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特集・コラム 2023-09-20

ケアマネジャーの合格率は低い?難易度が高い理由と受験対策の3つのポイントを紹介

ケアマネジャーは介護を必要としている方のケアプランの作成やケアマネジメント、関係機関や各自治体の担当者との連絡役などを担う重要な仕事です。

ケアマネジャーになるためには、介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、研修を受ける必要がありますが、試験の合格率や試験の難易度は一体どれくらいなのでしょうか?

今回は、ケアマネジャーの試験合格率や難易度が高いと言われる理由、受験資格、難関試験の合格を勝ちとるためにおさえておきたいポイントについて紹介します。

ケアマネジャー(介護支援専門員)の試験合格率はどれくらい?

受験を考えている人にとって、その資格の合格率は気になるところでしょう。結論から述べると、ここ数年のケアマネジャーの合格率は低い傾向にあり、合格難易度が高い状態です。

ここからは、ケアマネジャーの試験合格率について具体的な数字でご紹介していきます。

第25回介護支援専門員実務研修受講試験の合格率は19%

ケアマネジャーの試験は、たくさんある資格のなかでも難易度が高いといわれています。まずは、前年に実施された試験の合格率について確認してみましょう。

2022年10月9日に実施された第25回の試験の合格率は19.0.%でした。

直近5年間の試験の合格率は10〜20%前後

直近5年間の合格者数・合格率は下記のように推移しています。

・第25回試験:受験者数54,406人、合格者数10,328人、合格率19.0%
・第24回試験:受験者数54,290人、合格者数12,662人、合格率23.3%
・第23回試験:受験者数46,415人、合格者数8,200人、合格率17.7%
・第22回試験:受験者数41,049人、合格者数8,018人、合格率19.5%
・第21回試験:受験者数49,332人、合格者数4,990人、合格率10.1%

引用元
厚生労働省:介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況等

合格率が20%を下回る年が多く、合格難易度の高い試験だといえるでしょう。

職種別にみる合格者の割合

第25回試験の職種別合格者数の割合は下記のとおりです。

引用元
厚生労働省:第25回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について

介護福祉士や看護師が、とくにケアマネジャーを目指すパターンが多いことがわかります。

なぜ? 試験の難易度が高い理由とは?

なぜケアマネジャーの試験の難易度は、高いと言われているのでしょうか。そこには、ケアマネジャーとして求められる質・試験の解答方法・受験者の背景に関係があるようです。

ここからは、試験の難易度が高い理由について、くわしくご紹介していきます

1. ケアマネジャーの質向上のために受験資格の難易度を上げてある

受験資格のハードルが高いのは、ケアマネジャーの質が重視されるようになったからです。

実は、2018年に受験資格の改定がおこなわれました。改定前までは、「介護での従事が10年以上(初任者研修修了者は5年以上)」という受験資格が必要でしたが、改定時にこの受験資格が外されています。

その代わりとして設けられたのが、「医療や介護系の国家資格を保有している必要がある」ということ。この資格に該当するのが、医師・歯科医師・薬剤師・保健師・助産師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士などの医療従事者と、社会福祉士・介護福祉士・視能訓練士・義肢装具士などの介護系従事者です。

さらに、これらの業務に5年以上就いていることも条件となっています。このような理由から、ケアマネジャーの受験資格の難易度が上がっているということです。

引用元
厚生労働省:介護支援専門員 概要

2. 解答方法が独特

試験の解答方法も、難易度が高い要因のひとつでしょう。選択肢が5つあり、そのうちから2つもしくは3つの選択をするという解答方法になっています。ほかの選択肢が正答でも、1つ間違えると得点になりません。

これは偶然に正解する可能性を減らすためでもあり、しっかりとした知識をつけて挑まないと合格できないようになっています。

3. 合格基準が高い|介護福祉士・社会福祉士と比較

難易度が高い要因として、合格基準の高さもあげられます。試験科目は、介護支援分野(25問)と保健医療福祉サービス分野(35問)の2科目です。合格基準は、各分野で正答率70%以上となっています。どちらの分野でもバランスよく得点しなければならない試験です。

