研究教育機関や一般企業などもあります。
最新データで見る言語聴覚士の就職先をチェックしつつ、主な就職先では一体どんな仕事に従事するのか、どんな魅力があるのかについて確認してみましょう。
データで見る言語聴覚士の就職先
言語聴覚士は利用者の年齢や性別に関わらず、幅広い業種・分野で活躍しています。一般社団法人 日本言語聴覚士協会が公表している会員の就業状況・勤務先は以下のとおりです。
勤務先施設の種類(18,290人) | 割合 |
医療 | 60.53% |
医療/介護 | 17.43% |
介護 | 6.51% |
福祉 | 4.92% |
医療/福祉 | 2.26% |
養成校 | 2.13% |
医療/介護/福祉 | 1.33% |
その他の法人 | 0.71% |
研究・教育機関 | 0.76% |
医療/研究・教育機関 | 0.69% |
学校教育 | 0.57% |
介護/その他の法人 | 0.39% |
医療/介護/研究・教育機関 | 0.30% |
介護/福祉 | 0.28% |
養成校/研究・教育機関 | 0.29% |
福祉/その他の法人 | 0.22% |
上記以外の複合 | 0.68% |
また、上記の勤務先施設の種類に含まれる具体的な施設名は以下のとおりです。
・医療:一般病院、特定機能病院、診療所など
・介護:介護保険施設、居宅サービス事業所など
・福祉:障害者福祉施設、児童福祉施設、保健所など
・学校教育:特別支援学校、小中学校、高等学校など
・養成校:言語聴覚士指定養成所
・研究・教育機関:研究施設、養成校以外の一般の大学・専門学校
・その他の法人:補聴器メーカー、ST教材販売、一般の会社など
2024年3月31日時点で、言語聴覚士の正会員2万1,603人のうち、判明している就業者数は1万8,290人でした。また、そのうち常勤は79.3%、非常勤は5.4%となっています。
厚生労働省の職業提供サイト jobtagのデータを見てみると、言語聴覚士の92.9%は正規の職員・従業員として働いており、多くが正規雇用で働いているのが特徴です。
引用元
一般社団法人 日本言語聴覚士協会:会員動向:就業状況と勤務先
職業提供サイト jobtag:言語聴覚士
医療機関
医療機関で働く言語聴覚士は、コメディカルスタッフとして活動します。医師・看護師・理学療法士・作業療法士などの医療専門職、ケースワーカー・介護支援専門員・介護福祉士・社会福祉士などの介護専門職など、現場スタッフと連携しながらリハビリします。
医師の指示で患者の言語能力・嚥下障害の深刻度を評価し、リハビリ計画を立案するのが特徴です。医療スタッフと連携していく中で、医療の知識も蓄積されるでしょう。
高齢者福祉施設
高齢者福祉施設では、認知症や、食べ物をうまく咀しゃくし飲み込むことができない嚥下障害の高齢者に対して、食事訓練を行います。嚥下反射が機能せずに肺に食べ物が入って「誤嚥性肺炎」になってしまうと命を失うリスクもあるため、とても重要な訓練です。
高齢者福祉施設で働く言語聴覚士は、利用者が直面するリスクの予防に努めます。
介護老人保健施設・特別養護老人ホーム
高齢者福祉施設には、介護老人保健施設や特別養護老人ホームがあります。医療的ケアや特別なリハビリが必要な要介護者を対象とした、入所型の介護福祉施設です。前者が自宅復帰を念頭においたリハビリを行う一方で、後者は施設での生活を念頭に置いた介護をします。
医療・看護スタッフと連携しつつ、摂食・嚥下障害に悩まされる利用者の嚥下訓練・認知症のリハビリを行います。日々の生活にとって必要な訓練を実施するのが特徴です。
老人福祉施設|デイサービスなど
デイサービスなどの通所型の老人福祉施設は、言語コミュニケーションや嚥下機能を測定・訓練し、管理栄養士・施設スタッフと相談しながら食事介助や介護サポートを行います。
言語コミュニケーション・嚥下機能の評価・訓練だけでなく、食事訓練や配膳、場合によっては利用者の送迎や生活介助など、業務範囲は多岐にわたることもあります。
介護スタッフも多いため、自分の専門分野に関する悩みも相談しやすいでしょう。
こども向け福祉・教育施設
児童発達支援や放課後デイサービス・特別支援学校などで、自閉症や発達障害・知的障害などの原因で言語能力の発達が遅れている子どもの言語獲得をサポートします。子どもたちが場に馴染んで、自発的に訓練に参加してくれるような雰囲気づくりやプログラムを考案し、子どもが自然と言語を使って話すような環境を整えるのが主な仕事です。
また、親御さんに対する精神的なケアや在宅時のアドバイスも重要な業務だといえます。
言語聴覚士の需要は? 将来性はある?
言語聴覚士の正会員数は年々増加しており、その大多数の方が何かしらの形で就業しています。就業できる職場の選択肢が多く、将来的な活躍がますます期待される職業です。
言語聴覚士の現状や将来性について知って、言語聴覚士の将来性について把握しましょう。
言語聴覚士の有資格者はどれくらい?
