言語聴覚士になるには国家資格が必要!受験ルートや働き方、適性についてご紹介
言語聴覚士は、先天的な病気、または後天的な事故などによって、話す・聞く・食べるといった能力に障害をもっている方に対するサポートをおこなう仕事です。
言語聴覚士の仕事に興味関心をもっている方の中には、「言語聴覚士になるにはどうすればいいの?」と考えている方もいるのではないでしょうか。
本記事を読めば、言語聴覚士になるための具体的な方法や業務内容、言語聴覚士に向いている人の特徴、就職に成功するためのポイントなどについて把握できます。
将来的に言語聴覚士として働きたいと考えている方は参考にしてみてください。
言語聴覚士になるには?|国家試験に合格する必要がある
言語聴覚士になるためには、言語聴覚士の国家資格を取得する必要があります。国家試験の受験には要件を満たす必要があり、所定の教育機関で勉強しなければなりません。
ここでは、言語聴覚士国家試験に挑戦し、合格するまでの具体的な流れをご紹介します。
引用元
一般社団法人 日本言語聴覚士協会:言語聴覚士を目指す
国家試験を受けるには受験資格が必要!
言語聴覚士になるためには、言語聴覚士国家試験を受けて合格しなければなりません。受験要件を満たすルートは、高卒者と大卒者で以下のように異なります。
・高卒者:指定の短大・大学、もしくは専修大学を卒業(3~4年制)
・大卒者:指定の大学・大学院の専攻科、もしくは専修大学を卒業(2年制)
高卒者か大卒者かによって卒業しなければならない教育機関や通学年数は異なりますが、最低でも2年以上は、専門の教育機関で学んで卒業しなければなりません。
通信制の学校に通うだけでは、受験要件を満たせない点に注意です。
大学や専門学校ではどんなことを勉強するの?
言語聴覚士の国家試験受験資格を得るためには、口腔や咽頭などの構造をはじめとしたコミュニケーションや摂食行動に関連する医学や音声学だけでなく、心理学や言語学、音響学、社会科学などを学ぶことも必要です。専門科目として以下の内容も学びます。
・言語聴覚障害学総論
・失語・高次脳機能障害学
・言語発達障害学、発声発語
・嚥下障害学
・聴覚障害学
言語聴覚士として仕事をするには知識だけでなく、病院やリハビリテーションセンター、小児の療育施設などでの臨床実習で実際の技術を身につけることも必要です。ここでは、言語聴覚士の国家試験受験資格を取得できる学校の一例をご紹介します。
・東京工科大学|言語聴覚学専攻(4年制)
・西武学園医学技術専門学校|言語聴覚士学科(3年制)
東京工科大学の言語聴覚学専攻は4年制で、1・2年次に試験の出題範囲を総学習し、3年次からは過去問対策、4年次からは模擬テストと手厚い個別指導をおこなう大学です。
最新のICT機器やAI技術をフル活用して、これからの時代に沿った評価・言語訓練の方法を学びます。
西武学園医学技術専門学校は3年制で1年次に基礎科目対策、2年次に専門科目対策、3年次に国家試験対策と臨床実習をおこなって、知識と実践力を身につけられます。
4年制大学への編入も可能で、手話技能検定5級の取得も目指せるのが魅力です。
引用元
東京工科大学:言語聴覚学専攻
西武学園医学技術専門学校:言語聴覚学科
言語聴覚士の国家試験は?合格率は高い
言語聴覚士の国家試験は、全国で6カ所、毎年2月ごろ国家試験がおこなわれています。11月下旬から12月上旬の間に、言語聴覚士国家試験受験資格認定書の写しや修業見込み証明書などの必要書類を整えて、申し込まなければなりません。受験手数料として、3万8,400円がかかります。
実施年 | 合格率 |
2024年 | 72.4% |
2023年 | 67.4% |
2022年 | 75.0% |
言語聴覚士の国家試験の合格率は年度によって異なりますが、大体65~75%程度です。
引用元
厚生労働省:言語聴覚士国家試験の施行について
厚生労働省:第26回言語聴覚士国家試験の合格発表について
厚生労働省:第25回言語聴覚士国家試験の合格発表について
厚生労働省:第24回言語聴覚士国家試験の合格発表について
言語聴覚士の仕事内容とは? どんな風に働くの?