各分野の試験難易度は毎年異なるため、合格基準点は下記のように変化します。

引用元
東京都福祉局:介護支援専門員の試験情報

福祉系の国家資格では、介護福祉士や社会福祉士などもありますが、こちらの合格基準は60%以上となっているため、ケアマネジャーはより深い知識を求められていることがわかるでしょう。

4.一問あたりにかけられる時間が少ない

ケアマネジャーの試験は、一問あたりにかけられる時間が2分と少なめです。60問の問題を、120分で解答しなければなりません。試験時間と問題数との兼ね合いで、一問あたりにかけられる時間が少ない点が、試験の難易度が高いといわれるひとつの要因だといえます。

5. 十分な勉強時間がとれない

試験の難易度の高さは、解答方法や合格基準などの試験側の理由のみではありません。受験者側の理由として、十分な試験対策の時間を取れないことも要因として考えられます。

受験資格を取得するためには、5年以上の実務経験が必要です。そのため、ほとんどの人が仕事・家庭・育児・介護などをしながら勉強しなければいけません。

勉強時間の確保がむずかしく、実力不足のまま試験に挑むことになる人もいるため、結果的に試験の難易度が高くなってしまうということです。

介護支援専門員実務研修受講試験の受験資格

下記のいずれかの方法で、介護支援専門員実務者研修受講試験の受験資格を得られます。

・特定の国家資格(医師や看護師、理学療法士など)における業務経験が5年以上、かつ900日以上は業務に携わった経験のある方
・特定の相談業務(生活相談員や支援相談員など)における業務経験が5年以上、かつ900日以上は業務に携わった経験のある方
・複数の国家資格を所有する場合、それぞれの実務経験を合算して5年以上、かつ900日以上は業務に携わった経験のある方

該当する資格を保有していても、実際に要介護者に対する直接的なサポートをおこなっていなければ、受験資格を得るのに必要な業務経験とは認められない点に注意です。

以前は、無資格でも相談業務に一定期間以上従事していれば受験資格として認められていましたが、2018年以降は国家資格に基づかない実務経験は認められなくなりました。

引用元
公益財団法人 東京都福祉保健財団:別表1 国家資格等に基づく業務に従事する者
公益財団法人 東京都福祉保健財団:別表2 相談援助業務に従事する者
公益財団法人 東京都福祉保健財団:令和5年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験

目指せ合格! 受験対策のポイントを紹介

資格の取得が難しいとされるケアマネジャーですが、受験対策を忙しいなかでも効率よく、しっかりとおこなうことで合格に近づくことができるでしょう。

ここからは、無駄のない試験勉強ができるようにケアマネジャー試験合格に向けた受験対策ポイントをご紹介します。これから受験を考えている人は参考にして、試験勉強に挑んでみてくださいね。

1. 受験勉強は早めにスタートしよう

試験は、毎年10月頃におこなわれます。ケアマネジャーの試験は、問題数が60問と多いわけではありません。しかし、問題の解答方法が複数解答ということもあり、専門的かつ深い知識が求められます。

受験を考えている人は、働きながら受験対策をしなければならないため、試験対策にまとまった時間を確保しにくいでしょう。受験勉強は、早めに開始して対策をすることが大切です。

2. 用語はあやふやにせず、きっちり理解しておこう

介護や医療分野では、専門用語が多く使われています。用語の理解があいまいなままでは、問題を正確に把握することもむずかしくなるでしょう。

とくに制度や法律には、普段聞き慣れない用語も多くあるので、意味をよく理解することが大切です。また、あらかじめ知識としてわかっているつもりでも、実際は理解が不足していることもあります。自分の得意分野でも、復習を忘れないようにすることを意識してみてください。

3. 介護保険法の改正箇所をチェックしておこう

介護保険法は、3年ごとに改正がおこなわれています。最近では2020年に改正がされ、2021年4月から施行されました。

法改正の背景としては、世間で話題に上がる時事的な問題を解決するための改正が多くなっています。このような変更部分は、試験でも問題になりやすく、ケアマネジャーとして把握しておくべき知識といえるでしょう。

