信頼度と売上は比例する!「積式カウンセリング」でどんなサロンでも平均より3倍の売上が可能に 美容師・積大輔さん
有名店でキャリアを積み、スタイリストになって2店舗目に入ったサロンでは、2週間でトップスタイリスト、2年間の在籍中、社内ランキング1位をキープし続けたという美容師の積大輔さん。カット・カラーが4500円という低単価のお店で、積さんの客単価平均は15000円だったといいます。
前編ではなぜそのようなことが実現できたのかをお聞きしました。返ってきたのは、「期待値以上の感動を与えられる施術や接客」だと積さん。それを可能にしたのが、徹底した顧客目線でのヒアリングと、丁寧な説明がベースとなっている「積式カウンセリング」でした。このカウンセリングによって、お客さまの悩み解決ができるだけでなく、信頼関係を築くことができ、結果として売上アップにつながっているそうです。
今回お話を伺ったのは…
積 大輔さん
有名店に入社し、キャリアを積む。アシスタント時代に、徹底した顧客目線での接客、カウンセリングをベースとした「積式カウンセリング」を確立し、次の店舗では社内成績ランキング1位をキープ。2021年に独立し、表参道・青山に「GIFT」を構える。さらに現在はヒト幹細胞を使ったエステ「RIN FACE」を6店舗経営するなど、経営者としての才能も開花させている。
2週間でトップスタイリスト昇格、2年間社内ランキング1位を実現した「積式カウンセリング」
――スタイリストになって2店舗目のサロンでは、2週間でトップスタイリストになったと伺いました。なぜそのようなことが実現できたのでしょうか。
お客さまの期待値以上の施術や接客で、感動を与えたいと思いやってきた結果なのかなと思っています。それを可能にしているのが、アシスタント時代に長く勤めたサロンで築いた「積式カウンセリング」です。「積式カウンセリング」は簡単に言うと、お客さまと信頼関係を築きながら、お悩み解決をする5か条。このカウンセリングを行うことでお悩み解決ができるのはもちろん、期待値以上の満足度になり、お客さまは感動してくれます。結果として売上アップにつながります。
このとき僕が働いていたサロンはカット・カラーで4500円という低単価のお店だったのですが、安いクーポンで予約したお客さまにも丁寧にカウンセリングをすることで1万5千円近い売上が可能になっていました。また、ほかのスタイリストは売上をキープするために5、6人とアシスタントをつけて7人同時施術するという感じでやっているなか、僕はアシスタントはひとり、同時に施術をするのは2人までという営業スタイルでしたが、退社するまでの2年間ずっと社内成績ランキング1位をキープできたんです。
――すごいですね!「積式カウンセリング」とは具体的にはどういうものなのでしょうか?
悩みを聞く、現状説明、技術説明、お手入れ説明、商品説明の5つのステップになっています。たとえば色が抜けやすいという悩みをお持ちのお客さまがいらっしゃったときに、「色が抜けるんだったらこのシャンプーを使うといいですよ」というのが、美容院のよくある提案の方法ですよね。そうするとお客さまは、物を売りつけられるように感じてしまうし、買いたいとは思えないはずです。
まずはとことん悩みを聞きます。そのあとに、現状説明。なぜその悩みが起きているのか、美容師の知識を使って説明するんです。「髪の色が抜けやすい状態というのは髪の毛のキューティクルがはがれたことによって、タンパク質が抜けてしまっていて、髪のなかがスカスカな状態です」と。解説することで、お客さまは現状を理解できるはずです。その次に、技術説明をします。
提案や店販は信頼を得るために行うもの。数字のためではない
――技術説明とは、どのようなことでしょうか?
