コロナ禍、ニッチな業種…逆風の中でも選ばれるのには理由がある【アイブロウ&アイラッシュサロンUne fleur/アンフルール代表矢口俊貴さん】#1

いつかは独立したい! 会社をおこしたい! という目標を持つ人も多いはず。そんな人に向けて、サロンオーナーとして成功を掴んだ方の経験談をご紹介する本企画。

今回インタビューしたのは、株式会社KAMILLE代表取締役の矢口俊貴さん。都内を中心にアイブロウ&アイラッシュサロン『Une fleur(アンフルール)』を展開し、2019年の初出店からたった2年間で10店舗まで拡大。今秋には池袋と横浜でも新店舗をオープン予定という快進撃が続いています。

前編では、20代という若さで起業にいたったヒストリーと、共に働くスタッフに対する思いをお聞きします。

お話を伺ったのは…

矢口俊貴さん
専門学校卒業後、フリーランスを経て25歳で株式会社KAMILLEを設立した。都内を中心に、アイブロウ&アイラッシュサロン「Une fleur」を展開。芸能人も多く訪れる同店は、予約の取れない超人気サロンとして話題に。

美容師の仕事は2日でドロップアウト

―お若くして起業されたそうですが、会社設立から現在にいたるまでの経緯を教えてください。

2019年7月、僕が25歳の時に株式会社KAMILLEを設立しました。同じ年の9月にアイブロウ&アイラッシュサロン「Une fleur」1号店を渋谷にオープン。それから順調に店舗数を増やしており、今年11月には池袋と横浜にも新店舗を予定しています。全部で12店舗になりますね。

―起業前から美容業界で働いていたのでしょうか?

うーん、美容師免許は持っています。でも、専門学校卒業後に就職した美容室は2日で辞めちゃって(笑)。業界的に言うと「飛んだ」ってやつですね。だから、美容師やってましたって言っていいのかなといつも悩みます。

―2日ですか(驚)。美容師を辞めた理由をうかがってもいいですか?

学生の頃、卒業後にどうしても就職したい有名サロンがあったんです。「絶対受かる」と思って就職面接へ挑みましたが、最終で落ちてしまいました。その頃、僕も若くて自分に自信があったので、とにかくものすごい挫折感でしたね。その後は、就活自体にヤル気がなくなってしまうほど。そんな状態の僕を学校の先生が心配して、働けるお店を紹介してくれたんですが、特に思い入れもないから結果的にすぐに辞めてしまうことに…。

辞めたことを今では少し後悔しているんですよ。 自分自身が経営に携わるようになって、やっぱり「継続は力」だと痛感する ことが多く、あの時続けていたらどうだったかなと考えることがあります。

各店のコンセプトづくりやインテリアは店長に一任

―会社設立まではどのように過ごしていたのですか?
飲食店などで働いていました。でも、23、24歳の頃、そろそろ自分の将来をちゃんと考えなくてはと思い始めました。また美容室に就職しようかとも思ったんですが、アシスタントからのスタートになりますよね。すると、当時フリーランスとして稼いでいたお金よりも給料が下がってしまうんです。じゃあ、 20代のうちは失敗してもいいから、起業にチャレンジしてみようと決意しました。

―起業に美容業界を選んだのは、やはりこの世界がお好きだったということでしょうか。

そうですね。最初は美容室を経営したいと思ったんですが、自分より年齢が上のスタイリストのマネジメントは難しいと感じました。

一方、アイリストって独立が早いんですよ。20代前半でお店を任されている人も多く、実際に僕の同級生でも、すでに店長として頑張っているアイリストの子が何人もいました。この世界なら僕でもいけるかもしれないとひらめいて、それからすぐに仲間を集めて会社設立の準備を始めました。

信頼関係を築くためには真実を伝えること

―独立してすぐの頃はご苦労もあったかと思います。

波乱万丈でしたね。最初は学生時代の友人を中心に、6人のメンバーで会社を始めました。でも、1ヵ月で2人しか残らなくて。他にもいろいろありました。1号店オープンの2日後、なんと大型台風が首都圏を直撃して多摩川が氾濫。交通機関が麻痺してお客さんが来られるような状況でもないし、手伝いに来られるスタッフも少ないし、こりゃ人生終わったなと思いました(笑)。

―創業メンバーとうまくいかなかったのには何か理由があったんですか?

