オンライン×基礎力がキーワード。未来を拓く3ステップ大公開！
南部佳子さんは、20年以上に渡り「ロングネイルのパイオニア」として活躍を続けてきたネイリスト。前編では、そんな南部さんが第一線で注目を浴び続けている理由について伺いました。スタイリッシュなロングネイルやSNSマーケティングなど、新しいものを面白がってトライしてきた姿が印象的だった南部さん。
後編では、これからのネイリストに大切なこと・ものに迫ります。また南部さんが20年以上携わってきたネイルスクール事業にもフォーカス。さまざまな活動を展開している南部さんは器用だと思われることが多いそうですが、実は不器用で何事も真面目＆ストイックになりすぎてしまうとのこと。「がんばりすぎて、アメリカで倒れた」という話も飛び出してきました！
今回お話を伺ったのは…
南部佳子さん
ネイリスト
2003年にサロン＆スクール「Pure Nail」を福岡で開業。基本の大切さを伝えながらも「南部佳子」らしいスタイルを確立し、ロングネイルのパイオニアとして注目を集める。数多くの国際コンテストに出場し入賞した後に、Global Nail Cupなどの国際コンテストの審査員を12年間経験。その後も精力的に活動を続け、国内のみならず韓国・台湾・ブラジル・ロシア・フィンランド・アメリカなど様々な国からセミナーのオファーを受け登壇。2015年に「キャトルフィーユ」に社名を変更しフリーランスとしての活動をスタート。同年「DWmethod」を確立し、独自の南部式セオリーを学んだ講師陣「DWMファシリテーター・インストラクター」を全国で60名育成。
Instagram：＠yoshiko_nanbu
これからの時代、ネイリストにもオンライン能力が必須！
ロングネイルへの垣根を低くするために、より身近な形に近いスタイルをアピール
――――これからのネイリストには、どんなこと・ものが必要でしょうか？
やはりオンラインのスキルが必須だと思います。同世代のネイリストのなかには、あまり前向きではない方もいますが、それはとてももったいないことです。実はコロナの前までは、私もどちらかというと対面のほうが得意なタイプでした。しかし緊急事態宣言が発令されて、3～4ヵ月先まで決まっていたセミナーが全てキャンセルになり「これはマズイな」と危機感を抱きました。そこでパソコンを買ったり、ZOOMのセミナーを受けたり、いろいろとオンラインについて勉強をして、今はオンラインサロンができるまでに上達しました。
――――確かに、現代では必須の能力かもしれません。そのオンラインサロンについて、もう少し具体的に教えてください。
オンライン上に作られた学校のようなイメージですね。そこでは毎週、レッスン動画がアップされ、受講生は課題の作品を提出したり、自由に質問を書き込んだりします。要するに先生である私のもとには、みんなが作ったネイルの写真・動画、制作した感想などがたまっていく状態ですね。そこで、毎週2時間ほどインスタライブを実施して、それに対してのフィードバックを行います。
3ヵ月間のカリキュラムには、シーズン1・シーズン2のようにいくつかのパターンが用意されていて「シーズン1を終えて、シーズン2にも興味が湧いたら続けてくださいね」という3ヵ月1クールみたいなスタイルです。現在、教室には1期生70名、2期生80名の150名が在籍しています。
効率よく、着実に技術が身につく。想像以上の魅力があったオンラインサロン
オンライン授業の撮影風景。みんなで共有できるのがポイントという
――――オンラインサロンには、どのようなメリットがありますか？
1つの質問を全員で共有できることが大きなメリットだと思います。対面式の授業では、たとえ集団形式をとったとしても、教室を周りながら個別にやり取りをすることが多く、どうしても1対1で答える形になってしまいます。しかし、オンライン授業は常に私と生徒全員がコミュニケーションをとっている状態です。「これから○○さんの質問に答えますよ」と言ったときにはその方だけでなく全体に届いているので、私は同じ質問に何度も答える必要がなく効率よく授業を進めることができます。
――――なるほど。かなり効率がよいですね。他には、どんな魅力があるのでしょうか？
レッスン動画が消えることなく保存されていることも大きな魅力ですね。分からなくなったらすぐに見返すことができるので、難しい内容でも着実に身についていきます。正直に言うと始める前は、かなり不安がありました。20年ほど前からスクールを展開していたので講師業に違和感はありませんでしたが、「オンラインサロンは少し怪しいなあ…」と。それでもトライしてみて、今は本当によかったと思っています。サロンのなかには、施術動画を毎日ライブ配信する子が現れるなど前向きな兆しが見えているので、「いいよいいよ！どんどんやってね！」と応援している日々ですね（笑）。
成長に近道はない。何事も、真面目に必死に全力で！
海外セレブの影響もあり、昨今では再びロングネイルが注目される時代へ
――――約20年ほど講師業を続けてきたとのことですが、そのなかで見つけたスクールを成功させるコツはありますか？
確実に成功させる方法はありませんね。しかし、基本を教えることを軸に据えたほうが強いと感じています。業界には常に流行があるので、デザインを教えるスクールはどうしても大きく影響を受けてしまいますが、「アレルギーに対する危険性」や「材料や道具の正しい使い方」などの根本的な知識・スキルには変化がありません。もちろん私のスクールでも、流行のデザインを教えていますが、それ以上に基礎基本に力を入れています。
他には、当たり前ではありますが真面目に全力で取り組むことですね。私は幅広く活動しているので、器用だと思われることが多くありますが、まったくそうではありません。何事も必死に倒れるくらいに取り組んできたので、今があります。ちなみにアメリカのコンペに出場したときには本当に倒れてしまって大変でした（笑）。
――――倒れてしまったのですか？？ では、最後にそのエピソードをお願いします。
メーカーの方から「1位を期待しています」と言われたことがあって、そのときに「なんとしても勝たなければ！」とストイックになりすぎてしまい、気がついたら限界を超えていました。コンペではギリギリ優勝できて、お祝いとしてディズニーワールドに連れて行っていただきましたが、園内を回っている最中に気を失ってしまい…。観光どころではなくなってしまって本当にみんなゴメンなさいと…（笑）。年齢的にも、もうそんな無茶はできませんから、これからは今の自分にできる範囲で力を尽くし、そして周りを応援しながら、がんばっていきたいですね。
これからの時代を生き抜くための3原則
南部佳子さんが大切だと考える、これからの時代を生き抜くための3ポイントをまとめると以下の3つでした。
1.オンラインの能力を身につける
2.安定感を増すために基礎・基本に力を入れる
3.何事も真面目に必死に全力で取り組む
「これからは様々なオリジナル商品も展開してみたい！」と語ってくれた南部さん。取材を通して、技術を追求する職人的な一面と、マーケティングを考えるビジネス的な側面の両軸をともに高めている姿がとても印象的でした。業界に足を踏み入れたばかりの若手の方、これからの動き方に悩んでいるネイリストの方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。
