【SNS活用術】「フォローしにくい」を払拭するべく、ビフォーアフターなしで「知識」勝負 【MEDEL Asamiさん】#1
バストケアを得意とするプライベートエステサロン「MEDEL」。オーナーのAsamiさんは「バストアップは全身からケアしていくことが必要」という考えのもと、包括的な施術を行っています。Instagramのフォロワー数は2.2万人(2021年11月現在)で、施術のビフォーアフター投稿に頼らず、「本当にためになる」美容知識を発信することで女性たちの支持を得てきたようです。
前編では、知識力にこだわるようになった経緯、ビフォーアフター投稿をやめた理由、全身にまつわる美容情報を発信することのメリットについてお聞きします。
教えてくれたのは…
MEDEL オーナー Asamiさん
バストケア専門店で事務職を経て、技術職に転身。その後独立し、約4年前にプライベートエステサロン「MEDEL」をオープン。バストケアに特化していながら、全身との関連性を説き、姿勢改善などの全身メニューにも力を入れている。Instagramのフォロワー数は約2.2万人(2021年11月現在)で、バストケアだけでなく、ジャンルを問わず幅広い美容情報を発信している。
Instagram:@medel_ikunyu
バストケアの真実を伝える
――MEDELはどのような施術を行っているのですか?
バストケアに特化しているのですが、バストを含めて全身を整えていく施術スタイルを取っています。
バストケアではバストを大きくするだけでなく、形をきれいにしたり、下がりバストを持ち上げたりします。一緒に体の歪みや姿勢をきれいに整えていくので、締まるところはしっかり締まり、ふっくらさせるところはふっくらさせ…と女性らしい体つきに導きます。
――いつ頃からInstagramを活用されていたのですか?
実は以前は、バストケア専門サロンで事務職をしていたんです。広告なども担当していて、SNSでバストケアサロンがすごく反響があり、Instagramからでも結構来店するということを知っていたので、独立してMEDELをオープンした当初からInstagramを本格的に運用していました。それが4年ほど前ですね。
集客はクーポンサイトを主軸にし、Instagramではサロンの雰囲気やコンセプト、施術スタイルなどを発信していました。
――SNSを本格運用するにあたり、どのような投稿スタイルを考えていたのでしょうか。
「バストアップサプリは飲まなくても良いですよ」とか、バストケアサロンなのにそれ言っちゃう⁉︎というような内容だったり、美容知識をくわしく伝えていこうと思ったんです。
話は遡るのですが、前のサロンを辞めて独立したきっかけが、バストケアサロンとしての施術内容に疑問を感じたからなんです。バストケアって女性にとってすごくセンシティブでデリケートな部分なので、それなりに知識が必要じゃないですか。けれど、知識や技術力が足りていない状態で施術に入ることも多くて…。お客様の疑問にはきちんと答え、自分自身が自信を持って施術できるようになりたいと思い、色々勉強をはじめたところ、間違って出回っている知識が多いことに気づいたんです。
その頃は「バストアップに効く」と謳ったクリームやサプリが多く出回っていましたが、実際には効果を感じなかったというお客様がほとんど。それどころか、バストケアサロンに通ったのに効果が出なかった人もいました。
「バストケア」が商売をやっている側の都合でしか考えられていない気がして、もっとお客様に本当のことを伝えたいと思ったんです。「鶏肉を食べたら大きくなる」ではなく、「こういう努力をした方が効果的ですよ」と、自分が正しいと思ったことを伝えたかったんです。バストの写真を載せないことで、バストケアサロンのネックを払拭
――Asamiさんは施術のビフォーアフターを載せていないこともユニークですよね。
「本当はAsamiさんのInstagramをフォローしたいけど、バストケアサロンをフォローしているのが周りにバレると恥ずかしい。でもいつも見てます」いうお声を結構いただいたんです。
――今では、知識ネタの投稿オンリーですね。
あと、広告や宣伝も出していません。今の時代、広告はノイズというか「買ってください」「来てください」というのは煩わしく思われるのかなと。サロンでも、私の方から次回予約をお願いしたことがないんです。お値段やキャンペーン、物販など、営業的なことは全くしておらず、「施術が良かったらまた次も来てくれるよね」というスタンスでいます。何なら「必要だったら他の整体サロンに行ってくださっても全然良いですからね」と言うこともあります。だって、お試し価格で行って、せっかく施術が良かったのに営業がしつこかったら嫌な気持ちになりますよね。だから、私は実力で頑張ろうと思って。そういう意味もあって知識ネタに力を入れるようにしているんです。
そういうスタンスでやっていたら、逆に通ってくれる方が増えました。
全身ケアの重要性を伝えたことで、健康目的で通えるバストケアサロンに
――バストケアサロンといえど、全身のケアも大切にしているとのこと。Instagramでもバストに留まらず、全身に関する知識が豊富ですね。
バストケアサロンだということに気づかないお客様も中にはいますね(笑)。
あまりバストケアに興味がないと言ったら語弊があるかもしれませんが、バストケアは蓋を開けるとめちゃくちゃ奥が深く、勉強していくうちに「バストだけではダメなんだ」と気づいたんです。
バストケアだけではなくて、みんなもっと自分自身の体に興味を持ってケアしてほしいなと思っているんです。私が前職でストレスが原因で体を壊した経験があるので、よりいっそう強く感じるようになりました。
――バストケアといってもバストのことだけ伝えれば良いのではないのですね。
そうなんです。バスト以外にも食事や生活習慣、精神的なことまで包括的に伝えるようにしています。おそらく、「バストケアサロンなのに何でバストに関係ないことをいっぱい喋っているんだろう」と思う人はたくさんいると思います(笑)。けれど、関係ないことを投稿しているようで、実はしっかり関係しているんです。
お客様も「バストケアって全身と繋がっているんですね」と理解してくださる方が増えましたし、バストのお悩みで通いはじめたけれど、健康管理を目的に通ってくださる方もいます。
――全身ケアとしても通えるサロン。お客様にとってもカジュアル使いできるようになりますね。
昔の方がバストのお悩みがヘビーで、バストアップのマッサージは「豊胸手術」に次ぐ位置づけだったため、単価10万円なんてこともザラでした。
けれど、今はバストケアのジャンルが確立され、認知度も高まったので、お客様にとって「バストケアサロン」へのハードルが下がったように感じます。バストのお悩みについても深刻度合いが和らぎ、全身ケアの延長としてバストもケアする、というラフな感じに変わってきているので、私的にはバストだけに固執する必要はあまりないのかなと思っています。
バストケアサロンがビフォーアフター投稿を載せないメリット
1. 周囲にバレにくいため、フォローしやすい
2. 電車など人目のある場所でも開きやすいため、閲覧数アップ
3. 施術スタイルが限定されず、来店目的の幅が広がる
「バストの写真を載せることがかえってマイナスになる」「広告や営業はノイズ」という考えのもと、「知識」の投稿は代わりにサロンの強みをアピールする術となっているようです。後編では、Asamiさんが美容情報を発信する上で意識していること、サロンワーク上のプラス効果についてお聞きします
取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/柴田大地(fort)
イラスト/なとみ みわ