「もう辛い」と悩む薬剤師へ。現場ですぐ使える具体的な解決策とキャリアのヒント
日々の業務に追われる中で、「このままでいいのだろうか」とふと立ち止まる瞬間は、どの薬剤師にも訪れるものです。
専門職としての責任の重さと、対人業務や組織内での立ち位置など、悩みの種は尽きません。
この記事では、薬剤師が抱える特有の悩みを整理し、明日から使える具体的な解決策を提案します。
1. 業務・スキルでつまずく悩みと解決策
1-1. 疑義照会と処方意図の読み解き
疑義照会は薬剤師法第24条で定められた法的義務であり、患者さまの安全を守る最後の砦です。
しかし、「医師に聞きづらい」「自分の知識不足ではないかと不安になる」といった心理的ハードルを感じる方も多いかもしれません。
医師の処方意図を汲み取れていないのではないかという不安は、経験の浅い時期には避けて通れない悩みです。
しかし、これは患者さまの副作用回避や薬物療法の最適化に直結する重要なプロセスです。
【解決へのアドバイス】
疑義照会は「間違い探し」ではなく「情報提供」と捉え直すことが大切です。
トレーシングレポート(服薬情報提供書)を活用し、緊急性の低い情報は文書で伝えるなど、医師の多忙さに配慮した連携方法も有効です。
また、厚生労働省や日本薬剤師会も、プロトコールに基づく薬学的管理を推奨しており、事前に医師と合意形成しておくことも業務効率化につながります。
1-2. 薬歴・監査・レセプトの品質と効率
「薬歴が溜まってしまい残業になる」「監査で見落としがないか不安」という悩みは、多くの現場で共通しています。
薬歴は単なる記録ではなく、次回の服薬指導や他職種との情報共有の基盤となるものです。
しかし、完璧な文章を書こうとするあまり時間がかかりすぎては本末転倒です。
質の高い医療を提供しつつ、業務を効率化するバランスが求められています。
【解決へのアドバイス】
「作文」ではなく「記録」に徹することがポイントです。
箇条書きを積極的に活用し、一目で要点が伝わる記載を心がけましょう。
また、監査においては「自分は間違えるかもしれない」という前提に立ち、ダブルチェックの体制や、システムによるチェック機能を過信せず活用することが大切です。
1-3. 服薬指導の難症例対応(高齢者・多剤併用 等)
高齢化に伴い、ポリファーマシー(多剤併用)や認知機能の低下した患者さまへの対応が増えています。
「説明しても理解してもらえない」「飲めていないのに『飲んでいる』と言われる」といったコミュニケーションの壁に直面することも多いでしょう。
これらは単なる説明スキルの問題ではなく、患者さまの生活背景や心理状態への深い理解が必要なケースです。
【解決へのアドバイス】
「正しさ」を押し付けるのではなく、患者さまの生活スタイルに「合わせる」提案が有効です。
一包化や服薬カレンダーの提案だけでなく、時には医師へ減薬を提案(処方提案)することも薬剤師の重要な役割です。
1-4. 在庫・期限・温度管理と業務標準化
「急な処方で在庫がない」「期限切れで廃棄が出てしまった」といった在庫管理の失敗は、薬局経営を圧迫するだけでなく、患者さまへの供給責任に関わる重大な問題です。
特に温度管理の厳格化や医薬品流通の不安定さが続く中、在庫管理は高度なスキルが求められる業務となっています。
属人化しやすい業務だからこそ、標準化が避けては通れません。
【解決へのアドバイス】
デッドストック(不動在庫)の早期発見が鍵となります。
在庫管理システムのアラート機能を活用し、定期的に棚卸し以外の簡易チェックを行う習慣をつけるとよいでしょう。
2. 職場別に多い悩みと解決策

2-1. 調剤薬局の悩み(処方箋集中・人員配置・かかりつけ対応)
調剤薬局、特に門前薬局では、特定の医療機関の診療状況に業務量が左右されがちです。
「特定の曜日に忙殺される」「かかりつけ薬剤師としてのノルマがプレッシャー」といった悩みが深くあります。
地域医療の担い手としての期待に応えつつ、持続可能な働き方を模索する必要があります。
【解決へのアドバイス】
人員配置の偏りは店舗内だけで解決しようとせず、エリアマネージャー等への相談も重要です。
かかりつけ対応については、件数そのものよりも「一人の患者さまといかに信頼関係を築けたか」というプロセスを評価する視点を持つと、精神的な負担が軽くなるかもしれません。
2-2. 病院の悩み(チーム医療・当直・無菌調製)
病院薬剤師は、最先端の医療に関われるやりがいがある一方で、「当直や夜勤で体力がきつい」「医師や看護師とのヒエラルキーに悩む」という声が聞かれます。
チーム医療の一員として専門性を発揮したいという意欲と、業務過多の現実とのギャップに苦しむケースも少なくありません。
【解決へのアドバイス】
フィジカルアセスメントなどのスキルを磨き、「薬の専門家」として頼られる存在を目指しましょう。当直等の体力的な問題については、無理を重ねすぎないことが大切です。長期的なキャリアを見据えて専門薬剤師の資格取得などを目標にするのもよいでしょう。
