社会福祉士の主な就職先と業務内容を解説! 多様な業務を行う社会福祉士の年収とは?
社会福祉士は、障害や病気が原因で生活が苦しい人たちの相談にのったり、支援をおこなったりする専門職です。しかし、就職先はさまざまで働く場所によって仕事内容も違います。おもな就職先とそこでの業務の違いをきちんと知っておけば、就職活動をする際に自分に合った職場をみつけやすいです。この記事では、社会福祉士を目指している方のために、社会福祉士のおもな就職先と業務内容、そして仕事を選ぶうえでとても重要な平均年収について解説します。
社会福祉士のおもな就職先は? どんな業務をおこなうの?
社会福祉士の就職先は、福祉施設や学校、病院、行政機関などです。ここでは、社会福祉士の具体的な就職先の名称とそこでの業務内容について詳しく解説します。
高齢者福祉介護施設|デイサービスセンター・特別養護老人ホームなど
社会福祉士の就職先としてもっとも多いのが高齢者福祉介護施設で、就労率は43.7%となっています。おもな施設とそれぞれの特徴は次のとおりです。
デイサービスセンター:デイサービスは1日もしくは半日の利用です。入浴や排泄介助だけでなく、高齢者が編み物や手芸などが楽しめる施設や筋トレやフィットネスができるリハビリを重視した施設などがあります。
特別養護老人ホーム:安い費用で利用ができる公的な介護保険施設です。「広域型特別養護老人ホーム」「地域密着型特養」「地域サポート型特別養護老人ホーム」の3つの種類があります。
生活相談員・介護支援専門員が多め
社会福祉士が高齢者福祉介護施設で採用された場合、業務内容は生活相談員や指導員としての業務の割合が34.0%、介護支援専門員としての業務の割合が13.8%です。具体的な「生活相談員」の仕事内容は、高齢者福祉介護施設を利用する本人またはそのご家族の相談など。「介護支援専門員」は、要望にあったケアプランの提案とそのほかの職種や関係機関との連絡や調整などになります。
障害者福祉関連施設|グループホーム・就労継続支援施設など
次に多い就職先が障害者福祉関連施設、就労率は全体の17.3%です。障害者福祉関連施設は障害者が福祉サービスを受けられる施設で、サービスは日中のものと夜間のものがあります。障害者福祉関連施設には、「グループホーム」や「就労継続支援施設」などがあり、それぞれの特徴は次のとおりです。
グループホーム:障害者が3~4人の少人数のグループで生活する住宅のことで、生活や健康の管理は世話人がおこないます。マンションやアパート、一戸建てを利用することもありますが、NPO 法人や医療法人などが住居を設置することもあるでしょう。
就労継続支援施設:障害者が不自由なく働けるように職場を障害や体調に合わせ調整したり、必要な訓練や支援をおこなったりする施設です。
主任相談支援員として働く
障害者福祉関連施設で働く、主任相談支援員の42.3%が社会福祉士です。主任相談支援員のおもな業務内容は、障害者が自立した生活が送るための支援内容をコーディネートすることです。また、障害者との信頼関係を築き、家族関係に問題がある場合は家族を含めた解決方法を考えることも業務に含まれます。
医療機関
社会福祉士として、医療機関に就職することも可能です。社会福祉士を受け入れている医療機関はまだそれほど多くありませんが、2015年度のデータでは医療関係への就労率は14.7%となっています。とくに、入院患者を多く受け入れている規模が大きい病院での需要が高いといわれているのです。
医療ソーシャルワーカーとして働く
医療ソーシャルワーカーのおもな業務は、医療機関での患者の相談対応、アドバイス、支援などです。具体的にいうと、入院の日程調整から経済的および心理的な問題に関する相談への対応、長期入院や治療で生活が困難になった場合には有効な保険や福祉制度の紹介などになります。
地域福祉関係|福祉協議会など
地域福祉関係への就労率は7.4%で、地域福祉関係のおもな就職先は福祉協議会です。社会福祉協議会は各都道府県や市区町村に設置されていて、地域の人たちが安心して生活できる「福祉のまちづくり」を目的としています。福祉協議会では「福祉活動専門員」として働くこともあり、具体的な業務内容は、福祉問題の解決、住民の相談対応、ボランティア活動の支援、新しい福祉サービスをプランニングや実施などです。
