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特集・コラム 2021-12-02

言語聴覚士になるにはどんな資格が必要なの?|言語聴覚士の仕事内容とは

「話す」ことと「食べる」こと、どちらも人間にとって欠かせない重要な機能ですよね。そんな話すことと食べることに障がいがある人のリハビリをする専門職が言語聴覚士です。しかし、言語聴覚士になるにはどのような資格が必要なのでしょうか。

ここでは、言語聴覚士の仕事の内容とほかの専門職との関係性、資格を取得するためのルートや、おすすめの大学や専門学校を解説します。

言語聴覚士になるには必要な資格とは?


理学療法士や作業療法士と同様に、医療機関などでリハビリをおこなう言語聴覚士。言葉や飲み込みの専門職である言語聴覚士とは、一体どのような職種なのでしょうか。ここでは、資格を取得するために必要な資格をご紹介します。

国家資格|言語聴覚士

言語聴覚士は、お口やその周辺のリハビリをおこなう医療系の国家資格です。

言語聴覚士法という法律で、言葉や発声、聴こえに障がいのある人や咀嚼、飲み込みがうまくできない人へ専門的な助言指導をおこないます。

国家試験を受けるには受験資格が必要!

言語聴覚士の国家試験を受けるためには、言語聴覚士法で定められた受験資格を満たさなければなりません。

言語聴覚士の国家試験の受験資格を得るためのルートは、高等学校卒業者と一般の4年制大学卒業者で異なります。つづいては、それぞれのルートを解説します。

高校卒業者の場合|3~4年間、大学や専門学校などで学ぶ

高校卒業後、言語聴覚士をめざす場合には文部科学大臣が指定した大学もしくは、都道府県知事が指定した言語聴覚士の専門学校などの養成所で3~4年間かけて、必要な知識やスキルを学ばなければなりません。

一般の4年制大学卒業者の場合|2年間、大学院や専門学校で学ぶ

一般の4年制大学を卒業したあとに言語聴覚士をめざす場合には、指定された大学・大学院の専攻科または専門学校などの養成所で2年間かけて、必要な知識やスキルを学びます。

大学や専門学校ではどんなことを勉強するの?

言語聴覚士の国家試験受験資格を得るためには、口腔や咽頭などの構造をはじめとしたコミュニケーションや摂食行動に関連する医学や音声学だけでなく、心理学や言語学、音響学、社会科学などを学ぶことも必要です。さらに、専門科目として以下の内容も学びます。

・言語聴覚障害学総論
・失語・高次脳機能障害学
・言語発達障害学、発声発語
・嚥下障害学
・聴覚障害学
など

言語聴覚士として仕事をするには知識だけでなく、病院やリハビリテーションセンター、小児の療育施設などでの臨床実習で実際の技術を身につけることも必要です。ここでは、言語聴覚士の国家試験受験資格を取得できる学校の一例をご紹介します。

東京工科大学|医療保健学部 リハビリテーション学科言語聴覚学専攻

東京の蒲田にある東京工科大学の医療保健学部リハビリテーション学科言語聴覚学専攻は、4年制の大学のカリキュラムで高校卒業後に言語聴覚士をめざすタイプのコースです。1年目から、医療機関での臨床実習を体験することができます。

西武学園医学技術専門学校|言語聴覚学科

西武学園医学技術専門学校は埼玉県にありますが、言語聴覚学科は東京の池袋にあり、高校卒業後3年間で言語聴覚士をめざす専門学校です。1年目は基礎的な知識を身につけ、2年目、3年目で専門的な知識と技術を学び、検査演習、臨床実習などの実践をします。

言語聴覚士の国家試験とは?

言語聴覚士の国家試験は全国で6カ所、毎年2月ごろ国家試験がおこなわれています。11月下旬から12月上旬の間に就業見込み証明書などの必要書類を整えて、申し込まなければなりません。受験手数料として、3万4,000円がかかります。

合格率はどれくらいなの?

言語聴覚士の国家試験の合格率は年度によって異なりますが、大体65~75%程度です。ちなみに、最新の2020年度の合格率は69.4%でした。

言語聴覚士の仕事内容とは? どんな風に働くの?


