ユニークさとフェミニンを融合させた手書きオリジナルアートで人気店に!「luxury nail」
兵庫県にある「luxury nail」はオーナーネイリストの取井宏恵さんが8年前に作ったネイルアトリエ。すべて手書きのオリジナルネイルアートにこだわり、そのカラフルで遊び心のあるかわいいアートが話題を呼び、海外からも来店があるような人気店へと成長しました。
前編ではどのようにしてアートラインを確立したのかを中心に伺います。独立したてのころに、お客さまがなかなか来ず、来る日も来る日もチップを作り続けるなかで、自分にしかできないアートと向き合ったこと、さらに勇気を持って持ち込みデザインをやめたことがそのポイントだったそうです。意外だったのは、「アートのあり方には常に迷いがある」という取井さんの言葉。その奥底には自分のネイルアートでお客さまに100%満足いただきたいという、プロの意識が感じられました。
今回お話を聞いたのは…
取井宏恵さん
「luxury nail」オーナーネイリスト。
短大を卒業後、大阪の企業に就職するも、ネイリストになる夢を叶えるため、会社勤めをしながらネイルスクールに入学。1年でネイリスト技能検定試験1級まで絶対に取得すると決め猛勉強、猛練習のすえ無事ストレートに検定を取得し、神戸のネイルサロンへ転職。その後、ネイルアトリエ「luxury nail」をオープンさせ、独自の世界観をもったかわいい手書きアートで人気店に。インスタフォロワーは3万人を超え、そのオリジナルアートを求めて海外からも来店がある。
独立したての時間を活用し、オリジナルアートを確立
————「ちょうどいいユニークとちょうどいいフェミニンを」をコンセプトに、すべて手書きのオリジナルアートを提供されていますが、きっかけは?
独立したばかりのころに集客で苦労した時期があって、そのときにチップ作りを繰り返すことで「luxury nail」のアートを確立できたといってもいいかもしれません。最初のころは、本当にお客さまが来なかったので、来る日も来る日もチップ作りをして、インスタにアップしていました。
そのときに自分のデザインときちんと向き合い、オリジナルのアートを作ってみたいと思うようになったんです。『「luxury nail」といえばこれ』と認識されるような、特徴的なアートがあったほうがいいかなと。さらに私が独立した8年ほど前は、ネイルといえばストーンを使ったキラキラしたエレガントなもの、ピンク色などフェミニンなものが多かったのですが、私はあまりそれが好きじゃなくて。私は昔からよくイラストを描いていたので、それをネイルにデザインしてはどうかと考えました。
————それでアートラインが確立され、人気店となっていったわけですね。
でも最初のころは、この方向でいいのか迷いもありました。王道なもの、流行りのものをやっている方がいいんじゃないかとか。持ち込みのデザインももちろんやっていましたしね。その後、今から2、3年ほど前に持ち込みはもうやらないと決めて、ホームページにもそのように書いたあたりから、本格的にアートが確立されていったと思います。
100%お客さまに満足してもらうため、 勇気を持って「持ち込み」は不可に
————どうして持ち込みをやめたんでしょうか?
自分の作るものを楽しんで欲しいというのが、1番大きな理由です。持ち込みのデザインの場合、似たような雰囲気を作ることはできますが、まったく同じようにはどうしてもできないんですね。常備しているカラーやパーツのラインナップも違いますし、デザインする人のタッチで大きく変わってしまうので、100%満足していただくのは無理だなと。せっかくネイルサロンにきたのに、「思ってたのと違う」と感じられると寂しいなと思ったんです。
————本当の意味での顧客満足を考えると、確かに持ち込みはやらないほうがいいかもしれないですね。ネイルデザインはどうやって考えていますか?
自分がかわいいと思った風景から、色合いや雰囲気のインスピレーションを受けることが多いです。たとえば花柄を作るときは、海外のお花屋さんや街の風景をピンタレストで見て、その色合いをネイルのなかにデザインしていきます。
ネイルアートを考えることがすごく好きなので、大げさではなく365日アートのヒントになるものはないかと、元ネタとなる画像探しをしていますね。
本当に喜んでもらうアートデザインを作り出すため、迷いながら進んでいく
————ご自身の道をずっと貫いて、ここまできたという感じですね。
うーん…。アートについては、ずっと迷いながらやっている感じがしますね(笑)。これが絶対いい、これが正解というのは自分のなかにはなく、常に模索しています。もちろん基本の部分、手書きや、カラフルさなどはベースとしてあるのですが、少し子どもっぽいかなとか、今はこういうほうが人気だよなとか、こういう方法もいいのかなとか。少しでも「luxury nail」のアートを楽しんでほしいから、迷いはつきないです。
それと年齢とともに好みって少しずつ変わってくると思うんですよね。それにあわせて、ネイルアートもちょっと変わってきてるところもあります。そんなこともあり、2021年から別のアートラインを始めることにしました。
————どんなアートラインなんでしょうか?
色合いがちょっと落ち着いたものだったり、イラストテイストのものではなく、ニュアンスっぽい、少し大人のアートです。自分自身も年齢を重ねて、モノトーンやカーキなど落ち着いた色合いの服を着ることも増え、それにあうようなアートラインを作れないかと考えました。これがお客さまにもとても好評で。ずっと通っていただいているお客さまも年齢を重ねてきているので、やはり私と同じような思いを抱えている方が多いんだなと感じましたね。
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オリジナルアートを確立し人気店となった3つのポイント
1. 来客が少ないうちにチップ作りにはげみ、自分が生み出したいアートと向き合った
2. 持ち込みアートの施術をやめ、「luxury nail」らしいアートを提供して高い顧客満足を得た
3.コンセプトのこだわりは持ちつつも、喜ばれるアートを模索し続けた
後編では、インスタのフォロワーが3万人を超えるという取井さんにSNS発信のコツを伺いました。雑誌のように洗練された雰囲気や統一感を、何より大切にしているという取井さん。その世界観に魅了され、海外からも多くのお客さまが訪れるそうです。またコロナ禍でネイルが社会の役に立たないのではないかと悩んでいたとき、オンラインショップを通じてネイルシールを販売することにより、もう一度ネイルの可能性を感じられるようになったお話も伺いました。後編もお楽しみに!