【SNSで売り上げアップ】リアルガチで勝負するためにインスタからYouTubeにシフト! お客様出演がマイルール【Lily スタイリスト 大野道寛さん】#1
「Lily」の人気美容師・大野道寛さんが運営するYouTubeチャンネル「ショート・ボブ専門美容師 ミッチー 大野道寛」は、お客様の切実なお悩みを解決していく「リアルガチ」系。開設して1年でチャンネル登録者数5.2万人以上(2021年6月現在)、投稿動画はどれも高い視聴回数を記録している、今勢いのある美容師ユーチューバーです。
大野さんはこれまでInstagram・ツイッター・ブログをフル活用してきました。フォロワー数は多くないけれど月の新規客数は20〜30人と充実していたようで、「僕の発信が届いているという手応えはあったし、フォロワー数と売り上げは関係ない」と実感したと言います。そして、SNS集客が順調の中、次なる時代を見据えてYouTubeをはじめたのだそう。
前編では、Instagramにおけるヘアスタイル画像の限界、リアルを伝える撮影スタイル、伸びるチャンネルの理由について教えていただきます。
教えてくれたのは…
「Lily」大野道寛さん
歴15年、ショート・ボブ専門のスタイリスト。2020年3月に開設したYouTubeチャンネル「ショート・ボブ専門美容師 ミッチー 大野道寛」は現在、登録者数5.2万人(2021年6月現在)、総視聴回数2000万回を記録(2021年6月現在)。「どのサロンに行っても無理と言われた」「ショートヘア人生を諦めていた」という悩める女性が全国から押し寄せる。
動画の時代に備えてYouTubeにシフト
――SNS集客に不便を感じていなかったとのことですが、なぜYouTubeをはじめたのですか?
一番の理由は動画コンテンツがほしかったからです。世間では「5Gに切り替わり、動画の時代がくる」とずっと言われていたので、それに対応するコンテンツを確保しなければと思っていました。
美容業界の窓口が雑誌からウェブへ、そしてウェブからInstagramへシフトしたときに乗り遅れた人たちをたくさん見てきたんです。静止画から動画に変わるこれからの時代に乗り遅れないように、今のうちから準備しておこうと思ってYouTubeをはじめたのですが、思いのほか上手くいってしまったというか…(笑)。
――他のSNSツールと比べて、YouTubeのどんなところに良さを感じますか?
動画は情報の量と質が断然違いますね。
実のところ、僕はInstagramをメインでは使っていませんでした。というのも、今はInstagramが国民のインフラ的ツールになっているために静止画が飽和し、お客様自身も飽きていると感じていたから。どのヘアスタイル投稿も同じに見えるし、可愛いけど実際に自分に合うとは限らない…というのが実情なんです。
「本当に自分に似合う髪型って?」「癖を克服できる髪型にしたい」ともっと濃い情報をほしがっている人にとって、YouTubeは最適なツールだと感じています。
「リアルサロンワーク」の動画は新しいヘアカタログになり得る
――チャンネルのコンセプトは最初から決めていたのでしょうか。
決めていましたね。美容師ユーチューバーの先輩にコンセプトがかなり大事だと言われていたので。
僕はショート・ボブの技術には絶対の自信がありましたから、得意のプレースタイルを活かした動画にしようと考えていました。先輩に相談したところ「良いじゃん!」と太鼓判を押してくれたのも心強かったですね。
――チャンネルの柱となっているのが、実際にお客様の施術シーンを撮影する「リアルサロンワーク」動画。なぜお客様参加型にしようと思ったのでしょうか。
SNSには手間暇かけて可愛くつくり込まれたスタイルが溢れています。けれど、美容室で投稿画像を見せたとして、その場では可愛く仕上がるけれど、翌朝にがっかりするというパターンがほとんど。それが現実なんです。
僕がYouTubeでこだわりたかったのは「リアリティ」です。変身とか、お悩み解決とか、「ここの癖のせいで…」というお客様のリアルで切実な悩みに向き合う企画。
それに、テレビでも整形企画とかママさん変身企画とか、冴えない姿を劇的に変えます! みたいな番組って昔からずっと人気じゃないですか。いつの時代も世間は「変身もの」が好きなんじゃないかと。
――「リアルサロンワーク」の動画においてはシナリオはないのでしょうか?
そうですね…。来店されたお客様のオーダーやお悩みそのものが企画です。だからぶっつけ本番。
来店予約をされているお客様にリマインドのLINEを送る際に「よろしければ動画を撮らせていただけませんか?」と出演依頼をします。でも、出演していただいても施術料金はサービスせず、全額いただいていますよ。
――まさにリアルですね!
自分と同じ悩みを抱えた人を見つけることができて、変身していく過程を見られる動画。これって新しいタイプのヘアカタログになるんじゃないかと思っているんです。
お客様のリアクションは全てカメラが回っているところで拾う
普段のサロンワークシーンをそのまま切り取った「リアルサロンワーク」動画。とはいえ、カメラを前にするとやはり盛っている部分もあるのでは…? という疑念に対し、「何も盛っていないですよ」とすっぱり答える大野さん。では、カメラをセッティングしたあと、どのように撮影しているのか…!?
カットパフォーマンスなしで、カウンセリングシーンを重視
――惹きのある動画にするために、構成で工夫されていることはありますか?
共感と少しの笑い、そして圧倒的な仕上がり。これが軸ですね。
共感を得るために、カウンセリングシーンの尺をあえて長く。逆に、施術シーンは短くしています。美容師の動画って「僕はこう切ります」という技術を説明する系が多いのですが、僕はお客様のお悩みやオーダー、変身後のリアクションの方が大事だと思っているので、技術シーンは思いっきりカットしています。
――確かに、「技術」は素人のお客さんでは関与できない領域ですからね。
お客様からするとカットシーンははっきり言ってどうでも良いことです。可愛く仕上がって、翌朝もスタイリングしやすければ何でも良いんですよ。もちろん水面下では僕めちゃくちゃ頑張ってカットしていますけど、動画で伝えたいのはそこじゃない。
――パフォーマンスにこだわっているわけではないのですね。大野さんが追い求めるのはエンタメ系ではないと?
僕からすると、盛り盛りにするのは逆にちょっとダサいのかなと…。真実を伝えなければ共感も何もありません。真実を伝えれば勝手に伸びていくと思っています。
「その場のテクニックでごまかしていない」「可愛くないスタイルがない。どの動画を見ても絶対に可愛いからすごい!」などのコメントをいただくことも。さすがに15年も美容師をやってきたし、得意なプレースタイルに特化してきたので、自分で言うのもなんですがクオリティの高さは感じられると思います。実力勝負だからこそ、コメント欄も荒らされないのかもしれません(笑)。
真実が伝わる動画をつくるコツ
1. 自分の得意スタイルを活かし、ブレない動画コンセプトにする
2. 現実とのギャップをつくらないために、自身のキャラやパフォーマンスを盛らない
3. カットよりカウンセリングのシーンをメインにして、お客様目線の動画にする
「SNS活用は、美容師としての実力を伴っていることが前提」と考える大野さん。「SNSで盛る」ということを良しとせず、実直にリアルを伝えているようです。圧倒的な仕上がりと、お客様の生のリアクションこそが自身の実力を伝える一番有効な手段なのですね。後編では、再生回数350万回以上(2021年6月現在)を記録した大ヒット動画の誕生秘話と、ユーチューバーとして活動する上での心構えを教えていただきます。
▽後編はこちら▽
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