1人でも多くのママが笑顔になれる場所でありたい。『Mama’s body salon』山本亜希子さんが目指す場所(後編)
ご自身の経験から、ママによるママのためのサロンを運営している『Mama’s body salon』の山本代表。後編では、ご本人のご経歴やスタッフの方々への想いを語っていただきました。
子育てと仕事の両立が理解されず、前の職場では常に「働きづらさ」を感じていました
—あらためて、山本代表のご経歴を詳しく聞かせてください。
私は東京都出身で、高校を卒業してからは美容部員として化粧品の販売などを行っていました。毎日ヒールを履く職業ということもあって、その頃は整体やマッサージに通う側でしたね。24歳のときに1人目の子どもを妊娠・出産した後、育休が明けてすぐに仕事に復帰しました。
でも、子育てと仕事の両立に理解がある職場とはいえなかったので、子どもが生まれてからは常に働きづらさを感じながら仕事をしていたんです。それでも転職する勇気が出なくて、働き方を正社員からパートに変えた後も、しばらく同じ職場で働き続けました。
—「働きづらさ」とは具体的にどのようなものだったのでしょうか?
保育園に子どもを預けておけるのが18時までなのに遅番を依頼される、というのは日常茶飯事でした。依頼されたシフトに入れない場合、代わりの人を自分で探す必要があったので本当に大変でした。子どもが体調を崩して仕事を抜けなければいけないときは、周りから冷たい目で見られることも多かったです。そして結局、子どもの体調が戻らないうちから復帰することも……。
子どもが入院したときには、「私は何のために働いているんだろう」とも思ってしまいました。それと同時に「これは仕方ないことなんだ」という諦めもあったんです。思い返してみると、この頃に感じた働きづらさも『開業』という選択につながっているのかもしれません。
私自身が働きづらさを味わったからこそ、スタッフには伸び伸びと働いてほしいんです
—『Mama’s body salon』のスタッフは全員が子育て中のママですが、ママが集まる理由は何だとお考えでしょうか?
ママ以外の方にもぜひ働いてほしいと思っているのですが、今のところは全員がママですね。ママにとって働きやすい場所であるのが、理由の一つだと思っています。勤務時間がちょうど、子どもが保育園や学校に行っている時間と被るんですよ。
周りからの理解が得やすいのも、「ママ専用サロン」ならではのメリットですね。一緒に働く人たちはもちろん、お客様も全員がママなので、リラックスして働ける環境なんです。自分が前の職場で働きづらさを味わったからこそ、スタッフには余計なストレスを感じてほしくないですね。
働き改革の影響で、今後は働き始めるママの数も増えてくると思います。保育園や幼稚園が無償化されたら、「じゃあ働こうかな」となる人も多いはずですよね。そんなときに安心して働ける職場があってほしい。『Mama’s body salon』が受け皿になりたい。そういう想いを持っています。
「楽しかった」の一言を聞くために整体の枠を越えた『ママだからこそ』のサービスを実現します
—ママだからこそできる、お客さまへのサービスはありますか?
お客さま……ママさんたちにとことん寄り添う、真心を込めた接客ですね。自分も経験しているからこそ、子育ての楽しさや大変さがわかる。自分も同じ立場だからこそ、お客さまのために働けることに、かけがえのない喜びを感じられるんです。また、施術などの技術的な面では、自社でスクールを開くことでスタッフのスキル向上を図っています。
当店に来ていただいたお客さまには、体はもちろん心も軽くなるようなサービスを提供したいと考えています。そのため、施術だけでなく、お客さまとの会話にも気を配るように心がけているんです。時には、お客さまから旦那さまについてのお悩みを聞くこともありますね。誰もがすぐにできることではないのでスタッフの教育には苦労していますが、施術後にお客さまから「楽しかった」の一言が聞けたときには、そんなことも忘れてしまいます。
『Mama’s body salon』山本代表のママをいたわるおもてなし、3つの極意
1.自身が『働きづらさ』を経験しているので同じ轍を踏まないよう、スタッフのママさんたちが働きやすい環境をつくる
2.施術後、「楽しかった」の一言を聞くためにときには旦那さまについてのお悩みも聞く
3.ママの「これは仕方ないことなんだ」という諦めをなくす
そこで働くスタッフの皆さんも含めて、訪れるママ全員を幸せにする『Mama’s body salon』。インタビュー中には、「奥さまにギフト券をプレゼントしたい」と男性が電話をかけてくる一幕もありました。『Mama’s body salon』と山本代表が作り出す穏やかな空間は、今後もママたちの笑顔をつくり続けていくでしょう。