2-3. ドラッグストアの悩み(物販KPI・推奨販売の線引き)
ドラッグストア勤務では、調剤業務だけでなくOTC医薬品や健康食品の販売目標(KPI)を課されることがあります。「薬剤師なのに物を売ることがメインになっている気がする」という葛藤を抱く方もいるでしょう。
しかし、セルフメディケーションの推進は薬剤師の重要な職能の一つです。
【解決へのアドバイス】
物販を「ノルマ」と捉えるのではなく、患者さまの生活全体をサポートする「未病・予防への介入」と捉え直してみましょう。OTCの知識は、調剤業務における併用薬確認などにも大いに役立ちます。
2-4. 製薬/企業の悩み(学術・MSL・薬事での役割)
企業薬剤師は、臨床現場とは異なるビジネススキルや英語力、プレゼンテーション能力が求められます。
「社内でのキャリアパスが見えにくい」「臨床現場から離れることへの不安」を感じることもあるでしょう。
企業の論理と医療倫理のバランスの中で、薬剤師としてのアイデンティティをどう保つかが課題となります。
【解決へのアドバイス】
企業内では、薬学の知識だけでなく、マーケティングや法規制(薬機法)の知識も武器になります。
社外の研修会に参加するなどして、常に最新の医療トレンドをキャッチアップし続ける姿勢が評価につながります。
3. 人間関係・多職種連携の悩みと解決策
3-1. 医師・看護師・ケアマネとの連携
在宅医療や地域包括ケアシステムが進む中、多職種連携は必須です。
しかし、「共通言語が通じない」「忙しそうで話しかけられない」といったコミュニケーションの壁が存在します。
それぞれの専門職が持つ視点や優先順位の違いを理解しないままでは、連携はうまくいきません。
【解決へのアドバイス】
「教えてあげる」ではなく「相談する・共有する」というスタンスが信頼関係構築の鍵です。顔の見える関係を作るために、退院時カンファレンスやサービス担当者会議へ積極的に参加することをおすすめします。
>>内部リンク「人間関係に疲れた薬剤師へ。辞めたいと思う前に試してほしい対処法と会話術」
3-2. クレーム/ハードクレーマー対応
待ち時間への不満や、薬局側のミスではないことに対する理不尽な要求など、クレーム対応は精神を消耗します。
特に近年は「ペイシェントハラスメント」も問題視されており、一人で抱え込むのは危険です。
初期対応を誤ると問題が長期化する恐れがあるため、組織的な対応が必要です。
【解決へのアドバイス】
対応を個人任せにせず、必ず上長に報告し、複数名で対応する体制を作りましょう。
悪質な場合は、警察や弁護士への相談も視野に入れた対応マニュアルを整備しておくことが、スタッフを守ることにつながります。
3-3. 上司・同僚との摩擦、配置/ヘルプの調整
狭い調剤室の中では、人間関係のトラブルが逃げ場のないストレスになります。
「管理薬剤師と考えが合わない」「ヘルプばかりで自店舗の業務が落ち着かない」といった悩みは、離職の原因にもなりかねません。
組織としての風通しの良さが、医療ミスの防止にも直結します。
【解決へのアドバイス】
「人」と「問題」を切り離して考えることが大切です。
相手を否定するのではなく、「より良い業務フローにするためにはどうすればよいか」という視点で話し合いましょう。
どうしても解決しない場合は、エリアマネージャーや人事部門への相談も検討してください。
4. 働き方・労務に関する悩みと解決策

4-1. 残業・業務量・36協定の実務
「薬歴が終わらなくて毎日残業」「閉店間際の駆け込み処方で帰れない」という状況は、ワークライフバランスを崩す大きな要因です。
36協定(時間外・休日労働に関する協定届)の存在を知っていても、実態として守られていない職場もあるかもしれません。
自身の健康を守るためにも、労務管理への意識を持つことが必要です。
【解決へのアドバイス】
残業が常態化している場合は、業務プロセスの見直しが必要です。
もしもサービス残業を強いられている場合は、勤務記録を自身でもつけておきましょう。
労働環境の改善は、患者さまへの安全な医療提供のためにも不可欠です。
4-2. シフト設計・繁忙期の平準化
冬場の感染症流行期など、繁忙期の業務量は平常時の倍以上になることもあります。「休みが取れない」「急な欠勤が出ると現場が回らない」といった綱渡りの状態は、スタッフの疲弊を招きます。
予測可能な繁忙期に対して、事前の策を講じておくことが重要です。
【解決へのアドバイス】
繁忙期は誰しも余裕がなくなりがちです。
朝礼で「今日は忙しくなりそうですが、声を掛け合っていきましょう」と共有するだけでも、チームの雰囲気は変わります。
無理なシフトが続く場合は、増員をデータ(処方箋枚数や残業時間)に基づいて経営層へ打診することも管理者の役割です。
4-3. 有給・産休育休・時短の取り方と店舗運営の両立
女性の割合が高い薬剤師職において、ライフイベントと仕事の両立は大きなテーマです。
「育休明けで迷惑をかけていないか」「子供の熱で早退するのが心苦しい」と悩むママ・パパ薬剤師も多いでしょう。
