ヨガYouTubeは、繰り返し見てもらうことが大事。そのために、動画構成をパターン化して連続性を重視。日本一のヨガYouTuber「B-life」#1
チャンネル登録者数194万人超! 日本一のチャンネル登録者数を誇る「B-life」は、バレエ経験を活かしたMarikoさんの完全オリジナルプログラムと、Tomoyaさんが手がける美しい映像が大人気のヨガYouTubeチャンネルです。
前編では、おふたりが出会って「B-life」を創設するまでと、高品質な動画をどうやって提供しているのかをお伺いしました。まずは、やりたかったバレトンより需要の高いヨガに特化することを選択。シネマティック風の動画に、その内容を彷彿とさせる音楽選び。繰り返し見てもらうために、動画構成をパターン化することも重要なのだとか。自らを「こだわりが強いタイプ」と言うTomoyaさんの映像制作は、細部にまでこだわりを見せます。
お話を伺ったのは…
ヨガYouTuber「B-life」
ヨガインストラクターMarikoさん×映像クリエイターTomoyaさん
ヨガインストラクターMarikoさん×映像クリエイターTomoya氏によるヨガ&フィットネスブランド「B-life」。自宅で気軽にできるヨガやエクササイズを通じて、Quality of Lifeや健康寿命を延ばし、多くの人の幸せに貢献することをミッションとしている。2016年に活動開始後、4年間でYouTubeのチャンネル登録者は100万人を超え、現在194万人超。バレエのキャリアを活かした美しく、分かりやすいMarikoさんのインストラクションとTomoyaさんの質の高い映像制作が好評。有料会員制の「B-life Studio」では10名以上の専門講師によるLIVEレッスンが月に20回以上受けられる。
「YouTubeでヨガの集客をしたらいいのでは」とひらめいた!
――まずは、Marikoさんがヨガインストラクターになるまでの経緯を教えていただけますか?
Marikoさん:5年間所属していたバレエ団を退団後、フィットネスジムのインストラクターの仕事に就きました。その中にいろいろなプログラムがあったんですが、ヨガは、太極拳×ヨガ×ピラティスを組み合わせたボディバランスの資格をとる際に学びました。
その後、当時流行っていた岩盤ヨガの施設などからも依頼を受けるようになり、徐々にヨガを教える機会が増えていきました。
――Tomoya さんとMarikoさんはどこで出会ったのですか?
Tomoyaさん:僕が、当時Marikoがインストラクターをしていたフィットネスジムの会員で、Marikoが担当していたボディバランスやバレトンのレッスンによく参加していました。
Marikoさん:レッスンではじめてTomoyaさんを見たときにビビッときたんです(笑)。もちろんTomoyaさんが何をしている人なのかもまったく知らずに。いまふたりでヨガの仕事をしていることが本当に不思議ですね。
Tomoyaさん:僕は、結婚直後に外資系の会社を辞めて、独立して投資の仕事を始めようとしていたんです。自分でいろいろ勉強していく過程で、YouTubeを利用して情報収集することが多く、メチャクチャ便利だなと思っていたんですね。
――それでご自分でもYouTubeをやってみようと?
Tomoyaさん:そうですね。Marikoは妊娠・出産後しばらく仕事を休んでいたんですが、YouTubeでMarikoのヨガの集客をしたらいいんじゃないかというアイディアを思いついたんです。Marikoに何回提案しても、あまりいい返事をもらえずにいたのですが、あきらめずに口説き続けて、やっとOKをもらうことができました。
――Marikoさんは、あまり乗り気ではなかったのですか?
Marikoさん:まったく乗り気じゃなかったです。当時ヨガやフィットネスは100%リアルで、対面じゃないと指導できないでしょくらいに思っていましたから。オンラインでヨガを教えるなんてまったくイメージが湧かなかったんですよね。
Tomoyaさん:当時のMarikoのスマホには、YouTubeやフェイスブックのアプリも入ってなくて、SNSはLINEだけだでした。僕は、海外でヨガを教えている人たちのYouTubeを見ていたので、すでにこんな感じでやりたいなというイメージはあったんですよね。
――Tomoyaさんは、映像の仕事のご経験はあったのですか?
