少人数だからこそ成し得た「人生を共有する」サロン作り。これからもずっと人とのつながりを大切に【KURAKU 藤島裕幸さん】#2
笹塚で15年続く「KURAKU(クラク)」は、地元の方を中心に多くのお客様に愛される地域密着型サロン。どこか懐かしさのある一軒家の空間と、明るく伸び伸びと働くスタッフの雰囲気が相まって、居心地のよさにあふれています。
前編では、オーナー美容師の藤島さんが独立するまでのストーリーや、KURAKUのコンセプトなどをご紹介しました。この後編では、少人数サロンへのこだわりやスタッフ教育の肝、そして現在の藤島さんの目標などをインタビュー。
お話を伺ったのは…
KURAKU
代表・美容師 藤島裕幸さん
1998年、有限会社ku-ja入社。美容室に勤めながら通信制で美容師免許を取得し、2000年にスタイリストデビュー。2003年に渡英し、美容師として約1年働き帰国。都内1店舗を経て2005年にARCHに入社し、約7年勤務。2011年、独立して笹塚にKURAKUをオープン。現在はKURAKU羽根木店(クラク ハネギ店)、MIRUCO by KURAKU(ミルコ バイ クラク)も加わり3店舗に。
お客様や美容師と「深くつながる」ための少人数サロン

――KURAKUは笹塚店のほかに羽根木店とMIRUCO by KURAKUがあります。まず、2店舗目を出そうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
僕は妻と働く拠点を別にしたいと思ったんです(笑)。何しろ家でも職場でも24時間一緒だったので。スタッフが少しずつ増えてきたので、成長できる場所を作りたいという思いもありました。
2店舗目の羽根木店は妻が仕切っています。代田橋駅から10分弱のところにあり、笹塚の店からも歩いて15分かからない距離なので、何かと便利なんですよ。
――MIRUCO by KURAKUを作った経緯も教えてください。
オープニングメンバーだった美容師が地元に帰って独立することが決まり、せっかくなら経験値を与えてあげたいなと思いました。新しい店を作るならその子に任せたいとも思っていたので、「退職祝いとして店を作れ」ということに。
スタッフが減るにも関わらず新店を出したので、3店舗に増えた時の総スタッフ数はたった5人でした!立ち上げた本人は、MIRUCOで一度も働かずに地元に戻りましたね(笑)。
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――今はどの店舗も4、5人のスタッフがいらっしゃいますが、少人数にこだわる理由は何ですか。
一人ひとりとしっかり向き合ったり、深くつながったりしていくためには、この形が自分にすごく向いていると思いました。みんなの顔が見える規模と距離がいいんです。
お客様とも美容師とも深くつながるということを大事にしているので、大きい会社よりは「深くて強い」会社にしていきたいと思っています。
――深くつながるというのは、大変さもあると思います。
以前、自分の気持ちを言葉にするのがとても苦手なスタッフがいました。でも美容師という仕事柄、言葉で相手に伝える必要性はありますよね。だからその子の考えを知りたくて、1対1で質問を投げかけました。その子はきっと頭の中では考えているけど答えられなくて、僕はじっと待っていて、7時間くらい向き合って座っていたことがあります。
――7時間も!?ふたりともすごいです!
でもその7時間で、教えることより待つことのほうが勇気がいると学ばせてもらいました。答えを教えてしまうほうが簡単で早いですからね。
本人も「その経験があったから今でもすごく深い仲になっている」と言ってくれました。もちろん1回でガラッと変わるわけではないけど、ひとつのきっかけになったのかなと、今ふと思いました。
本当に、待つってすごく難しい。だからこそ、待つことは深くつながることだと思うんですよ。でもさすがにスタッフが100人いたら待てない。それゆえの少人数ですね。
1年目から大役も…!?若手が成長できるしくみ作り

