全都道府県をネイルで制覇! 自身の経験で本の出版も行ったネイリストの生き方に迫る【ネイリスト・山本杏里さん】#2

1年で47都道府県をめぐり、ネイルとインタビューをひとりで行なったネイリストの山本杏里さん。その経験を自ら出版社に持ち込み、「47都道府県出張ネイルプロジェクト」の内容をまとめた本の出版も叶えています。

前編では「人と向き合う」という軸をもって好奇心に導かれるままに進んだ山本さんの行動力と「47都道府県出張ネイルプロジェクト」のきっかけでもある海外でのネイリスト経験についてお聞きしました。

後編では「47都道府県出張ネイルプロジェクト」の詳細や本の出版を叶えるまでのお話しをお聞きします。

今回、お話を伺ったのは…

ネイリスト・「Our Jam」オーナー 山本杏里さん

大学卒業後、ワーキングホリデーの制度を利用し、約1年間カナダに留学。現地のネイルサロンで技術を学び、ネイリストとして勤務する。帰国後はオウンドメディアを運営するベンチャー企業に就職し、副業で出張ネイルを開始。2019年、原宿にネイルサロン「Our Jam」をオープンする。2022年に全国各地をめぐりながらネイルを行う「47都道府県出張ネイルプロジェクト」をスタート。2024年にはその活動をまとめた本を出版する。現在はサロンを麹町に移転し、スタッフとともにサロンワークを行なっている。今後は世界で出張ネイルを行うのが目標。

インスタグラム

47都道府県を巡り、文化をネイルで表現。企画実現を支えたのは「営業力」

一時期は営業職とネイリストの両方をこなしていたという山本さん

――「47都道府県出張ネイルプロジェクト」の具体的なテーマは、どのように選んだのですか?

各地の文化や名物を、ひと目でわかるネイルアートに落とし込みたいと考えました。たとえば青森なら「りんご」、長崎なら「軍艦島」などです。その連想をもとに旅行ガイドなどで情報を収集し、りんご農家さんに連絡してみたり、関係する施設を調べて電話をかけたりしました。

企画から依頼、ネイルまで全部ひとりで行い、1年間で47都道府県を制覇できたときはとてもうれしかったですね。

――1年間おひとりで!? 大変だったのでは?

大変なこともありましたが、過去の営業職でのテレアポ経験が役立ちました。お話しを聞きたいスポットの電話番号を調べて直接電話をしていたのですが、3件に1件はご快諾いただけたんです。

営業の経験から、電話でのアポに抵抗がなかったことと、企画提案のやり方がわかっていたことは大きかったと思います。

――過去の経験が活きたのですね。

そうなんです。また、当時はコロナ禍直後で観光客が激減した時期。依頼先の施設にも時間的な余裕があったのではないでしょうか。ひとつのスポットにつき3時間ほどお時間をいただいたのですが、余裕をもって会っていただけるところも多かったです。

インバウンドが回復している今、同じことをやろうと思ったら、きっと難易度はかなり高いと思います。よいタイミングでしたね。

「余白」を味方に。収支の工夫と行動指針が47都道府県プロジェクトを後押し

山本さんの著書「生き方てさぐり出張ネイリスト、47都道府県で色んな人生を聴く」

――交通費や宿泊費、移動中は仕事ができないなど、金銭や時間的な負担はどのように解決していたのですか?

プロジェクトを進めながらもサロンワークは同時に行なっていたんです。「2月は北陸、3月は東北」といった形で全国を12のエリアに分けて1カ月のうち数日〜1週間を出張ネイル、3週間を通常のサロンワークにあてました。収入を得ながら計画的に回れたと思います。過去にためたホテルのポイントにも助けられましたね。

