必要なことをシンプルに。リピーターを生む「BULLET EBISU Nail&Jewelry」片平晃子さんのデザイン&接客術
「BULLET EBISU Nail&Jewelry」は、「ジュエリーとの調和×大人可愛い」というコンセプトを掲げる恵比寿のネイルサロン。前編では、そんな「BULLET EBISU Nail&Jewelry」が他店との差別化に成功し、人気を集めている理由について伺いました。
後編では、デザインのこだわりや再来を生む接客術にフォーカス。ネイリストの片平さんは、最近「余裕を感じて安心できる」という言葉を、お客さまからいただいたとのこと。その時、サロンのあり方について改めて考えたそうです。リピート率の向上に悩んでいる方の役に立つ情報が満載です!
今回お話を伺ったのは…
片平晃子さん
ネイリスト
美容学校でネイルの授業を受けたことをきっかけにネイリストに興味を抱く。美容師、ジュエリーショップ販売員を経て2013年にネイリストに。都内のネイルサロンで腕を磨いた後、2019年フリーランスに転身。2021年4月、共同経営者との出会いをきっかけに「BULLET EBISU Nail&Jewelry」を恵比寿にオープン。
Instagram:@bullet_nail_jewelry
控えめにさり気なく、でも心が大きくときめくシンプルスタイル
――「リピーターが増えて、土日に予約が取りにくい状態ができあがった」とのお話がありました。再来を生むためのポイントがあれば教えてください。
いくつか強みになっているポイントがあり、まずは「シンプルが売り」というデザイン面が挙げられます。シンプルなデザインの最大の魅力は、飽きがこないことです。私自身、10代の後半から20代の中盤あたりまで、自分にマッチするスタイルを模索し続けていた時期があり、ロック調やニュアンス系などさまざまなデザインを試してきました。しかし一定期間をすぎるとどうしても飽きがきてしまい、通うサロンを変えてしまう…。
おそらくネイル好きのなかには同じ経験をしている方が多いことでしょう。試行錯誤を繰り返していたところ、20代半ばをすぎた頃、「ジュエリーでも洋服でもシンプルなモノはずっと好きだな」ということに、ふと気が付きました。それ以来、無駄に主張が激しいモノを削いでいったところ、ネイルもシンプルなデザインになりました。
――なるほど。シンプルなデザインはずっと楽しめるということですね。
そうですね。短期的に見ても、そのデザインをしているだいたい1ヵ月間、「きれい&可愛い」というワクワク感がずっと続き、「次はどんなデザインにしようかな」と心を弾ませながらご来店してくださっている方が多いと感じています。また、ジュエリーとのマッチングが高いこともシンプルなデザインが持つ魅力のひとつです。
私は、美しい手元のコーディネートを作るためには、ネイルとジュエリーがお互いの輝きを引き出し合うことが大切だと考えています。そのためには、ネイルが主張しすぎてはいけません。「控えめにさり気なく、でも心が大きくときめくスタイル」を日々目指しています。
「必要なこと」を勧める接客が、お客さまの心を掴む
――シンプルなデザインの他に、リピートを生んでいるポイントがあれば教えてください。
ヒアリング時にキャッチしたご要望通りに進めるのではなく、お客さまにとって「必要なこと」をご提供する施術スタイルも再来を生んでいる理由かもしれません。たとえば最近、爪に大きなダメージを負っているにもかかわらず、「ジェルネイルをしたい」というオーダーをいただいたことがありました。この場合は、無理にデザインを施すのではなく、回復をするまでケアに専念することが最善です。
そこで日頃の施術では、たとえデザイン込みメニューのほうが売上面ではプラスであったとしても、ケアのみにとどめています。それが長い目で見た時に、お客さまの美しさをもっとも引き出すことができる方法だからです。ちなみに最近、この施術スタイルについてお客さまから興味深い言葉をいただきました。
――それは、どんな言葉でしょうか?
「余裕を感じて安心できる」という言葉をいただきました。その方は過剰な提案や積極的すぎるサービスを受けると、切羽詰まっているサロンの背景を感じてしまうそうです。ようするに「数字に追われている不人気店」という印象を、お客さまに与えてしまっています。
逆に「必要なこと」を勧めてくれると、充実しているサロンの現状を感じるため安心するそうです。そこまで考えていなかったので、「なるほど。勉強になるな」と思いました(笑)。
お客さまは自分の鏡。「対人間」を大切に、常に真摯にひたむきに
――確かに余裕を感じて安心できますね。その他に、接客面で意識していることがあれば教えてください。
日頃から「お客さまは自分の鏡である」ということを心にとめて接客をしています。お客さまとの波長がいまひとつ噛み合わない時には、私に何かしらの原因がありますし、お客さまが優しかったり、素敵な雰囲気だったりしている状態は、私の考え方や振る舞いが合格ラインを超えている。「ネイリストとお客さま」という立場ではありますが、最終的にはやはり“対人間”だと思います。これからも変わらず、お客さまと真摯に向き合っていきたいですね。
…………………………………………………………………………………………………
再来を生む3POINT
「BULLET EBISU Nail&Jewelry」の再来を生む3POINTをまとめると以下の3つでした。
1.飽きのこないシンプルなデザインを売りにする
2.施術では、お客さまにとって“必要なこと”をご提供する
3.「お客さまは自分の鏡」という気持ちで真摯に接客をする
片平さんは、普段からお客さまと素直に話すことを心掛けているそうです。最近では「お友だちを紹介してくださいね」と伝えたところ、「予約が取りづらくなるから嫌です」と素直に返されたとのこと(笑)。リピート率の向上で悩んでいる美容業界の方、サロン経営に興味があるネイリストの方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。