どの部分が変更になったのか、変更にいたった背景などもセットで覚えるようにするとより深い理解が得られます。

4. 過去問を利用しよう

ケアマネジャーの試験対策としては、過去問を解くことが有効です。重要な事項に関しては、繰り返し出題されることも多いので、反復して過去問を解くことで出題されやすい問題が理解できるようになります。

試験の合格基準が高いため、頻出問題を取りこぼさないように対策しましょう。また、5択から複数の選択肢を解答することに慣れるためにも、過去問を繰り返し解くことは重要です。東京都の過去問は東京都福祉保健局のサイトよりダウンロードできるので、活用してみるとよいでしょう。

『ケアマネジャー試験 過去問解説集2023』

過去問に挑むだけであれば、東京都のサイトからダウンロードできます。しかし、問題をどのような理由で間違えたかがわからなければ、正しい理解ができているとはいえないでしょう。

そこでおすすめしたいのが、解説つきの過去問題集です。問題を解きながら、自分の理解が足りない部分を把握できます。

この解説集には、過去5回分の過去問題が掲載されているのが特徴。過去に出題された同じテーマの問題や注意しておきたいキーワードなどを紹介しているため、ポイントを抑えながら学習できます。

引用元
中央法規社:ケアマネジャー試験 過去問解説集2023

5. 受験対策講座を受講しよう

独学では不安という人や受験対策のスケジュールを立てるのに自信のない人は、受験対策講座を活用するのもよいでしょう。

理解しやすいようにテキストやカリキュラムが用意されているため、効率的な受験対策をおこなうことができます。

ニチイ|ニチイのケアマネジャー受験対策パーフェクトゼミ

ニチイの「ケアマネジャー受験対策パーフェクトゼミ」という講座では、現役のケアマネジャーの声を反映しながら、試験合格のコツを教えてくれるのが特徴です。

効率的な知識の定着をはかる反復学習法を採用しており、基礎力養成期・実践力養成期・総仕上げ期の3つの期間を経て、合計2回の演習で合格に必要な知識を習得していきます。

受講期間は2〜4カ月前後で、税込7万125円の受講料がかかります。

短期間で集中的に学びたい方は通学と通信、時間に余裕がある方は通信のみと学び方も選ぶことが可能。自分のペースに合わせて、好きな方を選ぶとよいでしょう。

引用元
ニチイ:ケアマネジャー受験対策 パーフェクトゼミ

未来ケアカレッジ|ケアマネジャー試験対策講座

未来ケアカレッジの「ケアマネジャー試験対策講座」では、長年のノウハウを詰め込んだ対面授業を受講でき、AIを活用したWeb講座で弱点を効果的に鍛えられます。

また、過去問題や講師たちの経験に基づいた、本番を想定した模擬試験を受けて実力を養成できるのも魅力です。模擬試験は通学・Web・自宅の3つの形式から選択できます。

通学・Web形式の講義で、合格に向けた力を着実に身につけたい方におすすめです。

引用元
未来ケアカレッジ:ケアマネジャー試験対策講座

三幸福祉カレッジ|ケアマネジャー受験対策講座

三幸福祉カレッジの「ケアマネジャー受験対策講座」は、通学・通信制から自由に選べる受講形式が魅力だといえます。受講生の試験合格率は、全国平均の約3倍となる70%を記録しており、過去10年間で1,773名の合格者数を出している点が信頼性が高いです。

高い合格率の秘密は的中率93%と言われるオリジナル教材で、試験の出題傾向をおさえたクオリティの高い教材で学習して、試験合格を目指すことができます。

引用元
三幸福祉カレッジ:ケアマネジャー 受験対策講座

ケアマネジャーは難関資格! しっかり対策をして試験に臨もう

ケアマネジャーの試験は合格率が10〜20%前後と難易度が高い試験です。同じく介護・福祉系の資格である介護福祉士や社会福祉士などの試験の合格率が60%以上であることを考えると、その難易度の高さがよくわかります。

合格率が低い原因には、試験内容が難しく、5つの選択肢から複数の選択肢を解答しないと得点できない方式で、一問あたりにかけられる時間も限られている点があげられます。

早めに受験勉強を開始して、よくわからない単語や項目をあいまいにせず、過去問を何度も解くことで試験内容を分析し準備して、難関試験の合格を目指しましょう。

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