美容への思いが捨てきれず、整体師から美容矯正師へ!【Forme Body&Face 福田篤志さん #1】
美容業界で働く上で「独立」という目標を持つ人は多いはず。そんな方へ成功している先輩オーナーの経験談をお届けする本企画。
今回お話を伺ったのは、東京・恵比寿にある美容整体サロン「Forme Body&Face」代表の福田篤志さん。有名美容矯正サロンから独立して6年目、モデルや著名人が通う隠れ家サロンとして人気を集めています。
前編では、福田さんが美容整体にたどり着いた道のりから、開業に至った経緯についてインタビュー。6年目を迎えて感じる、開業後の苦労と大切だと感じることを教えていただきます。
お話を伺ったのは…
Forme Face&Body 代表 福田篤志さん
美容整体師、エステティシャン。有名整体、美容矯正サロン勤務を経て、2016年「Forme Face&Body」をオープン。小顔や骨盤矯正、姿勢改善などの美容矯正をはじめ、カイロや運動療法、メンタルヘルスケアなど、多方面からのアプローチで根本改善による美しさを追求している。
表舞台に立つ人間として美容の大切さを知り、美容の道を志す
――まずは美容の道を目指したきっかけを教えてください。
20代前半はミュージシャンとして事務所に所属し、タレント活動をしていました。もともと整体や鍼灸などは通っていましたが、そのころから表に立つ人間としてエステや整体などの美容の施術を追加するようになったんです。
美容の施術者さんたちに支えられていた経験から、今度は自分が同じように誰かを支えてあげたいと思ったのが、美容の道に入ったきっかけです。
――美容整体を選んだ経緯は?
最初に学んだのはエステでした。実家の近くにエステの学校があり、当時すごく人気のある男性セラピストが卒業生にいたんですよね。それで「男性でもエステティシャンになれるんだ」と思って、男性セラピストへの憧れと通いやすさで入学しました。
でも実際のところ、全国に3000人以上いる生徒の中で男性は3人、卒業しても男性を雇ってくれるサロンはありませんでした。だから、仕方なく家の近くの整体院に入社したんです。それでも「美容に携わりたい」という気持ちはずっとありましたね。
それで整体で学んだ手技をいかした美容の道はないかと調べると、「美容矯正」というものがあるとわかりました。これなら今まで学んできたことを組み合わせて活かせる。そう感じて前職となる美容矯正サロンに入社しました。
だから「選んだ」というよりは、それまで培ってきたものを活かせるものを探した結果が、現在の「美容整体」という仕事だったんですよね。
――美容矯正に出会えたことが大きかったですね。
そうですね。働き始めてから、「自分がしてきたことをやっとアウトプットできた」と感じました。エステや整体の経験があったことで、美容矯正サロンでは早い段階でデビューもできましたし、たくさんの方を施術させてもらいました。メンズエステのなかったところに男性専用エステコースを立ち上げたり、講師を任されたりという経験もできました。
前店舗を引き継ぎ、分社化というかたちで開業
――そこから独立された経緯は?
入社して2年ほどで講師や店長、経理など、サロン経営に携わるところも経験させていただきました。そして「そこまでできるなら一人でやっていける」と院長が太鼓判を押してくださって。それに背中を押されて独立することになりました。
現在のサロンは、元々前に勤めていたサロンの店舗なんです。独立するにあたり店長をしていた前店舗を閉店し、分社化して「Forme Body&Face」をオープンするというかたちをとりました。店舗や電話番号、予約媒体などは引き継げたので、とてもありがたかったです。
――元々、独立したいという気持ちはあったんですか?
独立希望はありましたが、3年でできるとは思っていませんでした。それができたのも、これまでの経験があったことで、早い段階で経営面に携わる位置にいけたからだと思います。
独立するにあたっても、必要な知識を事前に勉強していたおかげで、さほど不安はありませんでした。あるとすれば、自分の健康管理ができるかというところ。それまではスタッフがいたところ僕一人での営業になるので「休めば売り上げはゼロ」という不安はありました。
――サロンは奥様とオープンされたとHPに記載されていますが、どんな役割分担をされていますか?
店舗での施術や運営面は僕、妻はプロデュース面と経理などをしてくれています。HPのコンセプトなども妻が書いてくれたものです。
――奥様が整形で後悔されたという。
はい。整形をする前にできることがある、手術をしなくても今の美しさが限界ではない、というのは僕自身も思っていたことです。
人は自分が気になるところがあると、そこしか見えなくなるんですよね。それをどうにかしたいけど、何からしていいかわからない。そんな方が周りの情報を鵜呑みにして、気軽に美容整形をして上手くいかなかった、ということが増えたと思うんです。
もちろん整形を否定するつもりはありませんが、少なくともリスクのあるものです。メスを入れる前に美容整体ならできることがあるし、気になるところをカバーしつつ長所をのばすということもできる。「ここが嫌」と思うところしか見えない状態から、視野を広げてあげるというのも大切にしているところです。
1人でのサロン運営は「継続」することがたくさん!
――開業後に苦労したことは何ですか?
「継続する」ということです。サロンを経営していく上で、継続しなければならないことはたくさんあります。自身の健康管理、メンタルの維持、集客に対するアプローチ、手技の向上など、さまざまなことを継続するのが、こんなにも大変なのかと感じました。
なかでも1人でやっていると一番大変なのは、手技の向上だと思います。指摘してくれる人、客観的に見てくれる人がいないので、今自分がしていることのクオリティが保てているのか、マンネリ化して落ちているのかということに気づきにくいんです。
でも手技のクオリティは、リピート率などに顕著に出てくるところ。だから、いかに冷静に自分を見られるか、分析していけるかというのは大切だと思います。
――手技向上のためにしていることはありますか?
セミナーなどに行って新しい情報を入れることは、定期的にしています。あとYouTubeの美容系チャンネル「Fann Channel」に出させていただいてから、施術者同士のつながりができたので、情報交換をしたり意見をもらったりするようになりました。
あまり今まで他サロンとのつながりがなかったんですが、つないでくれる人に出会えたおかげで周りの先生とも交流できるようになったんですよね。動画でコラボしたり、技術を見せ合ったりするのは、自分の手技を見つめ直すきっかけになっています。
――開業する上で大切なこと3か条を教えてください。
1、張り切り過ぎない
2、賃貸更新料を担保しておく
3、何をしたいか明確にしておく
開業当初は「自由だ!なんでもできる!」と張り切りやすいし、オープンしてすぐは知り合いなども来店してくれて客足も意外といいんです。でもそれをベースに頑張りすぎてしまうと、2・3カ月目あたりに不安になってくるんですよね。するといろんなことに手を出して、したいことがブレてしまったり…。
だから最初から地に足をつけて、自分のしたいことからブレていないか客観的に自分を見ながら慎重にスタートすると良いと思います。
また、この業界は5年継続できる店舗が2割と言われています。一度目に閉店を考えやすいのが、2年目の賃貸更新のタイミング。まずはそこを乗り越えることを視野に入れておきましょう。
後編では、開業後に取り入れた業績アップの工夫、開業を目指す方へのアドバイスをお聞きします。
取材・文/山本二季
撮影/米玉利朋子(G.P.FLAG)