ナチュラル眉のスペシャリスト「elblink」risaさんの自然体な経営論
Instagramへのシンプルな投稿だけでお客さまを呼び込み、現在では新規予約が難しいほど人気を集めている眉サロン「elblink」。前編ではInstagramの活用術について、代表のrisaさんに詳しく語っていただきました。「飾っていないところが良い」といった美容業界の常識を覆す評判、目からウロコのお話でした。
後編では、眉と同じようにナチュラルであることを心がけているという、接客や経営方針についてもクローズアップ。独立するまでの経緯やその後の変化などについても質問してみました!
今回お話を伺ったのは…
risaさん
表参道にある眉サロンで店長を経験後、2019年に独立。現在は「ナチュラル眉」をコンセプトに掲げて渋谷区笹塚で「elblink (エルブリンク)」「Lill by elblink (リル バイ エルブリンク) 」という2つの眉毛サロンを経営する。ナチュラルかつ柔らかいデザイン、梳かすだけで決まる、日常に馴染む、再現性のある眉を提案するプロフェッショナル。
risaさんのInstagram:@elblink_risa
自分のペースでお客さまと向き合うための独立
――さっそくですが、独立までの経緯を教えてください。
以前働いていたサロンでは、さまざまなことを勉強させていただき、環境も良かったので楽しく働けていました。感謝の気持ちしかありませんが、店長をしていたこともあって施術や接客以外の業務が多く感じ、お客さま一人ひとりとしっかり向き合うことが難しい状況で……。そんな時に、当時のお店のInstagramで私の投稿写真を見てお越しいただくお客さまが増えて。「ひょっとして独立してもお客さまを呼び込めるのでは? そうすれば、これまで以上にお客さまと向き合うことができるのでは?」と感じたのが大きなきっかけになりました。
――なるほど、独立後はどうなったのでしょう?
思っていた通り、カウンセリングや施術の時間を伸ばすことができました。以前のサロンでは、1日10人以上を担当する日も多かったのですが、現在は1日平均7人ほど。お一人につき1時間前後、しっかりと向き合える環境になりました。カルテの内容が細かくなり、次回以降のご提案にも時間を使えるようになり、お客さまとプライベートなお話をする機会も増えています。以前は「仕事」という意識が強かったですが、いまはもっと気持ちに余裕が生まれました。
――眉だけでなく接客もナチュラルになったんですね。
そうですね。私自身も「性格が変わった」と言われることが増えました。明るくなったというか、純粋に会話を楽しめるようになったというか。もともと接客が好きなので、本来の性格が出てきた部分もあるはずです。
ちなみにお客さまでも、サロンに訪れてから性格が変わったという方が大勢います。たとえば、ご紹介で訪れた男性のお客さまで、最初はあまり美容に興味を持たれていない印象だったのですが、施術後、再度ご来店されたときには「美意識が変わった」とおっしゃっていて。髪を切る頻度が増え、化粧水を使うようになり、ジムにも通うようになったそうです。眉が変わるだけで表情に自信が生まれて、それが良い影響になっているのだと伝わってきました。
プレートを使わない完全オーダーメイドの施術でリピーター率9割
――オーダーメイドの施術についても詳しく聞かせていただきたいです。
眉毛のテンプレートなどは使用せず、すべてフリーハンドでお客さまの個性に合わせたご提案をしています。たとえば「平行眉にしたい」というご依頼を、そのまま型に落とし込んでいるサロンもあるかと思いますが、平行眉と言ってもお客さまの骨格によって、真っ直ぐが良いのか、少し丸みがあった方が良いのか、太さなど、似合う形はそれぞれ違います。
――なるほど、事前にしっかりと相談できるとお客さまも安心ですね。
そう感じていただけたら嬉しいです。お客さまのファッションやメイクについての好みも考慮するため、プライベートなお話も楽しみつつご提案しています。お客さま本来の眉の形は無理に変えず、毛抜きで間引いて眉を薄くする技術などを活かすのがポイントです。今だけキレイに整えるだけではなく、これから伸びる毛も想定して、ナチュラルで魅力的な眉が長持ちするようにも心がけています。眉に手がかからなくなったことで「メイクが楽しくなった」という嬉しいご感想も多いです。
――長持ちするとリピーターが減ってしまうのではないですか?
そんなことはありません。新規予約を停止していることもありますが、お客さまの9割ほどはリピーターです。もちろん、無理に通っていただくための営業トークなどもしていません。むしろ施術中には、いずれお客さまご自身で手入れができるようアドバイスもしています。ありがたいことに、それでもご予約でスケジュールが埋まる状況が続いているんですよ。
――やはり、ナチュラルな接客がお客さまを惹きつけているのですね。
そうですね。お客さまと自然に会話を楽しむために、あえて接客のルールは細かく決めないようにしています。リラックスしながらコミュニケーションがとれるよう、シンプルで清潔感のある環境を心がけているくらいです。お客さまも、スタッフも、私も、みんながナチュラルに過ごせる居心地のよいサロンを目指しています。
オープンしたばかりの姉妹店「Lill by elblink」もすでに予約でいっぱいに!
――2021年4月に2店舗目の「Lill by elblink」をオープンされた経緯も知りたいです。
独立した当初は小さいお店でひっそりと営業できれば良いと思っていましたが、想像以上にお問い合わせが多く、すぐに新規予約の受付が難しくなりました。スタッフを増やしてもスケジュールがすぐに一杯になり、スペースの問題もあって近所に新しいお店を開くことにしたんです。
――大きな店舗に引越すことは考えなかったのでしょうか?
1店舗目の「elblink」に思い入れがあったので引越そうとは考えていません。Instagramを通じて遠方から訪れるお客さまもいらっしゃるので、アクセスに便利な笹塚駅近くという場所も気に入っていて、2店舗目も徒歩2分ほどの場所に出すことにしました。両方ともマンションの1室などではなく1階の路面店にしています。集客のためというより、お客さまが緊張しない雰囲気づくりのためです。開放的でありながら、カーテンや曇りガラスを使ってプライベート感も出しているので、はじめてのお客さまでも入店しやすいと思います。
――新規のお客さまにも気を使っているんですね。
それはもちろんなのですが……現在も新規のお客さまのご予約を制限する状況は続いています。今後はスタッフを増やして、新しいお客さまにも対応していくのが次の目標です。眉サロンは増えていますが、ナチュラルさではどこにも負けない自信があります。より多くの方にelblinkの「ナチュラル眉」を体感していただくためにも、しっかりと技術を伝えていきたいです。スタッフが増えて仕事が落ち着いたら、「ナチュラル眉」にぴったりなコスメを開発するのが独立した当初からの目標ですね。
risaさんのナチュラルな経営方法3POINT
お話をうかがったなかでナチュラルな経営のために必要なのは以下の3つでした。
1.カウンセリングや施術の時間を伸ばして、お客さま一人ひとりと向き合う
2.これから伸びる毛も想定して、魅力的な眉が長持ちするように心がける
3.メイクが楽しくなるように、お客さまへの情報提供は出し惜しみしない
優しいお客さまと優秀なスタッフのおかげで、ナチュラルなままマイペースで働けると、日頃の感謝のお気持ちを話すrisaさん。ストレスの少ない環境のなか、伸び伸びとお仕事をしている印象でした。同じように心身ともに健康的に、自然体で働きたいと悩んでいる美容業界の方は、ぜひrisaさんのエピソードを参考にしてみてください!