制度を利用することは権利ですが、周囲への配慮と感謝があってこそ、スムーズな職場復帰が叶います。
【解決へのアドバイス】
時短勤務でも、限られた時間内で成果を出すことは十分可能です。
また、独身者やフルタイム勤務のスタッフに負担が偏りすぎないよう、店舗全体で業務量を調整し、不公平感を生まないマネジメントが求められます。
>>内部リンク「薬剤師の休日は少ない?業態別のリアルな実態」
5. キャリア・年収の悩み:選択肢と意思決定の基準と解決策
5-1. キャリアパス設計(調剤→病院→企業 など)
薬剤師のキャリアは多様化していますが、一度決めた道を変えることには勇気がいります。
「調剤薬局から病院へ転職できるのか」「企業で通用するのか」といった不安から、現状維持を選んでしまうこともあるでしょう。
自身の将来像(どうなりたいか)と、市場価値(何ができるか)を客観的に見つめ直す時期かもしれません。
【解決へのアドバイス】
異業種へのチャレンジは、早めの行動が有利に働くことが多いです。
認定薬剤師や専門薬剤師などの資格取得も、キャリアの選択肢を広げる強力な武器になります。まずは情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。
5-2. 管理薬剤師の適性・責任範囲・準備
「管理薬剤師になりたくない」と考える若手もいますが、キャリアアップの一環として打診されることは避けられません。
管理業務の責任の重さと、手当に見合わない業務量に不安を感じることも多いでしょう。
しかし、店舗経営の視点を持つことは、薬剤師としての視座を大きく高めてくれます。
【解決へのアドバイス】
最初から完璧な管理者はいません。スタッフを信頼して任せる勇気を持つことが、自身の負担軽減とチームの成長につながります。
「一人で抱え込まない」ことが、長く管理者を続けるコツです。
5-3. 年収レンジの現実と交渉ポイント
薬剤師の年収は、一般的に高水準と言われていますが、地域や業態によって大きな差があります。「数年働いても給料が上がらない」という悩みは切実です。
厚生労働省の統計などを見ても、薬剤師の年収はある程度の水準で頭打ちになる傾向があり、大幅なアップには戦略が必要です。
【解決へのアドバイス】
同じ職場で漫然と働いていても、大幅な昇給は難しいのが現実かもしれません。
定期的に自身の市場価値を確認し、必要であればより評価してくれる環境への転職も視野に入れるといいでしょう。
また、地方の薬局など、人材不足のエリアでは高待遇が提示されるケースもあります。
>>薬剤師の年収は高い?相場・地域差・スキルで“高収入”を実現する完全ガイド
6. リソース集(相談先・学習ツール・テンプレート)
6-1. 相談ルート(同期・上長・社内窓口)
一人で悩まず、適切な相談相手を見つけることが解決の第一歩です。
同期・同僚 業務の具体的な悩みや愚痴を共有し、共感し合える存在。
上長(管理薬剤師・エリアマネージャー) 業務改善やキャリアパスに関する実質的な相談相手。
薬剤師会などの職能団体 学術的な疑問や、制度に関する情報の宝庫。
6-2. 業務に役立つツール/テンプレ(電子薬歴/疑義照会フレーズ集)
業務効率化のために、既存のツールを最大限活用しましょう。
日本薬剤師会作成の資料 疑義照会簡素化プロトコールのひな形などが公開されています。
製薬会社のDIサイト インタビューフォームや患者向け資材がダウンロードできます。
スマホアプリ 添付文書検索アプリや、相互作用チェックツールをスマホに入れておくと、訪問先でも役立ちます。
6-3. 転職サービスの選び方と比較観点
転職を考える際は、サービスの特徴を理解して使い分けることが大切です。
対面ヒアリング型 じっくりキャリア相談にのってほしい方におすすめ。コンサルタントが条件交渉を代行してくれます。
検索サイト型 自分のペースで求人を探したい方におすすめ。
スカウト型 自分の市場価値を知りたい方や、良いオファーがあれば考えたいという方におすすめ。
7. まとめ

薬剤師の業務は、高度な専門知識と細やかな対人スキル、そして冷静な判断力が求められる大変な仕事です。
だからこそ、悩みが尽きないのは当然のことかもしれません。
今回ご紹介した解決策が、少しでも皆様の「明日の業務」を楽にし、前向きな気持ちで患者さまと向き合う助けになれば幸いです。
まずは、できそうなことから一つずつ、試してみてください。
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この記事の監修者
原瑞希
薬剤師専任キャリアアドバイザー
薬剤師免許保有
【経歴・実績】
・ドラッグストアチェーンにて薬剤師として3年間従事
・2024年度 新人賞(銀賞)受賞
【プロフィール】
元薬剤師として現場の空気感やストレスを肌感覚で理解しているため、悩みへの深い共感が可能です。
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