「本気のSNS活用」で急成長。次世代のリーダーが目指す、女性が輝く職場づくり【アイブロウ&アイラッシュサロンUne fleur/アンフルール代表矢口俊貴さん】#2

いつかは独立したい! 会社をおこしたい! という目標を持つ人も多いはず。そんな人に向けて、サロンオーナーとして成功を掴んだ方の経験談をご紹介する本企画。

前回に引き続き、株式会社KAMILLE代表取締役の矢口さんにお話をうかがいます。フリーランスから一転、起業への挑戦。創業時の仲間を失った苦い過去に「あの頃の自分には誠実さが足りなかった」と矢口さんは悔やみます。けれど、その経験を経て、経営者としての理念が確立していきました。

後編では、SNSを効果的に利用した求人方法と、働きやすい職場づくりへの思いなどを教えていただきました。

お話を伺ったのは…

矢口俊貴さん
専門学校卒業後、フリーランスを経て25歳で株式会社KAMILLEを設立した。都内を中心に、アイブロウ&アイラッシュサロン「Une fleur」を展開。芸能人も多く訪れる同店は、予約の取れない超人気サロンとして話題に。

求人も集客も。インスタグラムを効果的に活用

―求人にはどのようなツールをお使いですか?

弊社の求人のほとんどが、スタッフの友人など紹介によるものです。また、インスタグラム経由での採用も多いのが特徴ですね。 「Une fleur」が順調に店舗を増やせているのは、コンスタントに新規雇用できている点が大きな理由だと思います。

―紹介やインスタを使った求人のメリットは?

勤務前からすでに、現場で働いているスタッフの生の声や、業務に対する理念を共有できていることですね。だから定着率は非常に高いと思います。また、インスタの場合は、各スタッフが日々投稿しているコメントを読んで応募したという声が多いんですよ。やっぱり文章って人柄が出るじゃないですか? スタッフに対する憧れや共感から、私も働きたいと思っていただけるのはとても嬉しいですね。

お客様の6割以上がリピーター。「“Une fleurのスタッフはみんな可愛いよね”との声をよくいただきますが、愛嬌や明るさ・気遣いといった個々のスタッフの人柄がお店を支えてくれています」と矢口さん。

―インスタを上手に活用なさっているなと感じます。

2年前の初出店時、アイラッシュ業界でSNSを活用しているお店がほとんどなかったんです。でも、有名美容室のインスタには1万人以上もフォロワーが付いていました。ヘアスタイルを整えてきれいになりたいと思っている1万人のうち、1/3は同じように眉や目元もきれいにしたいと思っているんじゃないか。そう考えると少なくとも3千人は潜在的ユーザーがいるだろうと当て込み、インスタ活用を始めました。

加えて、僕の友達でモデルやインスタグラマーの子がいて、クチコミなどを発信してくれました。その後も、紹介に次ぐ紹介で、影響力のある方々が多数来店してくださっています。

―各店舗の投稿内容は、矢口さんが指示されているんですか?

基本的な内容はお店任せですが、常にアルゴリズムを確認して、変化があればすぐにお店へ伝えています。フォロワーさんの反応などを見て、アイラッシュとアイブロウにアカウントを分けたり、施術のbefore/after画像を発信したりしています。とにかく、スピード感を持って実行することが大切ですね。

分析ツールなど特別なソフト等は使っていません。僕自身がアクティブユーザーなので、その感覚を頼りにいつもスマホからコツコツと手作業で。今のところ、管理は全部僕一人でやっていますが、それだと見落としている部分もあるかもしれません。SNSに精通した人がいたら、ぜひアドバイスして欲しいですね。

ストレートアイロンやメイク道具など、施術後にヘア&メイクを直すためのアイテムも常備

しなやかに、力強く。自立した女性が輝ける会社でありたい

―人材育成についての理念はありますか?

働く環境を整えてあげれば、自然と良い人材が集まってきて、自然とお店もうまくいくという理念があります。

僕はとにかく、スタッフの「やりたい!」という気持ちを大切にしていて、例えば「〇〇店の店長を目標にしている」という子がいれば、その店舗へ配属します。憧れの人の下で働けばモチベーションも継続するでしょうし、より一層努力してもらえる。また、結婚のため転居が必要だと申し出たスタッフを店長に据えて、その子の転居先に新店舗をオープンしたこともありますよ。

―スタッフの都合に合わせた出店ですか?!

経営者目線では、確実に顧客が増えるだろう魅力的な土地はもちろんあります。でも、僕の都合で無理やり出店しても、スタッフの士気が下がって結局は人が辞めちゃうじゃないですか。だから、やりたいと思える子が現れるまで待ちますよ。今も新宿に出したいんですが、新宿で働いてくれる子がいないので諦めています(笑)。

矢口さんと、表参道店の店長・ユリさん。今年4月に入社後、最速で店長デビューしたという彼女は、一ヵ月先まで予約が取れない超人気スタイリスト。ユリさんを目標にするスタッフも多いそうです。

―他に、経営方針などはありますか?

店舗は基本的に居抜き物件を選んでいます。鍵の引き渡しから2日でオープンしたこともありました。初期費用を抑えて、その分を人件費に回すようにしています。他業界に比べて、美容業界の給料が低いのはおかしいなと思っていて。できるだけ他の部分はおさえて、人的財産へウエイトを掛ける方針です。

―なるほど。現場で働く方をとても大切にされているのを感じます。

うちの従業員はほとんどが女性です。入社の際、精神的にも社会的にも自立した女性になってほしいと彼女たちに伝えています。今は特に、先の見えない時代ですし、きちんと稼いで自分の生活基盤は自分で作れるようになるべきだと思います。だから僕は、彼女たちに頑張れる環境を作ってあげたいし、その頑張りが報われる職場にしたい。

正直、たくましくなりすぎて失敗したなと思う時もありますけど(笑)。うちのアイリストの平均月収は30万円位あるんですよ。同世代の彼氏は収入が彼女たちより低い場合も多いから、「頼りなくて別れちゃった」なんて聞いた時は特に(苦笑)。

僕は今ようやく、自分が誰かに何かを与えられる時期に来たと思っていて。まだまだ理想には程遠いですが、これからもこの考えを持ち続け、実践していくつもりです。

独立を目指すあなたへ

人って良くも悪くも、環境に左右されるんですよね。型にはまってしまうというか、現状に満足してしまうんです。

でも、周囲にスゴイ人がいると、自分も頑張ろうと思えます。最初はもちろんきつい。でも人間は慣れる生き物ですから、この「ちょっとしんどいけど私も頑張ろう」を繰り返していくと、次第に頑張ることが当たり前になります。うちのスタッフ達もみんなそうですよ。最初は無理だと思っていた売り上げ目標も、次第に周囲に感化されて最初の目標を超える金額を稼げるようになっています。

そうやって骨のある環境を作り、そこに身を置くことが大切なんじゃないかなと思います。独立に限らず、自分自身が成長を続けるために、己の限界を決めないことをおすすめします。

取材・文:黒木絵美
撮影:石原麻里絵(fort)

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Salon Data

「Une fleur eclat表参道店(アンフルール エクラ)」
住所:東京都渋谷区神宮前4-9-5 オカニワ表参道ビル2F
TEL:03-6434-5386
営業時間:10:00~22:00
定休日:なし

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