「世界NO.1の勲章を全スタッフに贈りたい!」から始まった、アトリエはるかのチャレンジ【(株)ハルカホールディングス 代表取締役社長 岩井大輔さん】#1
2022年12月8日(木)、全国60店舗でヘアメイク専門店を展開している「アトリエはるか」が、ギネス世界記録TMにチャレンジしました。テーマは「チームで8時間に眉毛の形を整えてメイクをした最多数」。結果は1,321人という驚異的な数をたたき出しました。
ここに至るまでには、たくさんの苦労や工夫があったとか。そこで、前編ではギネス記録にチャレンジするきっかけや、1,000人を超える人数を集めるための秘策、大がかりなイベントを成功させるために必要なことなど、(株)ハルカホールディングスの代表取締役社長、岩井大輔さんに伺いました。
お話を伺ったのは…
(株)ハルカホールディングス 代表取締役社長
岩井大輔さん
2006年に大手与信情報会社から転職し、2007年現職に就任。(株)アトリエはるかを中心とするグループ会社3社を統括している。今回のイベントでは、スポンサー企業を募るなど財政面をサポート。
イベントを通じて「世界一のアイブロウ技術」を証明するのが一番の目標
――ヘアメイク専門店の「アトリエはるか」がなぜギネス世界記録TMにチャレンジを?
2020年に始まったコロナ禍で出勤できなかったり、休業せざるを得なかったり。店を開ければ消毒などの感染対策に追われ、誰も悪くないのに現場は疲弊していきました。そんな悶々とした雰囲気を打開して、みんなの気持ちを1つにまとめたかったんです。
前々から「ギネスに挑戦しよう!」とは言っていましたが、具体的にどうするかまで煮詰めていませんでした。そこで、我々がもつ世界一のアイブロウメイクのサービスと技術をアピールするならギネスがふさわしいと考えて、アトリエはるか代表の西原を筆頭に’22年1月に動き始めました。
ギネスの世界記録を打ち立てたら、スタッフたちは「私たちがこの記録を作った」と一生、誇りに思えるはず。ずっと苦労をかけてきたスタッフたちに「世界一」という勲章を贈りたいという気持ちが大きかったですね。今回のチャレンジのために全国の店舗から店長を呼び寄せたので、イベント付き社員旅行になりました(笑)。
――施術するスタッフ以外にも、人員が必要ですよね?
眉メイクができる店長には施術を担当してもらい、ネイリストの店長には会場内の案内などを担当してもらいました。
店舗以外にも東京支社や名古屋本社からも社員を動員して受付、撮影ブースへの誘導など5つのチームに分かれて、作業にあたりました。1つの部署を頂点にして仕事を割り振るのではなく、5つのチームがそれぞれリーダーを立て、各々の判断で仕事を進めるようにしました。おかげで効率がよく、トラブルもありませんでした。
今回、東京支社のスタッフを総動員しましたが、何も「役」のついていない人員は1人もなく、まさにフル稼働でした。
――今回は表参道ヒルズのイベントスペース、「スペース オー」で開催しました。サロンとは規模が異なるので、勝手の違いに戸惑いはありませんでしたか?
お客さまを席にご案内して、施術をしてお帰りいただく。この経験値はスタッフの全員にあります。店舗の規模が大きくなっただけ、と考えればそう特別なことではありません。
ただ今回のイベントを成功させるには、安心・安全が何よりも大事だと考えていました。大勢のお客さまがいらっしゃってもケガをしないように、感染の不安がないように動線などありとあらゆることに気を配りました。
――記録を達成するにはお客さまの数が必要です。どうやって集めたのですか?
アトリエはるかでは、以前お客さまにお渡ししていたポイントカードをLINEのショップカードに移行する取り組みをしてきました。現在、そのLINE登録者数が20万人を超えています。みなさんに今回のイベントをお知らせして参加ご希望の方を募集したところ、2時間で1,700名も集まりました。300名ほどキャンセルが出ましたが、キャンセル待ちが2,000名もいらしたので、まったく問題ありませんでした。
世界記録チャレンジのもうひとつの目的が「眉カット文化を広める」こと
2022年12月8日ギネス世界記録にチャレンジするまでのスケジュール
――今回のイベントは、世界記録にチャレンジするだけではなく、眉カット文化を広める目的もあったとか?
2023年の2月にアイブロウブランド「Karen EYEBROW DESIGN」がデビューします。このブランドはコスメだけではなく、アトリエはるかのノウハウが詰まった眉カット技術そのものを指します。今後はアトリエはるかだけでなく、全国のヘアサロンでも取り扱っていただく予定です。サロンで眉カットをなさる方が増えていますが、まだまだ少ない。それならば、いつも髪を切っているヘアサロンで眉を整えられたら、もっと身近に感じられるかもしれない…そんな思いがあります。
アトリエはるかの店舗がまだない都道府県でも、はるかと同レベルの技術で眉カットの施術を広めたい。そのために、全国のサロンさんを対象にした講習会も予定しています。
――今回の眉メイクはこの新商品を使用したのですか?
そうです。新商品のPRと言えば、まずマスコミやインフルエンサーにお知らせして情報を広めていただくのが一般的。この商品に関しては、お客さまの感受性に訴えて、商品のよさを伝えたかったんです。世界一のアイブローのサービスと技術、そして使用する化粧品のすばらしさ。その全てを体感していただくには、今回のイベントはまさにふさわしい内容でした。
――今後はどんなイベントを考えていらっしゃいますか?
未定ですが、また世界記録を狙いたいですね。例えば25周年とか、何かの節目に計画してもいいかなと思っています。
岩井さん流! 大がかりなイベントを成功させる3つの秘策
1.トップダウンで進めず、チーム制で各々の判断で動ける体制をつくる
2.全体を絶えず見回して、社内外問わず役割を明確にしておくこと
3.イベントに「世界記録」というゴールを掲げること
大がかりなイベントは企画力だけでは成功しません。緻密な下準備だけでなく、何かひとつエッセンスが必要かもしれません。今回は「世界記録をつくる」という大きな目標のもと、スタッフをはじめスポンサー企業やお客さまも一丸となってイベントを盛り上げていました。
後編では、ギネス世界記録が誕生するまでの詳細を、このイベントの実務を担った(株)アトリエはるか 経営企画部 執行役員の栁井加代子さんに伺います。
撮影/森 浩司