コンセプトは「カーナビ」?!わかりやすい解説でYouTube5.3万回再生!「BeBe」オーナー江藤瞬さん
北九州市で、3ヶ月先まで予約の埋まる人気サロン「BeBe」を経営している江藤瞬さん。サロンオーナーでありながら、自身が開設したYouTubeチャンネルの登録者数は1万人を超え、大人気となっています。
前編では、開設わずか2年で人気YouTubeチャンネルへと成長させた秘訣を伺いました。有料級の技術解説をYouTubeで配信しているのは、講師業へのステップアップを目指していたからなのだそう。実際に、YouTubeをみたメーカーさんや視聴者から依頼があり、念願の講師業を開始できたそうです。江藤さんのYouTubeは「カーナビ」のようにわかりやすいと視聴者から大評判。わかりやすさの秘訣は、みんながつまずくポイントを先回りして説明することと、「知識」と「行動」にわけて物事を解説していく手順にあるのだそうです。
今回、お話を伺ったのは…
江藤瞬さん
1日5名限定の施術を行い、3ヶ月先まで予約が埋まる北九州市の人気サロン「BeBe」のオーナー。美容師歴は21年。カット技術のわかりやすい説明が好評を呼び、「しゅんちゃんねる美容師」名義のInstagramフォロワーは1.8万人、YouTubeの登録者数は1.1万人と、大人気コンテンツに成長。現在、自身のサロンにて技術指導の講師を行っているほか、美容メーカーからの依頼で講師業も行っている。
有料級の施術解説動画を無料で配信!念願かなって講師業へ
――江藤さんのYouTubeは開始約2年で登録者数 が1万人を超える人気コンテンツになっています。YouTubeチャンネルの運営をはじめたきっかけは?
2020年まで美容師一本で生計を立ててきたのですが、コロナによってお店を1日2時間ほどしかあけられない日々が続き、売上が半減。美容師に関係のある方法で、サロンの経営以外の収入源を持ちたいという思いが湧いてきました。
少し話が逸れますが、コロナ禍以前に参列した結婚式のスピーチで大失敗したんです(笑)。そこからある講演家の方のYouTubeを見て、人前で話す方法について学んでいました。その講師の方が「これからの時代は、みんなYouTubeをはじめるべき!」と語っていたのを思い出し、自分がいままで美容師として蓄積してきたノウハウと、コロナ禍でお店をオープンできないときに学んだことをかけ合わせてアウトプットしてみようとYouTubeを始めたんです。
――美容師さんのYouTubeというと集客目的の「施術動画」を配信する方もいらっしゃいますよね。江藤さんは、有料でもおかしくないほどの実践的でわかりやすいHowTo動画を配信されていますが、美容師さん向けに発信内容を絞った理由はありますか?
長い美容師歴のなかで、とくにやりがいを感じてきた仕事が「後進の育成」だったんです。自分のサロンをオープンする前に勤務していた美容室でも育成担当をしていたのですが、今までできなかった技術を習得したり、売上を上げてうれしそうにしている姿など、人が成長していく姿を見るのが僕にとってのやりがいだったんです。そこから「いつか講師業をしたい」という目標を持つようになりました。YouTubeは、「講師業をする」という目標を叶えるための宣伝手段として使おうと決め、美容師さん向けのHowTo動画に絞って配信を始めたんです。
その甲斐あって、YouTubeを見てくださったカラー商材を扱うメーカーさんから講師依頼をいただいたり、視聴者の方から直接講師依頼をいただいたりするようになりました。今では、月に3回ほど講師のお仕事を行っています。
企画の数=過去の失敗の数 視聴者がつまずくポイントを先回りして解説!
――YouTubeでは「わかりやすい!」という視聴者からのコメントをたくさんお見かけしました。動画を作る際のコンセプトはありますか?
