投稿するのはナチュラル眉だけ!?「elblink」risaさんの成功の秘訣
2019年のオープンから瞬く間に人気を集め、新規の予約が難しい状況が続いている眉サロン「elblink」。その集客方法はInstagramのみ、しかも投稿は5日に1度ほどでリール動画などもありません。
ポイントは加工などを一切せず、シンプルにナチュラルな眉の魅力だけを発信していること。SNSの投稿などに追われることなく施術や接客に集中できるという、その秘訣について代表のrisaさんが詳しく話してくださいました。
今回お話を伺ったのは…
risaさん
表参道にある眉サロンで店長を経験後に独立。現在は「ナチュラル眉」をコンセプトに掲げて渋谷区笹塚で「elblink (エルブリンク)」「Lill by elblink (リル バイ エルブリンク) 」という2つの眉毛サロンを経営する。ナチュラルかつ柔らかいデザイン、梳かすだけで決まる、日常に馴染む、再現性のある眉を提案するプロフェッショナル。
risaさんのInstagram:@elblink_risa
飾らないナチュラル眉の魅力を発信するなら、投稿も自然体が一番!
――ホームページやSNSに目元の写真しか掲載していませんが、何か理由があるのでしょうか?
お客さまが事前にインターネットで受けた印象と、実際の施術に差が出るのを避けたいのが主な理由です。コンセプト自体がお客さま本来の眉毛を生かした「ナチュラル眉」なので、自然な印象を抱いていただけるようなブランディングを意識しています。掲載する写真をナチュラルにすれば、それを求めているお客さまだけが自然とご来店されます。必然的に他のサロンの施術例の写真を持ってくるお客さまはほぼいらっしゃいません。私のInstagramを見て「これにしたい!」とか「Instagramみたいにおまかせで」といったオーダーをされるお客さまがほとんどです。
――Instagramの投稿がカタログ代わりになっているんですね。
そうです。ほかにも、目元のお写真は施術例を撮影しやすいというメリットもあります。そもそもカルテ用のお写真なのですが、SNSなどに掲載不可というお客さまは、あまりいらっしゃいません。Instagramを通してご来店いただくお客さまがほとんどなので「こういった感じで掲載されるんだ」と、事前にご確認いただけているのが良い点だと思います。むしろ、Instagramの投稿一覧にご自身の写真が載ることを楽しみにされている方が多い印象です。
――たしかに、あの壮観な「ナチュラル眉」一覧のなかに、自分も加われるのは嬉しいですね。
お客さまからは「飾っていないところが良い」といった嬉しいお言葉をいただいています。お肌の質感なども、ナチュラルであることを意識しているんです。例えば美容業界のSNSの多くが美肌加工のアプリを使っているかと思いますが、私は一切使用していません。投稿前には明るさを調整するだけです。そもそも肌の質感自体も、その方の個性であり魅力だと思っています。
包み隠さないシンプルな投稿で開店1ヶ月後には予約殺到
――ワックス脱毛による肌への影響なども積極的に発信されている印象です。
そうですね。ワックスを使用すると肌が赤くなる場合がありますので、それも包み隠さず投稿しています。もちろん施術前にも、お肌への影響といった注意点については説明と確認をおこたりません。個人差はございますが、そんなにひどい赤みが出ることは少ないので、敏感肌の方やイベントごと、写真撮影などのご予定がある方には、毛抜きのみでの施術もご提案しています。
――そういった、ありのままの投稿を意識したきっかけはありますか?
接客や施術に関しても同様ですが、もともと作り込まない自然体なものが好きだったんです。前に働いていたサロンのお客さまには「もっとメイクを濃くしてほしい」「もう少し華やかに」などのご要望をいただくこともありましたが……私としては化粧を前提としない、お客さま一人ひとりに合った「ナチュラル眉」を提案するのが最善だと感じていました。
――「ナチュラル眉」以外のご要望は独立後にはなくなったのでしょうか?
そうですね。ほとんどのお客さまがSNSを見てからお越しになるので「ナチュラル眉が良い」と共感してくださる方ばかりです。需要があると感じたのは、独立した2019年以前からで、多くのお客さまが作り込んでいない、ナチュラルで優しい印象の眉を求めていらっしゃいました。「ほかのサロンは仕上げのメイクが濃すぎて、帰り道が気恥ずかしかった」といったお声も多かったです。その反面、「ナチュラル眉」をコンセプトにしているお店はほとんどありませんでした。
――なるほど、ちなみに独立前からのお客さまはどのくらいいるのでしょう?
現在のお客さまは独立後に新規でお越しいただいた方だけです。以前のお店で私を指名してくださっていたお客さまには大変心苦しかったのですが、涙をのんでお断りさせていただきました。そのお客さまは私の力ではなく、以前働いていたサロンが集客したお客さまですし、私自身が一からはじめたかったのもあります。独立直後は、お客さまが1日1人だけしかいないこともありましたが、すぐにお問い合わせが増え、口コミを広めていただいたおかげで、開店から1ヶ月後には定休日が月2日になるほどご予約のスケジュールが埋まりました。
ひと目見ただけで伝わるアイリストならではの投稿一覧
――率直に、集客が上手くいった理由が知りたいです。
集客のためにしているのは主にInstagramなので、それが上手くいったのだと思います。ネット予約サイトなどには一切掲載しておらず、そのほかに開設したのはホームページくらいです。Twitterもほんの少しだけ運用しましたが、いまは更新していません。
――では、Instagramでお客さまの目元の写真を投稿するだけで集客が軌道にのったのですね。
そうなりますね。投稿一覧の眉の仕上がりを見て、ご興味を持っていただけるケースが最も多いです。ご存知のように目元の写真だけですが、その統一感が目を惹いたのだと思います。ひと目見ただけでコンセプトや施術例が伝わりますから。
独立直後は「ナチュラル眉」の需要に対して、眉毛サロンが少なかったのも大きかったと思います。今は当たり前になってきましたが、当時、眉に対してはワックス脱毛やカットしか行わないお店が多く、私のように毛抜きで間引きする技術をアピールしている方はほとんどいませんでした。そういった時代が求めていたものと、私の好みが上手く重なったのも幸運でしたね。
お店が上手くいっているのは「ナチュラル眉」を求めてくださるお客さまがいらっしゃるからです。独立前から需要があることは感じていましたが、そうではなかったとしても、私は自分が好きな「ナチュラル眉」を全面に押し出していたと思います。もちろん、いろいろな施術をアピールしたほうがターゲット層は広がるので、それも間違いではありません。でも、せっかく独立するなら無理をせず、自然体で、自分が好きなテイストにしたほうが私は楽しいと思います!
risaさんのInstagram投稿方法の3POINT
お話をうかがったなかでSNSのブランディング手法をまとめると以下の3つが鍵でした。
1.SNSでの雰囲気と、実際の施術に差が出ないようにする
2.あえて美肌加工アプリを使用しないなどで差別化を図る
3.ひと目見ただけでコンセプトが伝わるよう投稿写真に統一感を出す
後編では、risaさんのナチュラルな接客や経営方針についてもフォーカス。独立して心に余裕が生まれたことで現れた変化とは!? 後編もぜひチェックしてください!