家族総出で仕事現場に向かう日も。「好き」を続けられる協力体制とは【ヘア&メイク Hitomiさん】#2

お洒落な感性と海外で磨いた高い技術力で、一般人・企業問わず数多くの指名を受けたきたヘアメイクHitomiさん。1歳の男の子のママでもあり、現在は子育てを楽しみながら、少しずつ仕事に復帰しているのだそう。そこには家族や取引先からの温かいサポートがありました。

後編では、周囲の万全のサポート体制、仕事と子育てをめぐる苦悩、これからの仕事のスタイルについて教えていただきました。

教えてくれたのは
ヘアメイク Hitomiさん

元美容師。ヘアメイクに転身後、ウェディング会社に入社し、花嫁のヘアメイクを担当。5年間をハワイ支店で過ごし、帰国後にフリーランスに。現在はウェディング案件だけでなく、幅広い業界でヘアメイクを請け負う。2年前に結婚し、今は1歳の男の子のママ。

主人、両家の親、ご近所さん。総出のサポートで仕事に行く日もストレスなし


――現在は少しずつ仕事復帰されているようですが、ご家族にはどのようにサポートしてもらっていますか?

徒歩2分くらいのところに私の実家があるので、母に預けることもできますし、会社員の主人は土日休みのため、私が土日にウェディングの仕事が入った場合は果敢に一人でお赤ちゃんを見てくれています。「何かあったら私の実家にヘルプ求めて」って(笑)。

義理の両親も私が仕事することに対して協力的で、「仕事したかったら全然仕事すれば良いよ」と言ってくる人たちなんです。主人が一人で赤ちゃんを見るという日はわざわざ駆けつけてくれることも。あと、今地元に住んでいるんですけど、ご近所さんたちも私が小さい頃から知っているので、「何かあったら言ってね」と声をかけてくれるんですよ。

だから、仕事に行くことにストレスがないというか、誰かしらがどうにかしてくれるだろうって思っています(笑)。

産後3ヶ月目くらいから月2〜3本のペースで仕事を入れはじめ、子どもの月齢や食事のスケジュールに合わせて調整しながらやっていました。

――周囲のサポート体制が万全なんですね! お子さんはママと離れても大丈夫でしたか?

すぐに復職できたら良いなと思っていたので、ミルク・母乳にこだわらずに飲んでもらいたかったんですが、ある時期から哺乳瓶を嫌がるようになっちゃって。そうなると私は仕事に行けなくなるんですけど、コロナで延期延期でやっと実現できた結婚式だったり、どうしてもお受けしたい案件のときは、家族総出です。夫も子どもも起こして会場まで連れて行きます。お客様にも本当に恵まれましたし、この主人じゃなかったら絶対に仕事を続けられていないので心から感謝ですね。

――お子さんは1歳になったばかりとのことですが、どんなときに子育ての楽しさを感じますか?

毎日楽しいですよ。うちの子、ちょっと変わっていて、先輩ママにも「赤ちゃんってこんなに面白いっけ?」と言われるほど個性的なんです(笑)。ご飯をつくればつくるほど食べてくれるし、寝てほしいなと思ったらころんと寝てくれるし。

「息子は何が好きなのかな?」と観察するのも楽して。私は好きなことしかしてこなかった人なので、息子も「好き」から派生してどんな面白いものに辿り着くんだろうってわくわくします。私の仕事現場に連れて行くときも息子にとって良い刺激になれば良いなと。

――子育てと仕事の両立に苦悩された時期はありましたか?

子育てについてはありませんが、働けない自分に対しての焦りはありましたね。自分がどうしても受けられなかった仕事を他の誰かが代わりに受けて活躍していたりすると悔しいと思ったし、復帰後に忘れられていたらどうしよう…という不安もありました。

今もその気持ちがゼロではないけれど、子育てはすごく面白いし、保育園に預けてまで前の仕事に100%戻したいとは思わないかな。今はこの子ありきの人生なので。周囲も協力してくれますし。「保育園に預けて働かなきゃ」という思考回路をなくしたら、意外とラクになれました。

