挫折した経験によって、柔軟性と実力を兼ね備えた唯一無二の美容師に【QUQU 堀 希満子さん】#1

「常に斬新であること」をテーマとしたHair salon QUQU。そこでスタイリストとして働く堀さんに、その独特なスタイルが形成された背景や特徴などをインタビュー。

前編では、堀さんが美容師を目指したきっかけや現在のサロンへ入社した経緯、技術の向上のためにしたことなどを伺います。

教えてくれたのは…
QUQU 美容師 堀 希満子さん

地元兵庫県のサロンで約6年間勤務。その後、当時より美容業界の第一線で活躍していた内田聡一郎さんが代表として立ち上げた「LECO」にオープニングスタッフとして飛び入り入社。3年後、内田さんと女性トップスタイリストとして活躍している浦さやかさんが共同経営する「QUQU」へ移り、現在2年目を迎える。サロンの持ち味であるハイトーンカラーにとどまらず、日常に溶け込むナチュラルカラーを得意とし、幅広い世代から人気を集めている今注目の美容師。

挫折を糧にして突き進んだ美容師の道

Hair salon QUQU 美容師 堀 希満子さん

――美容師を目指したきっかけを教えてください。

4才の頃、美容室へ髪を切りに行ったことがきっかけです。

当時、人気テレビアニメのキャラクターに憧れていて髪を胸下まで伸ばしていました。ところが、深夜トイレへ行く際に母親を起こしに行ったところ、私が「おばけ」に見えたようで怖がらせてしまって…(笑)。翌日には母親が美容室の予約を済ませ、顎あたりまでバッサリと切られてしまいました。泣いて落ち込んでいたところ、担当してくれた美容師のお姉さんが元気づけてくれたことで、美容師に憧れるようになりました

――お姉さんの言葉がきっかけになったのですね。では、美容師になるまでの経緯について教えてください。

高校卒業後は、美容師が働く労働環境は厳しい上に「職人」というイメージがあったので、「学生のうちから鍛えておかなければ」という思いから一番厳しいと評判の大阪府にある高津専門学校を選んで2年間通いました。予想以上に規則が厳しく、ヘアカラーやメイクも禁止でスーツで通学という条件でした。勉強やコミュニケーションは得意だったので特待生として入学できたのですが、肝心の実技が思うようにできなくて…。

卒業後は苦手を解消できないまま、地元の兵庫県神戸市内のサロンに就職しました。ですが、自分が思っている以上に仕事がハードな上、人間関係もうまくいかなくて半年ほどで挫折してしまいました。

――いちどは離れたのですね。

その後も、長らく美容師に憧れていたこともあって諦めきれない気持ちのままでした。そんなとき、友人がすすめてくれたサロンが目に留まり、運良く働けることになったんです。そこはクリエイションを得意としたご夫婦が経営している地元では有数のサロンで、美容師としての基礎などを全て教わることができました。

――では、そこで経験を積まれて現在のサロンへ?

はい。働き始めて6年目のある日、当時ベチカに所属していた憧れの美容師・内田聡一郎さんが独立してサロンを立ち上げるという話を耳にしたんです。ご夫婦にはすごくお世話になりましたし止められましたが、一度きりの人生だと思い、オープニングメンバーの募集を受けることにしました

でも、受けると決めた頃には募集が締め切られていて…。一縷の望みをかけて、内田さんが働いているサロンへ予約して「どうしても内田さんのサロンで働きたい」と直接伝えに行くことを決めました。

東京で自分のスタイルを確立するために、技術を磨く練習を続けた

堀さんの学生の頃の文集の将来の夢は全て、「美容師になる」だったそう

――熱意が伝わってきます。どのようなアプローチをしたのでしょうか?

反対を押し切って辞めたこともあり、後には引けないという一心でした(笑)。

ダメ元ではありましたが、当日、最後のアクションとして「私に対して興味が湧いたら面接をしてください」と内田さんに直接お伝えしました。すると、最後のお会計時に引き止めていただき、とても嬉しかったです…!引き止めてくださった理由を聞くと、施術を手伝ってくださったアシスタントさんが「元気で面白くていい人ですね」と、事情を知らずにプッシュしてくださってたようなんです!それを聞いてから、内田さんも気になったらしくて(笑)。その後、何度か面談を重ねて無事オープニングメンバーに入れていただけることになりました。

――想いが伝わったのですね!実際に働いてみて地元のサロンと比べると技術面でのギャップは何か感じましたか?

地元のサロンでもブリーチを得意としていたので、あまりギャップは感じませんでした。

ただ、東京という地でひとりの美容師として自立するには、自分で流行を作っていくという意識を持たなければいけないと思っていたので、とにかく基礎技術を練習しました。あとは、自分で良いなと思ったデザインをたくさん見て、自分の技術に落とし込むことを意識した練習をしていたという感じです。

――練習をする中で、苦労したことはどんなことでしたか?

インプット、アウトプットの仕方が分からなかったことですね。入社した頃は「センスがない」と毎日言われていました。これではだめだと思い、自分がセンスが良いと感じるスタイルから普段は選ばないようなスタイルなども真似して、再現する練習をひたすら行うようにしたんです

段々と練習を重ねるうちに効率の良い練習方法や技術を身につけることができました。

二人のトップスタイリストの技術を継承した存在に

最初はLECOに所属し、憧れである代表の内田さんのもとで熱心に学んでいたそう「普段のアシスタントはもちろん、海外の出張なども同行していたので、当時はかなりの連勤数に(笑)。」(堀さん)

――現在サロンで施術しているハイトーンカラーもその練習から編み出された技術なのでしょうか?

どちらかというとサロン内の方針によって取り入れた技術になりますね。QUQU立ち上げの際にLECOとQUQUの技術を併せ持った「ハイブリッド美容師」なるものを生み出したいという打診があったことがきっかけになりました。

――双方のサロンの良さを継承されたのですね。

堀さんがLECOに所属している頃から支持を集めている、日常に馴染むニュアンスカラー

そうですね。LECOに所属していたときは、サロン自体が日常生活に溶け込むようなナチュラルカラーを主としていましたが、現在所属しているQUQUはハイトーンを全面に押し出したポップなカラーが売りのサロンです。サロンの色に合わせたハイトーンカラーの施術もしますが、個人的にはじんわりとした不透明なニュアンスカラーの需要が多いですね

周りのスタッフから「パンチが弱い」と指摘を受けることもありますが、私のお客様のニーズがナチュラル寄りなことを加味すると、今後も私の得意技として伸ばしていきたいところです。

――お客様に寄り添うことは大事ですよね。堀さんが経験したことから、今後、技術を身につける方々へアドバイスをお願いします。

まずは、自分が好きなデザインを見極めてひたすらに練習することが必要だと思います。そこで初めて自分の技術として身につくと思います。あとは、自分が上手だなと感じる美容師に会いに行くことです。それはセミナーでも良いですし、実際のサロンでも良いと思います。自分の目で見て「なぜこの人は人気なのか」、その理由が少しでも分かると参考になるはずです。


支持され続ける技術を身につけるための基礎

1.自分が好きなデザインを分析する

2.好きなデザインが分かったら、アウトプットに専念

3.憧れている美容師へ会いに行って良いところを盗む

後編では、地元から上京してきて軌道にのり出した期間や売り上げはどのくらい伸びたのか、今後の目標とアドバイスを伺います。

取材・文/東菜々(レ・キャトル)
撮影/喜多 二三雄

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Salon Data

Hair salon QUQU
住所:東京都渋谷区渋谷1丁目5−10 小笠原ビル 1F
電話:03-6427-9175
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