言語聴覚士はどんな困りごとを持っている人への助言指導、訓練をおこなうのでしょうか。つづいては、言語聴覚士の仕事の内容と需要、活躍している職場についてご紹介します。
うまく話せない・声が出ない・飲み込めないなどの障害をサポート
言語聴覚士は、話したり、聞いたりといったコミュニケーションと、咀嚼や飲み込みといった飲食に関するお口やその周辺のリハビリをおこなう医療系の専門職です。
言語聴覚士法では、音声機能や言語機能、聴覚に障害のある人に、検査や助言・訓練・指導をおこなう国家資格として言語聴覚士は定められています。
うまく話せない・声が出ない
言葉を使ってコミュニケーションをとる際には、伝えたい言語を考えて、音を構成して発声しなければなりません。さらに、会話をするためには、相手の話していることを理解して、それに対する自分の考えをまとめる必要があります。
言語聴覚士はコミュニケーションのどこの機能に障害があるのかを明らかにして、その解決方法や代替となる方法を見つけ出さなければなりません。
たとえば、聴こえに問題がある場合には「音をまねて言葉を覚える」ことができにくい状態にありますが、発声機能には問題なく言葉も覚えることができます。
病気で声帯を失った場合には、相手の言っていることは理解でき、自分が伝えたい内容もわかっていますが、発声した音を大きくすることができません。
ほかにも、病気やケガによる高次脳機能障害では言葉のみに障害が出ることもあり、原因となっている障害やその状態によって、それぞれ必要な器具やリハビリは異なります。
飲み込めない
話すこと以外の口の機能として、「飲む」「食べる」機能があります。こちらも、生まれつきの障害などで咀嚼して食べることがうまくできなかったり、病気やケガ、老化でこれまで問題なくできていたことができなくなったりした場合、それぞれで対処法が異なるのが特徴です。
チームを組んでリハビリテーション医療をおこなう|医師・理学療法士など
病院など医療機関のなかで言語聴覚士は、医師や看護師、理学療法士などとチームを組むことで、多角的なリハビリテーション医療を実現できます。
口の機能のリハビリを必要とする患者のためのチームメンバーは医師や歯科医師、看護師、理学療法士、作業療法士、臨床心理士など医療専門職だけではありません。
病院内のケースワーカーや介護福祉士、保育士はもちろん、病院外の社会福祉士、介護援助専門員などの保健医療福祉介護などの幅広い専門職も含まれます。さらに、子どもの場合には学校教師や園の保育士などとも連携する場合が少なくありません。
教育分野や介護福祉分野でも幅広く活躍!
医療施設以外でも言語聴覚士の需要は高く、療育施設や小中学校の通級指導教室、特別支援学校などの教育分野はもちろん、障がい者の入所・通所施設、高齢者の入所・通所施設などの福祉施設でも活躍しています。
これらのなかでも、とくに対象者が増えている介護福祉分野の需要は高いのが特徴です。つまり、咀嚼や飲み込みなどの摂食機能にかかわるリハビリが増えてきています。
言語聴覚士に向いている人の3つの特徴
言語聴覚士に向いている人の特徴は、コミュニケーション能力があり、サービス利用者の日々の変化に気づける観察力があることや優しい心遣いができることです。
言語聴覚士ならではの仕事の適性を知って、自分の性格と照らし合わせてみましょう。
1.相手目線に立って行動できるコミュニケーション能力
言語聴覚士は、サービス利用者・現場で働く介護職・医療職・施設への来訪者・他の施設の関係者などとコミュニケーションをとる必要がある仕事です。
そのため、相手目線に立ってチームとしての協調性を意識したコミュニケーションをとれる方だと、業務が円滑にまわり、他人との信頼関係をうまく構築できるでしょう。
2.利用者の日々の変化を見逃さない観察力
言語聴覚士は、サービス利用者とコミュニケーションをとっていく中で問題点や日々の改善点を見つけて、毎日のリハビリに活かしていく仕事です。日々のちょっとした変化や異変を見逃さずにサービスの利用者に対応し、リハビリに取り入れられる方に向いています。
また、相手が伝えたいことを根気強く聞きだす忍耐力も求められるでしょう。
3.優しい心遣いができる
リハビリは中長期にわたっておこなわれることが多く、サービス利用者にとっては精神的にキツいと感じる瞬間もあります。そんな時、言語聴覚士として相手に寄り添って優しい言葉をかけたり、さりげなく気遣ったりできる人に向いている仕事だといえます。
利用者に合ったリハビリプランを実行するには、相手目線に立った気遣いが大切です。
言語聴覚士として就職するためのポイント
言語聴覚士として就職したいなら、以下の3つのポイントをチェックしましょう。
1.自分が働きたい分野で働けるかどうかをチェックする
2.就職先の就労環境や福利厚生を事前にリサーチする
3.信頼できるエージェントや求人サイトを活用する
言語聴覚士の職場は大きく分けて、成人を対象としたものと小児を対象としたものの2つがあり、どちらかを専門的に対応している施設もあれば、どちらにも対応している施設もあります。自分がどのような業務や対象者に携わっていくのかを、事前にチェックしておくことが大切です。
また、給与水準や福利厚生(雇用形態・資格取得手当の有無・育児休暇取得の可否など)の確認も重要です。就職してから後悔することがないように確認しましょう。
とはいえ、自分に合った言語聴覚士の仕事を見つけるのは難しいため、介護職に特化した転職エージェントや求人サイトを使うのがいいでしょう。
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言語聴覚士になるために国家試験の合格を目指して準備しよう!
この記事では、言語聴覚士になるための具体的な方法や業務内容、言語聴覚士に向いている人の3つの特徴についてご紹介しました。
言語聴覚士になるためには高卒者で3年以上、大卒者で2年以上のプログラムを修了して受験資格を得てから、言語聴覚士国家試験に合格しなければなりません。
言語聴覚士国家試験の合格率は、65%〜75%と比較的高めとなっています。
言語聴覚士の仕事は、聞き取り・発話・食事に関する障害に対してのリハビリサービスを提供します。介護福祉分野にとどまらず、医療分野に携わるケースもあるでしょう。
就職に成功するためには、働きたい業務に従事できるか、給与水準や福利厚生はどうなっているかなど、自分に合った仕事かどうかを精査することが大切です。
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