現状に対して、サロンで悩みを改善できる技術を説明します。たとえば「髪のなかがスカスカの状態なので、今日のトリートメントでは表面のコーティングではなく、内部補修ができるトリートメントが必要になります」とお伝えするんです。お客さまも悩み解決に効果があればやってみたいという方も多いので、別のメニューで予約していたとしても、メニューアップしてくれる場合が多いです。
お手入れ説明では、お悩みに対して普段自宅でどのようなケアをされているかをヒアリングします。ここではお客さまの普段のケアを否定しないようにしつつ、悩みに対して効果がどれくらいあるのかを説明します。ここまできて初めてお客さまは、悩みを解決できるものがあるなら欲しいと思うはずなので、うちではこういうものを用意していますと商品の説明をするんです。
どのステップでもお客さま目線にたった話し方をするように工夫しているので、気になる方はぜひ僕のセミナーを受けにきてほしいのですが(笑)、全体の流れはこのような形です。
――提案したメニューや商品がささらないときも当然あるかと思いますが、そのときはどうするんですか?
「わかりました」で、おしまいですね。単価の安いお店だったので、そんなに高いものは買えないという方ももちろんいました。でも買ってもらうことが目的ではなく、信頼を積み上げることが目的なので、それでいいんです。店販はあくまできっかけにすぎません。
もしご購入いただかなかったとしても、ほかのサロンではこんなに説明してもらったことはなかったと感動してくれる方も多く、信頼を築く第一歩になります。それにもし色が抜けてしまったとしても、あ、積さんが言った通りになってるとお客さまは思いますよね。そこで納得していずれ返ってきてくれる方もいます。
とにかくきちんと説明することと、お客さまに選んでもらうことが大切です。これができればお店の客単価が安いとか高いとか、オリジナルのカットができるとかできないとか、フォロワーの人数など一切関係なく、だれでも売上アップが可能です。
見せたいイメージやファッションまで落とし込んだ似合わせ理論で、満足度アップ
――技術面で強みとされていることはありますでしょうか?
お客さまの顔型骨格だけでなく、ファッション、どう見られたいか、身長などトータルの要素を含めて提案する似合わせ術です。最初に働いていたサロンが小顔に特化したお店だったので、ベースの知識はありました。僕の場合はそこにプラスして、まずどういう印象に見られたいかをカウンセリングします。このときに普段のファッションについてもヒアリングするんです。たとえば服がかわいらしい服なのに、髪型がかっこいいイメージだとアンバランスになるので、この情報がとても大切だと思っています。ほかではあまりやっていないので、これもお客さまの満足度をあげている大きな要素なのかなと。
――お客さまの希望しているスタイルだと、見せたい印象に近づかないというときもあるかと思います。そんなときはどのように伝えるんですか?
たまにありますよね(笑)。たとえば丸顔が気になるからシャープに見せたい、でも、ボブの内巻きで前髪を作りたいというお客さまがいたとして、その髪型だと絶対に丸く見えてしまうんですよね。そういうときは、やはりちゃんと説明します。
「先ほど丸く見えるのが気になっていると仰ってましたけど、ご希望の髪型だとどうしても横の印象が強くなって、丸く見えやすい髪型になってしまうと思います。もしそれでもこの髪型にしたいということであれば、前髪に隙間のあるシースルーのような感じで作ると、おでこの肌色が縦に見えるので、ちょっとシャープな印象になりますよ」とか。提案もひとつではなくて、何個か選択肢を用意します。自分で理解し、納得して、選ぶことができればお客さまの満足度はかわると思いますね。
どんなお店でも高い売上をあげられる3つのポイント
積さんがどんなお店でも高い売上をあげられるようになったポイントを伺うと、以下の3つでした。
1.お客さまの悩みや要望に対して細かく状況を説明し、理解してもらう
2.悩み解決ができる技術や商品を押し売りせず、選択肢を複数用意することで選んでもらう
3.ファッション、なりたいイメージを絡めた似合わせ術を確立
後編では、積式カウンセリングのベースになったというアシスタント時代に迫ります。ホスピタリティに徹底的にこだわったお店で、お客さまが口にしていないことにも敏感に反応できるようになったという積さん。また厳しい下積み時代のなかで、周りから認められるためにはどうしたらいいかを常に考えていた結果、お客さまからのシャンプー指名を多く獲得してきたといいます。さらに、先輩スタイリストのお客さまにヒアリングをすることで、先輩の信頼も勝ち取ったそうです。後編もお楽しみに!
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