2024年3月31日時点で、言語聴覚士の正会員数は2万1,603人、そのうち就業者数は1万8,290人です。会員の1万6,529人が女性で、5,074人が男性となっています。最も会員数が多い年代が30代で6,741人、次に多いのが40代で6,321人と、比較的若い方が多い職業です。
東京都・大阪府・愛知県・福岡県をはじめとした大都市だけでなく、日本全国に会員がいることから、日本全国で活躍しているということがデータから読みとれます。
言語聴覚士の需要は高い?
言語聴覚士は、1997年に創設された比較的新しい国家資格です。言語聴覚士の正会員数が2万1,603人であったのに対して、同じ介護専門職の理学療法士の会員数は13万9,556人、作業療法士の会員数は6万2,821人と、まだまだ会員数が少なく、慢性的に人材が不足しています。
言語聴覚士が活躍できる職場は医療・介護・福祉の分野に広くまたがっており、人間の基本的な営みである話すこと・食べることに関わる仕事であるため、需要が高いです。
また、社会的な高齢化の進行によって、加齢や認知症による嚥下障害に携わる言語聴覚士のニーズが年々高まっており、今後もその傾向は続くことが予想されています。
引用元
公益社団法人 日本理学療法士協会:各資格の取得状況
一般社団法人 日本作業療法士協会:協会について
言語聴覚士の将来性は?
言語聴覚士は需要が高い仕事ですが、高齢化や活躍の場の多角化によって、今後の将来性も期待されています。社会の高齢化によって言語聴覚士のニーズはどう変化するのか、言語聴覚士として、どのような仕事の形が生まれていくのかについて確認しましょう。
進む高齢化社会で需要が高まる
急速に進む高齢化によって、言語聴覚士のニーズは増加していくことが予測されています。
2020年には、総人口に占める65歳以上の方の割合が28.6%に達しています。さらに、2025年には団塊世代が75歳以上になり、全人口の約18%が後期高齢者になると考えられているためです。
超高齢化社会をむかえている日本では、言語聴覚士を含む介護人材によって高齢者を地域全体で支える「地域包括ケア」の考えが推進され、ますますの需要拡大が見込まれています。
引用元
厚生労働省:我が国の人口について:人口の推移、人口構造の変化
活躍の場が増えていく
言語聴覚士の仕事は医療・介護現場にとどまらず、学校教育や児童関連施設にまで広がっています。また、医療現場においても呼吸器リハビリテーションや難病患者リハビリテーション・脳血管疾患リハビリテーションなども、言語聴覚士の活躍の場です。
たとえば、歯科医と連携した口腔ケアや管理栄養士と連携した食事管理・食事訓練など、他業種・他職種と連携した新たなサービス形態も生まれています。
自分に合った就職先を見つけるには?
言語聴覚士として働ける職場によって日々の業務内容は異なるので、自分に合ったベストな職場を見つけるのは難しい部分があります。いくつかの選ぶポイントは最低限でもおさえておくことで、就職・転職後に後悔するリスクを最小限にできるはずです。
自分に合った就職先を見つけるためのポイントをチェックして、職探しに活かしましょう。
どんな方をサポートして働きたいか
自分に合った言語聴覚士の就職先を見つけるためには、誰のために働きたいのかを明確に決めておくことが重要です。
言語聴覚士の仕事は大きく分けて高齢者向け・障がい者向け・児童向け・入院患者向けに分類されます。就職先の種類によってサポートする対象は大きく異なるため、まずは誰のために仕事をしたいのかを軸に、就職先を探すのがおすすめです。
子どもや大人、障がい者や入院患者など、サポートする対象者をチェックしましょう。
将来性を考える|需要・ワークライフバランス
中長期的に条件のいい職場で働くためには、需要が将来的に高まっていく就職先を見極める必要があるでしょう。また、ワークライフバランスも職場選びの重要なポイントです。キャリアアップを重視するだけでなく、休日や産休・育休などが取りやすい職場を選ぶべきです。
いくら給与水準が高くて、キャリアアップできる仕事でも、プライベートとの両立が難しいほどの重労働だと、身体的・精神的に中長期的に働き続けることは難しいと考えられます。
将来的に需要が見込まれて、ワークライフバランスも整っている就職先を探しましょう。
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この記事では、言語聴覚士の就職先や需要・将来性、自分自身のニーズに合致した職場を見つけるためのポイントについてご紹介しました。
言語聴覚士は、医療・介護・教育現場に加えて、研究教育機関や一般企業など、幅広い分野で働ける仕事です。職場の種類によって仕事内容や働く魅力は異なります。
言語聴覚士の需要は高齢化社会の影響で高まりつつあり、将来性が見込まれる仕事です。
就職先を探す際は、誰のために働きたいのか、将来性はあるのか、ワークライフバランスは整っているのかなど、いくつかのポイントをおさえた上で職探しをしてみましょう。
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