小さな改善や気遣いを積み重ねることがお客さまの信頼を得るための鍵 ネイリスト・たえみさん
4人の子どもを育てながら長野の自宅でプライベートサロンを経営するたえみさん。前編では2年前にオープンしたサロンの空間のこだわりやブランディングとして世界観を統一したお話を伺いました。後編ではアクセスの便が悪くなっても、単価を上げてもお客さまの8割が付いて来てくれたというたえみさんの人気の秘訣に迫ります。
今回、お話を伺ったのは…
たえみさん
ネイリスト
長野県出身飯田市出身。東京のネイルサロンに勤務していたが、10年前、結婚と妊娠を機に地元の長野に帰る。出産後は美容院に所属したり、独立して間借りをしたりしてネイリストを続ける。2年前、4人目の子どもの出産と自宅を購入したことをきっかけに自宅内にプライベートネイルサロンをープン。新規顧客をストップするほどの人気を獲得している。ネイリスト歴は12年。
小さな気遣いの積み重ねがお客さまの満足度を上げる
――自宅にサロンをオープンして、以前の職場より交通の便が悪くなったとのことでしたが、お客さまは変わらずに来てくださっているのでしょうか?
美容院の一角を間借りしていた頃の8割のお客さまが、今でも足を運んできてくださっています。自宅でのサロンをオープンする前から少しずつお客さまが増えていったので、改めて集客に力を入れることはしませんでした。それでも最初は来ていただけるか不安がありましたね。
――なにか対策はされましたか?
公式LINEでポイントカードを作って、6回に1回10%割引ができる仕組みを作りました。それで遠さをカバーしようと思って。おかげさまで多くの方に来ていただいているので、今はポイントカードの運用はやめています。逆に昨年の11月に値上げをしました。
――値上げをした理由は?
ありがたいことに予約があふれすぎてしまい、自分の時間を削って子供たちとの時間が少なくなったんです。さらにこんなに一生懸命働いているのに売上が少ないなと感じはじめて。お会計の時にワクワクしなくなったら価格のあげどきということをどこかで聞いていたので、決意しました。
ただし単純に値上げをするだけではお客さまに納得していただけないと思うので、先にお話した空間づくりにこだわったり、今まで置いていなかったサンプルをたくさん準備したり、目に見える形でアップグレードすることを心掛けました。
――お客さまの反応はいかがでしたか?
その結果「むしろ今まで安くやってくれてありがとう」とほとんどのお客さまが受け入れてくださって、感謝の気持ちでいっぱいです。来なくなってしまう方も数名いたのですが、その分新規の方が来てくださるので集客は安定しています。
――値上げや場所が変わってもお客さまがついてきてくれる理由はなんだと思いますか?
今まで長い年月を掛けて小さな改善の積み重ねを行ってきたからだと思います。
たとえばお客さまがいらっしゃったときに玄関をきれいにしておくことや、スリッパを2個用意して、お客さま同士が入れ替わりになっても前の方と同じものを履かせないこと、ルームフレグランスはスーパーで買えるものではなく雑貨屋さんでこだわって選ぶなど。
施術に関しては、お客さまにストレスをかけないように甘皮ケアを痛くないように丁寧にすることやデザインのかわいさはもちろん仕上がりの美しさにもこだわるなどを心掛けています。
1つひとつは気づかないささいなことかもしれませんが、それがお客さまの「なんだか居心地がいい、雰囲気がいい」という気持ちにつながるんですよ。
それから私自身定期的にネイルサロンに通うことも欠かせません。実際に自分が通ってみて、「ここ気になったな」というところを自分のサロンでは全部改善するようにしています。私はかなりクレーマー気質なんで空間づくりから接客まで細かいところが気になって(笑)。その「なんか嫌だな」の気持ちが自身のサロンを快適にするのに役立っています。
悩んでいる暇はない!知識と経験を増やし自分を高めることが大切
――自宅サロンを開業するまでに安定した集客を実現していたんですね。それまでもずっと安定していたのですか?
いいえ。安定を感じたのは3、4年くらい前です。長野に帰ってきて10年ほど経ちますが、それまでは正直かなり苦労したときもありました。東京で2年間大手のネイルサロンに勤めていたのですが、毎日多くのお客さまをこなしていく感じだったので、自分ひとりですべてをやるとなると全然勝手が違ったんですよ。新規の方に来ていただいてもなかなか定着しなくて。先ほどお話したように気になる点を徐々に改善していくことで、本当に少しずつお客さまが増えてくれた感じです。
――自分のやるべきことに気づいたきっかけはあったのですか?
リピートされないことに悩みすぎて、私のどこが悪いんだろうとお客さまにまで相談してしまったことがあったんです。そのときにお客さまがすごく困った顔をされていて、「あ、私目の前にいる方を全然大切にできていないな」と思ったのがきっかけです。独立してすぐはパイプ椅子しかないようなところで施術していたこともあり、「こんな場所ですみません」と心のなかで思いながら接客していたんです。でも自信がないネイリストのところなんて行きたくないですよね。
――そこからどのように変わったのですか?
それに気づいてからは積極的にセミナーに参加したり、勉強をしたり悩む前に自分自身を高めることに決めました。さらに私の学んでいる姿をインスタグラムで発信して、こんな知識や技術を提供できますというサロンの魅力をアピール。今では技術にも空間にもきちんと自信をもつことができています。場所や値段が変わっても多くのお客さまが来てくださるのは私が努力して技術を身につけたことを知ってくださているということもあると思います。
高い技術力とお客さまに寄り添った接客がファンを増やす
――ネイリストとしてプライベートサロンを運営するうえで大切にしていることを教えてください。
理想論かもしれませんが、お客さまが1人しかいなくてもその1人を全力で満足させられる施術をすること。そのための技術を身につけることが大切です。その気持ちを持って毎日お客さまに接していれば絶対にそこから多くの方に知っていただけると思います。お客さまが少ないと悲観的になる暇があったら、その方の手を完璧に仕上げるにはこのケアが必要だとか、よりきれいに見せるためにはこの色が必要だって研究をするべきですし、そうしてきたから今があると思っています。
それから絶対にお客さまの味方になることを意識しています。アドバイスや説教をしてほしくて来る方はいませんよね。ネイルサロンは楽しく話したりリラックスするためにくる場所なので、私自身がまずお客さまのファンになって、会うの楽しみだし、来てくれてうれしくなっちゃうという気持ちでお迎えしています。
高い技術力とお客さまといいコミュニケーションを取ること以外に多分近道はないのではないでしょうか。
たえみさんがフリーランスネイリストとして多くのお客さまに支持される3つの理由
1.小さな気遣いや改善を大切にしている
2.ほかのネイルサロンに行って気づきを得る
3.技術力を高めると同時にお客さまのファンであり続ける
長く苦労する期間があった分、その反省を生かしてすてきなサロンを築き上げたたえみさん。今まで培ってきた経験やノウハウを多くのネイリストに伝えるため、今後は講師業も始める予定だと教えてくださいました。自宅でのネイルサロン開業を検討している方はぜひたえみさんのインスタグラムをチェックしてみてくださいね!