基本的に人間って、自分にとって都合の良いことしか言わないんですよ。 僕も「稼げるよ」とか「人生上手くいくよ」という言葉を使って仲間を誘いました。でも、当たり前ですが、何だって最初から上手くいくはずはない。けれど、甘い言葉しか聞かされていない側は「良いことばかり言ってたのに嘘じゃん」と不信感を抱くことになりますよね。

今も残ってくれている2人の仲間には、当時の僕の言葉を現実にしてあげることができました。でも、途中で辞めていった4人には「今はまだ成長途中だから、高みを目指して一緒に頑張っていこう」と伝え切れなかった。すべては、 真摯さが足らなかった僕の甘えが原因。 あの頃の未熟な自分を殴りたいです。

―理想しか語っていなかった、ということでしょうか。

はい。完全に自分の理想郷を造ろうとしていました。ひびきの良い言葉ばかり並べて、悪い部分には目をつむっていましたね。でも、そんな 甘えたことしか口に出せない経営者に、人が付いてきてくれるはずはない と今では思います。

今、スタッフの面接時には僕も同席しますが、うちで働くことのマイナス面もきちんと伝えます。どんな仕事にも良い面と悪い面がある。その本当の姿を知ってもらわないと、誰とも信頼関係を築けませんから。

競合の少ないアイブロウ業界で快進撃

清潔感のある可愛い店内。女の子の「なりたい自分」を叶えます。

―この失敗を糧に、それ以降は快進撃が続くわけですね。

実は、当初はまつエクサロンとして出店したんです。しばらくしてアイブロウリストが入社したことで、眉への施術もメインに打ち出せるようになりました。それからは売り上げが急増しましたね。 当時もまつエクサロンはたくさんありましたが、眉へアプローチできる競合は少なかった。それに、まつ毛も眉も両方お手入れできる利便性が功を奏しました。

―自分でメイクをしていても、似合う眉を作るのって難しいなと思います。

そうですね。似合わせに関しては特に意識しています。うちのスタッフは、ほぼ全員が未経験からのスタート。研修担当を置いて、しっかり技術を勉強してもらいます。もし、お客様がなりたい眉毛と骨格に合った眉毛の形が違っても、似合う範囲の中で、できるだけお客様の理想に近づけることを目標にしています。

―オープン半年ほどで、コロナ流行という逆風が吹いたことについては?

マスク生活が長引いて、メイクにおける眉デザインの重要性が増したことは、僕たちにとっては追い風ですよ。最初の緊急事態宣言中の1カ月間だけ予約ゼロになりましたが、それ以降はお客様でいっぱい。 この追い風を利用しない手はないと、立て続けに出店する攻めの姿勢で挑んでいます。 目元の美しさを追求する 現在の女性のニーズにハマっていると感じますね。
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紆余曲折を乗り越えながら、従業員との関係構築を深めた矢口さん。さらに、時代のニーズに合ったサービスを提供することで、アイブロウ業界のトップランナーとなりました。

会社の成長に必要な3つのポイントはこちら。

1. 一緒に働くスタッフは宝。良いことも悪いことも本音で話す

2. 競合の少ないサービス内容に商機あり

3. 時代のニーズを掴んで攻め続ける姿勢が大切

後編では、インスタグラムを活用した求人方法や、スタッフ育成にかける思いなどをお聞きします。矢口さんの目指す理想の職場とは一体どんなものでしょうか?

取材・文:黒木絵美
撮影:石原麻里絵(fort)

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Salon Data

「Une fleur eclat表参道店(アンフルール エクラ)」
住所:東京都渋谷区神宮前4-9-5 オカニワ表参道ビル2F
TEL:03-6434-5386
営業時間:10:00~22:00
定休日:なし

 

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