自分がやりたいと決めてやったことですし、何より楽しくて。あまり負担を感じることはありませんでした。

――「47都道府県ネイルプロジェクト」をまとめた本も出版されたんですよね。

はい。各地で手がけたネイルの写真とその土地で働く人たちのお話しをまとめた本を出版しました。

このプロジェクトはさまざまな価値観に触れることを目的としていたので、その土地の方の話を聞くことを大切にしていたんです。

最初のころは、自分のホームページでインタビュー内容を更新していたのですが、閲覧数もはっきりわからないし、このままでは伝わりきらないと感じて。「どうせなら、しっかりまとめて世に出したい」という思いが強くなり、ダメ元で出版社へ持ち込み営業をしました。

――実際に全国を回ってみて、どんな変化がありましたか。

私が訪ねた方々は、どの人もそれぞれの分野で突き抜けた成果を出している方ばかりでした。話を掘り下げていくと、「すごさ」の方向性が一人ひとり違うんです。そこで気づいたのは、「理想を手に入れる手段はひとつじゃない」ということ。

SNSを見ていると、同世代の活躍と比べて落ち込んでしまうことがあると思うのですが、比べる必要はまったくなくて。自分が「こっちに行きたい」と感じた方向に素直に進めばいい。そう思えるようになりました。

自分のなかでアンテナが立った時点で、すでに可能性はある。あとは、それを叶えるために自分の強みを生かしながら行動できるかだけだ、と気づけたことが大きな変化です。

ひとりの挑戦からチームへ。次は仲間とともに世界を目指す

現在はネイルを通して夢を叶えたい人との出会いを探しているとのこと

――山本さんの行動力、素晴らしいですね!どのような考えをもって動いているのですか?

ひと言でいうと「純度(ピュアさ)」を大切にしています。これまでの経験上、「なんとなく好き」「理由は説明できないけれど惹かれる」という感覚を信じ続けると、最終的にいい方向に進めると感じていて。

ちょっと難しい話になるんですが、キャリアの考え方で「計画的偶発性理論」というものがあります。

――どんな考え方ですか?

よいキャリアは、偶然の出来事を受け入れる余白によって生まれる、というものです。

具体的に私の場合は、1週間のうち1〜2日はなるべく何も予定を入れず、直感的に気になることに時間を使うようにしています。そうしておくことで、急に思いがけないお仕事や依頼があっても対応ができるのもメリットです。

たとえば気になるカフェや街に行ってみる、だけでもいいんです。とにかく余白の時間に、自分のピュアな好奇心に従うことが、最終的にひとつの形になると感じています。

――今後はどんなことにチャレンジしたいですか?

20代で挑戦してみて感じたのは、「ひとりでできることは本当に小さい」ということです。せっかくなら次は海外にも挑戦したい。そうなると私だけの力では限界があるので、今は仲間づくりに力を入れています。ネイルを教える時間を増やして、スタッフの雇用も始めました。

――どのような方に教えているのですか?

47都道府県で生まれた多様なネイルアートのアイデアを生かし、OLさん、ママさん、若い方から上の世代まで、ネイルを通してワクワクを届けたい人に向けてカリキュラムをつくり、現在6人ほどに教えています。そのうち2人が「Our Jam」の一員となり、ネイリストデビューを果たしました。

将来的には、チームで海外にもチャレンジできたらと考えています。ただ、今すぐではなく、ここから2~3年は仲間づくりと育成に集中する「エネルギーをためる時期」。今は「育てる」がテーマの期間なので、もしネイルを通して何かやりたい方がいたら、初心者経験者問わず、ぜひ声を掛けてほしいですね。


夢を叶えるために日々の生活に余白を残し、自らの好奇心に従って行動する山本さん。大きなプロジェクト成功の裏には着実に積み上げた経験と、「人と向き合う」というぶれない軸があることを知りました。海外をめぐる日も楽しみにしています。


Check it

Our Jam
住所:東京都千代田区麹町3-12-6 麹町グリーンビル1階(アンリュミエール店内)

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事

近くのネイリスト求人をリジョブで探す

株式会社リジョブでは、美容・リラクゼーション・治療業界に特化した「リジョブ」も運営しております。
転職をご検討中の場合は、以下の地域からぜひ求人をお探しください。

関東
関西
東海
北海道
東北
甲信越・北陸
中国・四国
九州・沖縄