エステサロンに保険は必要? おすすめの保険と自サロンに合ったものを選ぶ4つのコツ
自分のエステサロンを開業する際に、店舗の準備や備品の購入、届け出などに追われて、保険への加入が後回しになっていませんか。サロンの規模や提供する施術の種類を問わず、リスク管理のために適切な保険を選んで加入することが重要です。
エステサロンの保険の必要性と、自分のエステサロンに合った保険の選び方についてご紹介します。
エステサロンに保険は必要? 起こりやすいトラブルとは?
エステサロンでは、お客様の身体に直接触れて施術をするため、気をつけていても事故やトラブルが発生する可能性があります。このようなエステサロンでの賠償リスクに備える方法のひとつが、エステサロンの保険に加入することです。
エステサロンで起こりやすいトラブルの具体的な内容と、エステサロンが保険に加入する必要性について解説します。
エステサロンで起こりやすいトラブルとは? スムーズな解決を目指すコツ
1. 施術トラブル|火傷や捻挫など
施術中のトラブルとして挙げられるのが、施術による火傷や捻挫です。脱毛や痩身などの施術で、熱やレザーを用いる場合は、火傷のリスクがあると考えられます。
捻挫はリラクゼーションのための施術や痩身の施術で起こりやすく、とくに捻挫のリスクが高いのは、関節周辺への施術です。
エステティシャンが操作ミスをしてトラブルとなる場合もありますが、肌のコンディションや体調によって、いつもと同じ施術を行っても火傷や捻挫などにつながってしまう場合もあります。
2. 物販トラブル|肌荒れや体調不良など
エステサロンでは、スキンケア化粧品やオイル、サプリメントなどの物販を行っている場合が多くあります。サロンによっては、家庭用の美容機器のレンタルなどを行っているかもしれません。
施術で使用した商品によるトラブルもありますが、物販ではエステティシャンの目の届かない自宅でお客様が使用するため、充分な説明が必要です。販売した商品やレンタルした危機による肌荒れや体調不良などがあった場合には、使用を中断し医療機関を受診するよう説明します。
3. 盗難・破損トラブル|貴重品の盗難など
エステサロンに限らず不特定多数のお客様が出入りする店舗では、盗難のリスクがあります。また、移動時の置き忘れや、施術中にお預かりした荷物の破損や紛失、さらに、施術中に衣類などを汚してしまう可能性も。
お客様の貴重品はできるだけ身に着けていてもらうのが安全ですが、お預かりしなければならない場合には鍵のついたロッカーを用意したり、移動時にお忘れ物がないかの確認が必要です。
4 設備トラブル|火災や水漏れなど
エステサロンでは、火災の原因になる熱や光を使った施術があり、衛生管理のための洗浄などで日常的に水を使います。そのため、設備トラブルにより火災や水漏れが発生してしまう危険性をつねに考えておかなければなりません。
また、他テナントや周辺建物から延焼する場合もあります。
とくに賃貸物件の店舗の場合には原状回復義務があるため、充分な金額が補償される保険に入っておくことが大切です。
エステサロンにおすすめの保険とは?
エステサロン経営するうえで、幅広いリスクに備えるために適切な保険を選んで加入することが重要です。
施術中の事故やトラブルによって、お客様に損害を与えた賠償責任を負った際に、賠償金の支払いや弁護士費用などをカバーしてくれるのが、賠償責任保険です。賠償責任保険にはいくつかの種類があります。
天災に関する保険とあわせて、とくにエステサロンにおすすめな保険をみていきましょう。
1. 施設賠償責任保険
施設賠償責任保険は、エステサロンなどの施設において、お客様や第三者が事故やケガを負った場合の賠償責任をカバーします。お客様が転倒した際の損害から、施術機器の故障による事故まで対応可能です。
施設や設備の管理だけではなく、仕事中に従業員が人にケガを負わせたり、物を破損したりした場合が含まれますので、広範囲のリスクを補償してくれます。施設賠償責任保険は、エステサロンに限らず幅広い業種で加入の必要がある重要な保険です。
2. 受託者賠償責任保険
受託者賠償責任保険は、エステサロンでの施術中にお客様からお預かりした荷物などの破損や紛失などをカバーする保険です。一時的に受託した荷物などを保管している時のトラブルが対象ですが、保険会社によって対象となる範囲が異なります。
一般的には、「破損」「汚損」「紛失」「盗難」のすべて、またはいずれかが対象になり、お預かりした荷物を、なにものかにだまし取られた場合を含むこともあります。補償される額の上限もありますので、加入前の確認が必要です。
3. 生産物賠償責任保険|PL保険