――スタッフの育成に関しては、どんなことを大切にしていますか。
不器用な子もいれば人見知りの子もいるし、技術が得意な子も苦手な子もいます。規模が小さいサロンだからこそ、一人ひとりに合わせたカリキュラムや教え方ができる。それがうちのいいところだと思っています。
具体的なカリキュラムは僕が全部作っているわけではなく、スタイリストや幹部たちがみんなで考えてくれています。それぞれに役割があるんです。1年目の子にも、結構大役を渡しますよ。
――どんな大役でしょうか。
採用面接に参加してもらい、その子が一緒に働きたいと思った人を採用します。
――すごいですね!自分も前年に面接を受けたばかりなのに。
雑談で話したほうがいいような質問をすることもありますよ、「推しは誰ですか」とか(笑)。でも、面接官という大役を経験することですごくいい勉強になると思うし、やっぱり自分が選んだ後輩だから真剣に教えていくと思います。
――なるほど。確かに思い入れの強さが変わるかもしれません。
あとは、長所を伸ばすことを重視しています。僕自身ダメな部分もたくさんあって周りに助けてもらっていますし、短所がない人なんていないと思います。短所よりも長所に目を向けていたいですね。
――そういう考えのもとなら、若い人も焦らずしっかり成長できそうです。
教育にも関係するかもしれませんが、僕は技術や才能が飛び抜けている人よりも、続ける人がすごいと思うんですよね。さらには、ただ続ける人よりも「好きで続ける人が最強」です。人が好き、美容師という仕事が好きという気持ちが何にも勝ると実感しています。
スタッフの活躍や夢の実現を支えるのが自分の役割

――話は少し変わりますが、熱海のヘッドスパサロンをプロデュースしたことがあるそうですね。
コロナ禍で美容師は身動きが取れず、あれもこれもダメで暗いムードになっていた時に、これは何か動かないといけないと思いリラックス分野に挑戦しました。熱海は海と温泉がある素敵なところですが、やはり当時は閑古鳥で、仕事を求めている人も多かったんですね。そういう方にドライヘッドスパの技術を教えて、活躍する道を作っていければいいなと思いました。
ただ、借りていた場所が立ち退きにあってしまい、店を閉じたんです。残念ではありますが、東京で美容室を経営するのとはまた違った経験ができ、すごく学ばせてもらいました。きっと今後に生きてくるだろうなと思っています。
――これからの美容師人生やサロンの未来について、思い描いている夢や目標はありますか。
スタッフが毎日生き生きと働いてくれて、美容を好きになってくれて、自分もハサミを握れていたらいいですね。10年後もその先も、この感じで長く続けていきたいです。
そして、若いスタッフたちが活躍できる場所は絶対に作っていきたいです。彼らが主役として立てるステージを作るのが僕の仕事。みんなの夢ややりたいことを叶えるのが僕の目標です。
――若いスタッフの声として、何か挙がっていることはありますか。
まつ毛やネイル、ブライダルに興味がある子もいますし、海外に行きたいと思っている子もいます。
――うわぁ、夢がいっぱいですね。
KURAKUの社員旅行は必ず全員参加で、コロナ禍の時を除いて毎年海外に行っているんですよ。それが人生初の海外旅行という子も多くて、やっぱり何かしら影響を受けるようです。遠かったものが近く見えるような、自分の地図か広がっていくような、そういう感覚になれますよね。
――最後に、藤島さんにとって「働く」ということは?
僕にとって働くというのは、人生を共有することだと思いますね。嬉しいこと、楽しいこと、苦しいこと、悲しいこと、いろいろありますが、それを一緒に仕事をしているスタッフや通ってくださるお客様と分かち合っているんだなぁと感じています。
藤島さん流の成功のポイント
1.好きで続けている人が最強!
2.夢は一人で叶えるものじゃない
3.人として向き合うことを大切に
撮影/高嶋佳代
取材・文/井上菜々子
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KURAKU
住所:東京都渋谷区笹塚1-44-4
TEL:03-6407-4969
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