児童・母子福祉関係|児童相談所・学校など
児童・母子福祉関係へ就職する社会福祉士もいて、就労率は4.8%です。児童・母子福祉関係の就職先としては次のようなものがあります。
児童相談所:18歳未満の子どもを対象として設置された児童福祉法にもとづく行政機関です。
学校:日中に通う学校や特別支援学校のほか、フリースクールなどでも社会福祉士が活躍しています。
教育分野|スクールソーシャルワーカー
教育の分野で活躍するスクールソーシャルワーカーの50%が、社会福祉士の資格を持っています。生徒が抱える悩みは、いじめ、家庭不和、虐待などさまざまです。このような問題はたいへん複雑なのでスクールソーシャルワーカーの業務内容も、悩みを抱える生徒の相談対応から問題解決のサポート、家庭内環境の調整、支援クラスの準備など多岐にわたります。
福祉事務所(行政相談所)|公務員として勤務
福祉事務所は都道府県が設置している施設で、地域住民の生活保護、母子寡婦福祉、介護保険法、福祉施設整備などをおこなっています。そのなかのひとつである行政相談所への就労率は3.4%です。行政相談所では、地方自治体の業務や手続きに関する意見や苦情を受け付けや相談対応をおこなっています。社会福祉士が行政相談所で働く場合は、福祉に関する相談に対する対応、および問題解決に向けて適切な専門行政機関への斡旋などがおもな業務です。
福祉事務所|生活保護担当現業員・生活保護担当査察指導員
生活保護に関する直接窓口も福祉事務所で、そこでの業務を担当しているのが生活保護担当現業員と生活保護担当査察指導員です。生活保護担当現業員の13.5%、生活保護担当査察指導員の 8.7%が社会福祉士の資格を持っています。生活保護担当現業員と生活保護担当査察指導員の業務内容は、次のとおりです。
・生活保護担当現業員:ケースワーカーとよばれ、生活保護担当現業員になるためには社会福祉主事の任用資格も必要です。おもな業務は生活保護申請の相談、手続きのサポート、生活保護受給者の家庭訪問などになります。
・生活保護担当査察指導員:生活保護は申請すればだれでも受給できるわけではなく、受給資格の調査がおこなわれます。その調査をおこなうのが、生活保護担当査察指導員です。生活保護担当査察指導員になるための国家試験などはなく、ケースワーカーとして実績と経験を積んだ人が任命されます。
社会福祉士の平均年収・お給料はどれくらい?
仕事の内容に満足しても、やはり収入も気になるところでしょう。ここでは社会福祉士の平均年収とお給料についてご紹介します。
社会福祉士の収入は就職サイトや求人サイトで、かんたんに調べることができます。しかし、お給料の金額は就職する地域、施設、また年齢によっても異なるので、あくまでも参考程度にしておいてください。社会福祉士の給料の相場は「平成26年度 介護労働実態調査」によると、月給制26万3,975円、日給制14万9,025円、時間給11万761円なので、平均年収は320~550万円ほどです。
また、似たような職業に社会福祉主事があります。社会福祉主事になるためには、さらに社会福祉主事任用資格をとって公務員試験に合格し、地方公務員として採用される必要があります。しかし、その平均年収は600万円になり、将来は管理職に就くことも夢ではないでしょう。
社会福祉士は資格を活かして多様な働き方ができる!
社会福祉士というと、高齢者福祉介護施設や障害者福祉関連施設をイメージされる方が多いかと思いますが、実施には社会福祉士の資格があれば幅広い職場のなかから就職先を選ぶことができます。さらに資格を取得してキャリアを積めば、社会福祉主事や生活保護担当査察指導員などを目指して転職することも可能です。社会福祉士はとても将来性があるので、やりがいのある仕事をお探しの方はぜひ目指してみてはいかがでしょうか。
参照元:
厚生労働省 ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について