Tomoyaさん:いや、まったくなかったです。手探り状態でイチから独学で学びました。海外のクリエイターの動画を見て、編集ソフトやカメラの種類や使い方、照明はどんなふうにするのか。投資の仕事も始めたばかりで時間はあったので、それをやりながら動画撮影をするという日々を送っていました。
――当時、ヨガ系YouTuberという方たちはすでにいたのでしょうか?
YouTubeで検索すると、欧米には結構いましたが、日本ではほんの数名でした。
再生回数がバレトンの5~10倍にアップした「朝ヨガ」動画
――最初のバズリ動画について教えてください。
Tomoyaさん:5回目に上げた「朝ヨガ」動画が、それまでのバレトン動画の5~10倍くらいまで伸びたんです。そのときに、これはイケるなと思いました。当初、まだまだ再生回数は少なかったのですが、バレトンが数十回だとしたら、ヨガは数百回くらい。その比率のまま伸びていくことを考えれば、やっぱりヨガだなと思いました。
僕は、元々ファイナンシャル・アナリストの仕事をしていたので、数字を見るのは得意なんです。YouTubeにはアナリティクスという機能があるので、どんなユーザーが動画を見ているのかなどデータ分析ができるんですね。それを確認して、あ、これはイケると思いましたね。
――この動画の再生回数が伸びた要因はどこにあったのでしょうか?
Tomoyaさん:単純に、バレトンをやる人よりもヨガ人口のほうが多いということ。それに尽きると思います。
以前からバレトンをやりたがっていたMarikoのモチベーションにも関わるので、その後はバレトンをメインに上げつつ、何回かに一回は需要のあるヨガを上げるという併存スタイルで配信を続けました。ヨガを2~3回上げた時点で、バレトンじゃなくてヨガをやったほうがいいという思いは、確信に変わりましたね。
――その頃は、まだ動画の質が良かったということはないのでしょうか?
Tomoyaさん:いま振り返ると全然よくなかったです。ひとつだけこだわりがあるとしたら、当初から2カメのマルチアングルで撮っていたことです。それが、当時としては革新的だったのかもしれません。
Marikoさん:1台は一眼レフで、もう一台は、出産祝に叔母にもらったハンディカムで撮っていました。あの頃は、近所のマンションの集会所を借りて、いすやテーブルを全部片づけて撮影していたんですよ(笑)。
毎回同じイントロがあって、本編が始まる。そういった連続性が大事
――現在の「B-lifeチャンネル」は、質の高い動画にも定評があるそうですね。
Tomoyaさん:僕は、こだわりが強いタイプなので、細部にまでこだわっています。映像に関しては、カメラの質を徐々に良いものにしていって、シネマティック風に撮ることを心がけています。シャッタースピードやライティング、構図などを意識することで、映画のような雰囲気を作ることができるんです。その動画を彷彿とさせるような音楽選びも重要で、編集の中でいちばん時間を要する作業になっていますね。
始めたばかりの頃は、Marikoのあいさつの仕方にもダメ出ししたり、あいさつの後はこういうヨガ、ヨガの後はこんなことを言ってとか、かなり細かいところまでディレクションしていました。とくにイントロの映像はパターンを決めているので、そのルールに則ることを徹底しています。
なぜパターンを決めているかというと、ヨガは他のエンタメ動画と違って、繰り返し見てもらうことが大事なんです。繰り返し見てもらうためには、毎回違った切り口だと混乱してしまう。だから、毎回同じイントロがあって、本編が始まる。そういった連続性が大事ですね。
「B-lifeチャンネル」が成功した理由は
1.やりたいバレトンより需要の高いヨガに特化。
2.シネマティック風動画やそれを彷彿とさせる音楽選びなど細部にまでこだわった映像制作。
3.繰り返し見てもらうために、動画構成をパターン化する。
後編では、チャンネル登録者数194万人超の圧倒的な数字の理由、会員制有料サービス「B-life Studio」についてお伺いします。
取材・文/永瀬紀子