元・バクステ外神田一丁目 アイドルから転身して成功!「銀座ACE」鈴木葵さんアイリストへの道
いまや美容室やネイルサロンと同じように、多くの人が通うアイブロウサロン。コロナ禍でマスク生活が続き目元の美容に注目が集まっていることもあってか、ここ数年でメンズ専用の眉毛サロンも増えてきています。
そこで今回お話をうかがったのは、銀座で1席のみのプライベートサロン「銀座ACE」を経営する鈴木葵さん。前編では、元アイドルとして活躍していた鈴木さんが、どのような経緯でメンズ専用の眉毛サロンを経営するようになったのかをお聞きしました。現在では毎月リピーター100名以上も訪れるという、その成功の秘訣に迫ります。
今回お話を伺ったのは…
鈴木葵さん
日本美容専門学校卒業後、2013〜2017年には女性アイドルグループ「バクステ外神田一丁目」のメンバーとして活躍。その後は再び美容業界で活躍し、テーマパークでのヘアメイクアップアーティスト、銀座のメンズ専門眉毛サロン勤務を経て独立。2020年6月に一席のみのプライベートのメンズ専門眉毛サロン「銀座ACE」をオープンさせた。
Instagram:@ginza_ace
大好きだったアイドルよりも楽しい仕事を探して美容業界へ!
――アイドルグループを卒業後、アイリストに転身された鈴木さんですが、もともと美容師免許はお持ちだったんですか?
そうなんです。アイドルグループに入る前は美容学校に通っていました。だけど在学中に美容師の世界は厳しいという現実を知って……。美容師になることを迷いはじめたときに「バクステ外神田一丁目」のオーディションを見つけたんです。もともとアイドルに憧れていたこともあり、美容学校卒業後すぐオーディションに応募して、アイドル活動をはじめることになりました。
アイドル時代は大変なことももちろんたくさんありましたが、CDを出したり、ファンになってくれる方も増えたり、毎日が本当に楽しかったです。
――どのような経緯でキャリアチェンジされたのですか?
グループを卒業するときに「今よりも楽しいことじゃないときっと続かない」という思いがあったので、まずは美容師免許を生かして、千葉県浦安市にある人気テーマパークのフォトスタジオで1年間働きました。ヘアメイクで子どもをプリンセスに変身させるお仕事です。そのお仕事も楽しかったのですが「手に職を付けたいな」という気持ちが大きくなっていって。そのとき出会ったのがメンズ専門の眉毛サロンだったんです。
メンズ専門の眉毛サロンを選んだのは、時代の先を読んでいたから!?
――今でこそ身だしなみとして眉毛サロンに通う男性が増えてきましたが、その当時は珍しかったのではないでしょうか?
私自身、お仕事が成功する秘訣は「すきま産業」を探すことだと思っています。「まだあまり流行っていなくて、今後伸びていきそうなものって何だろう?」と考えたとき、行き着いたのがメンズ専門の眉毛サロンだったんです。
いきなりお店を作ったわけではなく、まずは銀座にあるメンズ専門の眉毛サロンで経験を積みました。人によって合う合わないはあると思いますが、私の場合は人と話すことが好きだし、持っていた資格も生かせるし、これこそ天職だと思ったんです。
なかなか続けていくことが難しい業界ではありますが、気づけば自分の立場もどんどん上がって店長になっていました。少しずつ施術方法などに対しても考え方が深まっていくうちに、会社との方向性の違いを感じて「ゆくゆくは独立したいな」という気持ちが芽生えてきたんです。
ブランディングや価格ではなく「真心」がリピーターの多い理由
――「銀座ACE」をオープンされて約2年。現在では毎月100名以上のリピーターが訪れているそうですね。
もちろん、オープンしてすぐに今のような状況になったわけではありません。独立してから1年くらいは、集客のために試行錯誤しました。例えば、クーポンサイトを利用して金額をぐっと下げて集客を図ったときには、確かにお客さまは増えたんですけど、予約の枠が埋まってしまい、既存のお客さんが予約できなくなってしまって……。
これだとお客さまに2回、3回と連続して来てもらえないから、お店の魅力を十分に伝えることができないんです。そのときに、ただ価格を下げてたくさんのお客さんに来てもらえればいいわけではないと改めて実感しました。
――では価格以外の要素で他店との差別化を図ろうとしたんですね。
そうなんです。「プライベートサロンだからこそできることをしよう」「徹底した極上のサービスを提供しよう」と心に決めました。そこで、まずはカウンセリングや施術を徹底的に見直すことにしたんです。お客さまとお話した小さなことでもカルテに細かく残すようにして、サービスの質を高めるために何ができるのかを考えました。
実際にカルテを読み返すと、自分に足りなかった部分がたくさん見えてきたんです。アイドル時代からファンの皆さんと関係を築いてきた経験もあって、私は自分の力を過信していたのだと思います。そのあたりからリピーターのお客さまが増えてきたのを実感しはじめました。
ブランディングなどで差別化を図るのも重要ですが、やはり「お客さま一人ひとりと誠心誠意向き合う」ことが、美容業界においても、アイドル活動においても、最も大切なことなのだと実感したんです。
異業種へのキャリアチェンジを成功させた3つのポイント
鈴木葵さんのキャリアチェンジが上手くいったのは、以下の3つの要素が鍵だったようです。
1.今の仕事より、もっと楽しい仕事があるはず。それを探すのが第一歩
2.これから伸びていきそうな「すきま産業」について考えてみる
3.どんなお仕事も、お客さま一人ひとりと誠心誠意向き合うことが大切
後編ではプライベートサロンを運営する上で、鈴木さんが意識しているポイントや集客のコツを伺います。1対1だからこその極上のサービスの秘訣や男性客ならではの集客方法とは? 後編もお楽しみに!
プロフィール写真撮影:内田悠介