「調和の心」を教え、100人を超えるヨガインストラクターを輩出!ヨガ講師育成家・水島知乃歩さん
これまで延べ14万人の受講者にヨガを指導してきた、水島知乃歩さん。前編では、1人ひとりに寄り添うヨガを実践し、リピーターを増やしてきた3つの極意を伺いました。初心者でも入りやすいようカウンセリングを行ったり、より生徒さんを理解するために10年間学んだ深層心理学の「傾聴」を応用するほか、イベントの集客ではSNSでの告知だけでなく、直前に個々に連絡することで空きが出にくくなるそうです。
後編では水島さんがヨガ講師育成家として100人以上の講師を輩出できている理由について掘り下げていきます。講師育成講座では、ヨガの動きだけでなく、哲学や心理学をベースにした「調和の心」を教えたり、個々の強みを活かすワークを行い、ヨガ講師としてだけでなく、日常を楽しく生きる方法についても教えているといいます。
今回お話を聞いたのは…
水島知乃歩(しのぶ)さん
ヨガインストラクター・ヨガ講師育成家。2006年よりカルチャースクールなどでヨガインストラクターの活動を開始。10年間深層心理心理学を学んだことや、自身の経験を基にした「調和の心」をモットーに、2014年に北九州市に「ヨガスタジオココカラ」を構え、市内を中心に活動を展開。16年間で延べ14万人にヨガを指導し、活躍している教え子は100人を超える。
ヨガの哲学や心理学を教え、内面が整うことで人との調和ができる講師を育成する
――なぜ100人以上ものインストラクターの方を育成できたと思いますか?
ヨガの動き以外にも心理学やヨガの哲学をしっかり教えることで、内面が整った先生になれるよう指導していることがよかったのかなと思います。最初はインストラクターを養成してほしいと頼まれて無料で始めたのですが、無料だと相手の人が本気にならないっていうことに気づいて。改善を重ねて、今はちゃんと代金をいただいて講師育成コースを開催しています。
私が大事にしているのはヨガの経典「ヨーガスートラ」にも書かれている「調和の心」です。ヨガの語源は「繋がる」とか「結ぶ」ということで、どう解釈するかはそれぞれ違うとは思いますが、私は人や自然や物や環境と繋がる、などの「調和の心」を養うということを目指しています。見た目ももちろんきれいな先生がいいとは思うのですが、内面も大事だと考えています。
――内面が整っていると、どんなメリットがあるんでしょうか?
人とも仲よくできて、相手の気持ちがわかる先生になれますし、自分の我を通すのではなく、相手が何を望んでいるのかを気付けるようになります。そのような先生になれればおのずと人気が出てくると思うんです。自分がしたいレッスンをするのではなく、相手が望んでいることを汲み取るというのは、内面が整っていないとなかなかできません。自身が充実していて満たされた状態を維持できるように指導しています。
みんなで話し合いをしながらワークで強みを発掘し、講師としてだけでなく日常をより楽しく生きる方法も教える
――内面を整える以外に、どんなことを教えているのでしょうか?
うちの養成講座では、本人の強みや才能もきちんと見つけてあげつつ、講座のなかで調和する力を育てています。リーダーシップを取れる人、人の内面に寄り添う力が強い人、外見が美しい人など、人それぞれ強みもいろいろです。そういう強みは伸ばしつつ、きちんと人との調和ができる人を育てています。
――講師である水島さんが見つけた強みを直接伝えているのでしょうか?
養成講座のなかで、みんなで話し合いながら強みを見つけるというワークがあるんですよ。たとえば「ジョハリの窓」という心理学のワークですが、自分から見た自分の印象と、人から見た印象は違うので、その相違を考えたりお互いに手紙を書いたりして、みんなで一緒に自分を発掘するというイメージです。
私たちの講師育成講座は、ただヨガの講師として活躍することを目指すだけではなく、どうしたらもっと楽しく生きていけるかというのが考えられるようになるので、内面が変わることで日常生活が充実してくるのが特徴です。講師という括りだけではなく、人として充実した人生が送れるようになるのというのが受け入れられている理由の1つかなと思います。
ストレスが軽くなり視野が広がる。ヨガを習って気づいた内面的な効果
――ヨガをすることが内面にも効果的だというのは誰かに教わったのでしょうか?
誰かに教わったわけではなく、ヨガを習っているうちに、自分で実感していきました。ヨガを習い始めたのは、以前の職場の人間関係で悩んだことがきっかけでした。何かストレスが発散できる習い事をしたくて。ヨガ講師になった16年前頃はちょうどインストラクターが足りていない時代でした。習っていた講師から「ヨガの先生になりませんか?」とお話をいただいたのがきっかけだったので、自分から講師を目指したというより成り行きでしたね。
ヨガをやってみるとストレスが軽くなり、心にも影響があるということは感じていました。筋力がついたり、体の動かせる範囲が広くなったりすることで、だんだん見える世界が変わってくるというか、視野が広がっていきました。精神的なことを教わるというより、フィットネス重視のヨガだったのですが、ヨガの動きをするだけでもそういった内面的な効果があるということに自分で気づいたという感じですね。
――これまでとても順調に歩まれていると思いますが、今後の目標はありますか?
これまで通り「調和の心」を目指すということ。それから、自分ができないことを仕事を通じて取得したいという向上心を持ち続け、自分が成長するための力を惜しまないということですね。
水島知乃歩さんがヨガインストラクター養成講座で100人以上もの講師を輩出できている理由
水島知乃歩さんがヨガインストラクター養成講座で100人以上もの講師を輩出できている理由を伺うと、以下の3つでした。
1.ヨガの哲学や心理学などを通して、内面を整えて人との調和ができる講師を育成していた
2.ヨガ講師として活躍するための個々の強みをワークなどで発掘し、伸ばしていた
3.養成講座を受けることで、ヨガインストラクターとしてだけでなく、人として楽しく生きるためのコツを教えていた
時折微笑みながら、こちらの質問に丁寧に答えてくださった水島さん。ご自身の心が弱かったという経験をバネに、「調和の心」を大切にしたヨガを貫いていました。穏やかながらも芯の強さを感じさせるお話ぶりに、大勢の人を魅了してきた背景が垣間見られた気がします。ヨガインストラクターを目指している方は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。