YouTubeは「カーナビ」をコンセプトに作っています。カーナビは、目標地点を打ち込んだら、誰でもそこにつれていってくれますよね。YouTubeも同じで、「この技術を知りたい!」という方が視聴することで、ゴール地点である技術の習得までいざなえるように工夫をこらしています。
具体的には、僕が「美容師人生で失敗してきたこと」を題材に取り上げるようにしています。つまり、企画の数=僕が失敗してきた数ということです(笑)。きっとつまずくところって、誰でも同じだと思うんですよね。なので僕が失敗したところ+その解決方法を、視聴者の方がつまずく前に提示したいと思って動画を作っています。
――他の美容師さんのHowTo動画を見ていると、実践しながら説明をしている内容が多いように感じます。江藤さんの動画は、「説明→実践→まとめ」の流れで解説してくださるのでわかりやすかったです。
サロンの育成担当として働いているときに、「伝えたいことを『知識』と『行動』にわけて説明すると相手に理解してもらいやすくなる」ということに気づいたんです。「知識」というのは、頭で考えて理解できる「理論」のこと。まずはその理論を伝えて理解を促し、その後実際に体を使って行う「行動」を実践してもらいます。このように指導をするようになってから、「わかりやすい!」という反響をもらえるようになりました。
YouTubeの構成が説明→実践→まとめの流れになっているのも、そのためです。対面で行う講師業も、まずは一旦説明をして、頭で理解してもらってから体を動かすという流れで進めています。
「夢を叶えるための手段」としてYouTubeを活用。使用目的はぶらさずに!
――江藤さんはInstagramのフォロワーも1.8万人と大人気ですね。他のSNSも運用されていますが、使い分けはどのようにされていますか?
僕の場合、あくまで「講師業」につなげるという目標があるので、ノウハウをじっくり説明できるYouTubeをSNSのメインとしたいんです。InstagramはYouTubeの動画の切り抜きを投稿していて、時間がないときにささっと技術をチェックできる、いわば「単語帳」のような役割をめざしています。TikTokはYouTubeとほぼ同じ投稿ですが、比較的若い世代の方が閲覧しているので、若い視聴者をYouTubeに送るという目的が大きいかもしれません。TwitterやYouTubeブログは、僕自身のパーソナルな部分を見せるためのツールとして利用していますね。
――SNSの動線で意識していることはありますか?
どのSNSも最終的にはYouTubeにつながるプラットフォームになるように、かならずどこかに「YouTube」の文字を入れるようにしています。たとえば、Instagramのプロフィール写真にも赤文字で大きく「YouTube」と入れていますし、動線がスムーズになるよう、かならず各SNSのわかりやすい位置にYouTubeのリンクを貼っています。
――他にもSNS運用で心がけていることがあれば教えてください。
SNSの使い方には2種類あると思っています。ひとつはフォロワー数を増やしてそのSNSでの収入を上げるという使い方、もうひとつは自分の夢を叶えるために利用する使い方です。僕の主な目的は後者なので、フォロワー数に左右されて内容がブレないように気をつけています。
その一方で、視聴者の方に内容を理解してもらうためには努力を惜しまないようにしています。視聴者の方が動画のどの場面で離脱したのかをデータで確認し、もっとよくできるところはないかのPDCAサイクルを回すようにしています。すぐに結果を追い求めて小手先のテクニックに頼るよりも、コツコツと改善を続けることが実を結ぶ。いつか結果が出ると信じて続けることが大切です。
江藤さんのYouTubeチャンネルが人気となった3つの秘訣
1.「講師業につなげる」という目的意識を持ち、有料級のHowToを惜しみなく配信した
2.自分の過去の失敗体験をいかし、配信内容を考えた
3.指導するべき内容を「知識と行動」にわけ、動画の構成を作成した
後編では、江藤さんのサロン「BeBe」の人気の理由を掘り下げます。10年経営が続くサロンに成長させた秘訣は、江藤さんの学び続ける姿勢にありました。日々読書やYouTubeでの学習を続け、インフルエンサーや起業家の言う「やってみたほうがよいこと」はすぐに実践することを意識しているのだそう。
最近では「聞く力」が重要だと感じているそうで、お客さまのお話をしっかりと聞くことで再来率が上昇したのだとか。またカウンセリングの際にはお客さまの手の動きに注目し、お客さまのヘアのお悩みを見つけるようにしているのだそう。長年愛されるサロン経営のためのコツを紹介した後編もお楽しみに!