「寄り添い」ではなく「お任せ」してもらうことで、お客様と私の理想をかなえるメイクがしたい【メイクアップアーティスト 葉月さん】#2
今年6月にオープンしたばかりのサロン「Null」に、所属する葉月さん。表参道に面した「Null」は「クリエイターが輝く世界を創っていく」との信念により、フリーランスの働き方を支持する新時代のサロンです。もともと美容師をしていた葉月さんは、2000人だったフォロワー数を12万人※に激増させるなど、SNSの発信をきっかけに1年前からヘアメイクアップアーティストとして本格的に活動を始めました。
前編では、美容師からヘアメイクアップアーティストへ転身するまで、SNSで注目を集めた経緯について伺いました。後編となる今回は、サロン「Null」に参加した理由、施術の際に気をつけていることや今後の目標をお聞きします。
お話を伺ったのは…
ヘアメイクアップアーティスト 葉月さん
大手美容サロンメーカーに美容師として就職し、8ヶ月勤めて退職。その後は、他のサロンでの勤務を経て、ヘアメイクアップアーティストに転身。しばらくフリーランスで働いたのち、今年6月にオープンしたサロン「Null」に業務委託として所属。「オーラを引き出すメイク」が話題となり、今やSNS総フォロワーは12万人※を超え、新時代を切り開くヘアメイクアップアーティストとして注目されている。
※取材時2023年8月にて
以前から交流のあった人からの誘いにより、「Null」への参加を決意
――フリーランスのメイクアップアーティストになってから、具体的にどんな活動を?
TikTokがバズった2日後に、運良くカフェの一部スペースでヘアメイクの施術をするイベントがあったんです。そのイベントは多くのお客様から好評をいただき、現在のサロン「Null」に所属するまで続けさせてもらっていました。
――では、フリーランスからサロン「Null」に参加した経緯とは?
「Null」は3人の共同経営です。そのうちの一人、以前より親交があったフウガさんから誘ってもらい、所属させていただくことになりました。
――仕事が軌道に乗り始めたタイミングでの参加。理由はありますか?
共同経営者の3人と一緒に働きたいと感じたことが理由です。クリエイターひとりひとりを尊重し、フリーランスという働き方でも報われることを目的にしていることにも魅力を感じました。
――より自分らしい働き方をかなえたい想いからの決断だったのですね。現在の集客もSNSを通じて?
そうですね。「オーラを引き出すメイク」の注目度が上がったのはTikTokやTwitterですから、今でもその二つのツールは集客を目的に運営しています。一方、インスタグラムは作品こそ載せていますが、基本的には予約を受けるために運用しているイメージです。
「寄り添う」<「任せてもらえる」施術が理想
――実際に来店されるお客様の特徴をお聞かせください。
年齢層は幅広くて10〜20代が多く、たまに50代の方も。服装はとくだん個性的ではなく、一般的なカジュアルさだったり清楚な印象が多いでしょうか。
私が提唱しているメイクは普段気軽にトライできるものではないからこそ、普段できないメイクを楽しみたいとか、自分を変えるきっかけづくりをしたい、といった目的でご利用いただいているように感じます。
――お客様のメイクの方向性はどのように決めるのですか?
まずはお客様の趣味嗜好のカウンセリング。それからどの程度までの変化を求めているのか伺い、許容範囲を決めます。お客様と私の表現したい世界観がどのくらい反映させていただけるのかが「オーラを引き出すメイク」には重要なため、かなり慎重に聞きます。
――施術の際、お客様に対して心がけていることは?
本人でも分かっていない本質を汲み取ってメイクに活かすこと。実は、お客様本人でも自分の「好き」や「理想」が分かっていない方が多いんです。最初は「可愛い系」と言っていたのに話を聞いていくうちに「きれい系」が理想なのでは?となることも。満足のいく仕上がりにできるよう心がけています。
――ご自身の中で譲れないことはありますか?
美容師やヘアメイクってお客様に「寄り添うこと」が求められると思いますが、私は少し違うんです。もちろんお客様の意向に最低限沿う気持ちはあります。ただ、それよりも私自身がアーティスト志向なため、私の技術を信じて任せてもらいたいと思っています。施術するメイクの要望はできるだけ取り入れていますが、基本的には私を信じていただき、「任せたい」と思われるようになりたいですね。
――実際に利用したお客様の反応は?
とても喜んでいただけますね。たまに泣いている方もいらっしゃって、それには驚きました。自分が好きで続けていたメイクで人の感情や生き方を変える可能性があるんだと、身に染みて感じました。
――今後の目標をお聞かせください。
私の世界観とマッチするアーティストと一緒に仕事をすること。 のちのちは海外を飛び回りたいので、自分のセンスを大事にしてそれと合う世界中のアーティストと仕事がしたいです。
葉月さんがヘアメイクアップアーティストとして活動できた3つのポイント
1.自分の「好き」を極めて、オリジナリティを確立する
2.「世界観」を浸透させるために、発信する方法を試行錯誤する
3.アイデンティティを貫き、一定の信頼を獲得する
取材・文/東菜々(レ・キャトル)
撮影/SHOHEI