言語聴覚士はどんな困りごとを持っている人への助言指導、訓練をおこなうのでしょうか。つづいては、言語聴覚士の仕事の内容と需要、活躍している職場についてご紹介します。

うまく話せない・声が出ない・飲み込めないなどの障害をサポート

言語聴覚士は、話したり、聞いたりといったコミュニケーションと、咀嚼や飲み込みといった飲食に関するお口やその周辺のリハビリをおこなう医療系の専門職です。言語聴覚士法では、音声機能や言語機能、聴覚に障がいのある人に、検査や助言・訓練・指導をおこなう国家資格として言語聴覚士は定められています。

・うまく話せない・声が出ない

言葉を使ってコミュニケーションをとる際には、伝えたい言語を考えて、音を構成して発声しなければなりません。さらに、会話をするためには、相手の話していることを理解して、それに対する自分の考えをまとめる必要があります。

言語聴覚士はコミュニケーションのどこの機能に障がいがあるのかを明らかにして、その解決方法や代替となる方法を見つけ出さなければなりません。たとえば、聴こえに問題がある場合には「音をまねて言葉を覚える」ことができにくい状態にありますが、発声機能には問題なく言葉も覚えることができます。

病気で声帯を失った場合には、相手の言っていることは理解でき、自分が伝えたい内容もわかっていますが、発声した音を大きくすることができません。ほかにも、病気やケガによる高次脳機能障害では言葉のみに障がいが出ることもあり、原因となっている障がいやその状態によって、それぞれ必要な器具やリハビリは異なります。

・飲み込めない

話すこと以外の口の機能として、「飲む」「食べる」機能があります。こちらも、生まれつきの障がいなどで咀嚼して食べることがうまくできなかったり、病気やケガ、老化でこれまで問題なくできていたことができなくなったりした場合、それぞれで対処法が異なるのが特徴です。

チームを組んでリハビリテーション医療をおこなう|医師・理学療法士など

病院など医療機関のなかで言語聴覚士は、医師や看護師、理学療法士などとチームを組むことで、多角的なリハビリテーション医療を実現できます。

口の機能のリハビリを必要とする患者のためのチームメンバーは医師や歯科医師、看護師、理学療法士、作業療法士、臨床心理士など医療専門職だけではありません。病院内のケースワーカーや介護福祉士、保育士はもちろん、病院外の社会福祉士、介護援助専門員などの保健医療福祉介護などの幅広い専門職も含まれます。さらに、子どもの場合には学校教師や園の保育士などとも連携する場合が少なくありません。

教育分野や介護福祉分野でも幅広く活躍!

医療施設以外でも言語聴覚士の需要は高く、療育施設や小中学校の通級指導教室、特別支援学校などの教育分野はもちろん、障がい者の入所・通所施設、高齢者の入所・通所施設などの福祉施設でも活躍しています。

これらのなかでも、とくに対象者が増えている介護福祉分野の需要は高いのが特徴。つまり、咀嚼や飲み込みなどの摂食機能にかかわるリハビリが増えてきていることです。

言語聴覚士は国家資格! 受験資格を取得して試験に臨もう!


言語聴覚士は、お口やその周辺のリハビリをおこなう医療系の国家資格です。言葉や発声、聴こえに障がいのある人や咀嚼、飲み込みがうまくできない人へ専門的な助言指導をおこないます。

医療機関以外でも介護や福祉施設、学校や保育園と活躍の幅が広い職種で、とくに介護分野では年々需要が高くなっている仕事です。

この言語聴覚士の国家試験受験資格を取得する際のルートには、高校卒業のルートと一般大学卒業のルートがありますので、興味のある人は自分に合った学校を探してみてはいかがでしょうか。

引用元サイト
日本言語聴覚士協会 言語聴覚士とは
日本言語聴覚士協会 言語聴覚士を目指す
厚生労働省 言語聴覚士国家試験の施行
厚生労働省 第23回言語聴覚士国家試験の合格発表について
東京工科大学 医療保健学部 リハビリテーション学科言語聴覚学専攻
西武学園医学技術専門学校|言語聴覚学科

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