もちろん子どもを連れて行っちゃダメな現場だってありますよ。でも、息子ありきでオファーをくださるお客様も多く、やむを得ない場合はお言葉に甘えています。大事なのはお客様との距離感や信頼関係ですよね。

――そういう仕事現場がもっと増えてほしいですよね。

そう思います、本当に。子育てはお母さんだけの義務ではないですから、「みんなで見ててあげる」というのが理想です。

ファッションってトレンドが戻ってくるじゃないですか。働き方だって昔に回帰しても良いのになって。昭和時代のお母さんたちは軒先で子どもをおんぶしながら仕事していたと思うんですよね。だから不可能ではない気がするんです。

飾る美容ではなく、素の自分を好きになれる「リラクシーな美」を発信したい

取材には息子さんも一緒。撮影中もとてもお利口さんでした

――先ほど「前の仕事に100%戻さなくても良い」とお話しされていましたが、これからは仕事内容やスタイルをどのように変えていくご予定ですか?

ヘアメイクの仕事を0にするつもりはないですが、美容のジャンルを少しずつ増やしていこうかなと。ライフスタイルに合わせてそのボリューム感を変えていくと思います。

――これからやってみたいお仕事が他にあるのでしょうか?

私が目指すのは健康なミセスになることで、インナービューティの観点から美容を発信してみるのも良いなと思っているんです。

ハワイ時代、ありがたいことにたくさんの指名をいただき、毎日休みなく働いていたんですね。朝は4時起き、絶対に寝坊できないという緊張感から夜も電気つけっぱなしで、ベッドではなく座って寝る毎日。それでずっと体の不調が続き、肌もボロボロ。そんなとき、母の勧めで東洋医学の治療を受けてみたらすごく体の疲れが取れて。「体の調子が整っていなければ美容どころじゃないな」と20代後半で気づいたんです。その頃から、ヘアメイクの仕事の次はヘルシーな美容を仕事にしたいとずっと思ってきたんですよね。

――Instagramによく食事などを投稿されているのも、その一貫ということでしょうか。

そうなんです。妊娠して労働時間を減らすようになったタイミングで、植物療法の勉強をはじめました。海外だと薬草薬局があり、医療従事者として植物療法士という職業があって、私のやりたいことはそれに近くて。「薬草」とか「漢方」と言われると難しいイメージがありますが、「ハーブ」なら美容に紐付けやすいかなと思って。

まだ準備段階ですが、その人の体調や肌の状態を問診した上で合うものを提案してあげるパーソナルレッスンをはじめるつもりです。

Hitomiさんのインスタには季節の食材を使用した料理がずらり

――パーソナルレッスン、面白そうです!

ウェディングの仕事をする中で、日本人女性は自分のコンプレックスはたくさん教えてくれるのに、自分の好きなところを言える人が少ないことがすごく気になっていたんです。

内臓を整えれば肌質が変わるように、顔を変えなくてもきれいになれるということを伝えていきたいんですよね。盛る美容ではなく、ミニマムにしていく美容。メイクをしなくても「自分が好き」と言えるようなお手伝いができたらなと

――子育てとともにフェーズを変えてこられたHitomiさん。最後に、子育てと仕事を両立するコツを教えてください。

家を良い状態にしておくこと。産後のストレスやイライラもあるけど、家庭の空気が悪くならないように気をつけています。そうすれば代わりに息子の面倒を見てくれる人たちも気持ち良く過ごせるし、私が仕事に行くことも応援してもらえる。息子も安全に満腹に過ごせます。

あとは、自分を大事にすること。子どもだけのために生きているのではないので、好きな仕事をしている間は「ママ」ではなく「Hitomi」なんだという感覚を忘れないようにしています。その感覚をなくしてしまったら「現場には戻れないけど、この生活が楽しいからいっか」と妥協してしまう気がするんです。それに、好きなことをして楽しんでいる私の姿を息子にも見せたい。だから、自分を大事にするんです。

Hitomiさん流!好きな仕事を続けるコツ

1.「自分だけで育てなきゃ」と思うのではなく、家族や取引先など周囲のサポートに甘えることも必要

2.仕事内容は0か100に振り切らず、少しずつボリューム感を調整する

3. 自分を大事にする!

取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/喜多二三雄

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