生産物賠償責任法(PL法)に対応するのが、生産物賠償責任保険(PL保険)です。生産物賠償責任法(PL法)は、販売する商品やレンタルする機器などにより損害を受けた場合に、製造者や販売者に損害賠償責任があることを定めた法律。
化粧品やサプリメントなどの物販や機器の貸し出しをするエステサロンも対象です。お客様が化粧品でかぶれたり、サプリメントで体調不良を起こしたりするトラブルや、美顔器などの美容機器によるトラブルに対応し、製品の不具合や安全性の問題に対するリスクを軽減します。
4. 火災保険・地震保険
エステサロンの建物で火災や地震、落雷、風水害などの被害を受けた際に役立つのが火災保険です。自宅サロンの場合でも、個人向けの火災保険に加えて、事業者専用の火災保険を検討しましょう。賃貸の店舗の場合には、原状回復のために求められる賠償もカバーする「借家人賠償責任補償特約」が必要です。
エステサロンで火災保険へ加入する際には、ビルや施設の損害、什器・備品の修理・復旧費用をカバーできるだけでなく休業補償などがある事業活動総合保険もあります。
自分のお店に合った保険を選ぶ4つのコツ
エステサロンを経営者する際には、リスクを充分にカバーできる適切な保険を選んで加入することが大切です。自分のエステサロンに合った保険を選ぶ際に、なにを基準にすればよいか迷ってしまうこともあるかもしれませんね。
エステサロン保険選びの参考になるエステサロンの特性に合わせた保険の実例と、エステサロンの保険を選ぶ際にチェックしたいポイントについて説明します。
1. エステに特化した保険を選ぶ
エステサロン経営者は、専門的な業種であるため、エステに特化した保険も検討しなければなりません。自分で必要な保険を選んで加入するのは難しいと感じている方のために、業界団体のパッケージ保険もあります。エステサロンに特化した、2つの保険をご紹介します。
一般社団法人 日本治療協会|エステティシャン賠償責任保険
一般社団法人 日本治療協会はエステティシャンを対象にした「エステティシャン賠償責任保険」を提供しています。この保険は、施術中にお客様にケガを負わせてしまったり、事故が発生したりした場合の賠償責任の保険です。
医療行為を除く、施術機器の操作ミスによる火傷や、施術中の転倒によるケガなどのトラブルに対応します。エステティシャンの専門性を理解した補償内容です。
一般社団法人 日本医療・美容研究協会|JMB保険制度
一般社団法人 日本医療・美容研究協会は、美容関連の事業者を対象にした「JMB保険制度」を提供しています。この制度に、エステサロン経営者が加入すると、施術や美容サービスに関連するトラブル全般に対応してもらえます。
施設賠償と生産物賠償、受託者賠償のパッケージ保険であり、施術ミスによるケガやトラブル、顧客からのクレーム、製品の不具合による損害などをカバーできます。オプションで火災補償をつけることも可能です。
2. 保険の対象となる行為をチェックする
エステサロンを経営していく際には、施術はもちろん、物販や施設運営などさまざまな要素に目を配っていかなければなりません。
保険を選ぶ際には、施術中のトラブルや製品の問題、施設の事故など、自分のエステサロンで提供しているサービスがカバーされているかを確認することが大切です。エステサロンに特化した保険制度を選ぶことで、リスクをより的確にカバーできます。
3. サロンの規模に合わせる
エステサロンの規模や事業内容によって必要な保険の範囲は異なります。小規模なサロンや細分化された施術内容のサロンでは、必要な補償が異なることがありますので、自サロンの状況に合った保険を検討することが必要です。
自分のエステサロンの現状だけでなく、将来的に目指したい成長や事業拡大の方向性を見据えて保険を選ぶことも重要です。
4. 保険料を確かめる
手厚い補償があれば安心ではありますが、定期的に支払う保険料は経営に直接影響を及ぼします。保険の内容や補償範囲、保険金額によって必要な保険料は異なりますので、複数の保険会社を比較するのがおすすめです。
同時に安価な保険料だけを重視してしまうと、後で後悔することになりかねません。適切な補償を備えた保険を選ぶことが大切です。
万が一に備えて保険は必要! 自サロンに合ったものを選ぼう
エステサロンは、施術や物販によるケガやトラブルのほかに、預かった荷物の破損や紛失、水漏れや火災などのリスクを抱えています。賠償責任が生じると、場合によっては賠償額が高額になり、経営不振に陥ってしまうかもしれません。
エステサロンで起こりやすいトラブルに合わせた保険もありますので、自分のエステサロンの規模や施術内容に合わせた保険を選んで加入するのが大切です。