アパレル販売員から28歳でネイリストに！私を支えてくれたお客様の存在【フリーランスネイリスト 平井彩香さん】#1
フリーランスのネイリストとして活躍する平井彩香さんがこの道を志したのは、26歳のとき。当時アパレルの販売員だった平井さんは、ネイルスクールに通い、その後サロンでの勤務を経験。現在は独立し、明るい人柄と親しみやすさでリピーターのお客様を獲得しています。
前編では、平井さんがネイリストを目指すことになったきっかけや、独立するまでの経緯についてお話ししていただきます。
教えてくれたのは…
ネイリスト・平井彩香さん
服飾の専門学校を卒業後、アパレル企業の販売員として就職。26歳でネイリストを目指し始め、28歳のときに池袋のサロンでデビュー。その後銀座のサロンに勤務しながら、シェアサロン「GO TODAY SHAiRE SALON」でも活動し、2022年からはフリーランスのネイリストとして活躍している。
アパレル販売員を経て、28歳でネイリストになるまで
――現在は独立している平井さんですが、ネイリストを目指すようになったきっかけを教えてください。
学生時代は服飾の専門学校に通っていて、技術職よりも販売の方が自分には向いていたので、卒業後は販売職につきました。
仕事をしていくうちに、自分は短時間の複数接客よりも、長時間ひとりのお客様について丁寧に接客するほうが向いていることに気づいたんです。それとスタッフの送別会がある度に色紙を描いていたら、みんなからも好評で絵を描く仕事もしてみたいなと思うようになりました。そう思っていたら、たまたま友人がネイリストになるためにスクールに通い始めたので、モデルとしてネイルをしてもらっていたときに「これだ！」と思ったんです。
最初は趣味程度で、自分のネイルができたらいいなっていう感じで始めて。それから友人に検定を受けてみればと勧められて、せっかくなら1級まで取りたいと思い、26歳でネイルスクールに通い始めました。
――アパレルの販売員として働きながらネイルスクールにも通い、その後ネイリストとしてデビューしたのですね。
そうですね。だんだん検定とアパレルのスケジュールを組むのが難しくなってきたので、本格的にネイリストとしていけるかもと思ったタイミングでアパレルの仕事をやめて、融通の利く仕事に変えました。
正直なところ、ネイリストを目指したのも遅かったですし、サロンに就職しても自分よりも年下の人が上司になる。そう考えると職場や業界に溶け込めるのかなという不安がありました。でも1級に受かった後にご縁があり、28歳で池袋のサロンに勤務することになったのですが、そこはたまたま同年代の方が多くて職場環境もとても良かったので働きやすかったですね。
――サロン勤務を始めたときに心がけていたことを教えてください。
新人の頃のあるあるだと思うんですけど、自分には無理だとわかっていても「やります」「できます」って言ってしまう癖があって。このままだとお客様からの信頼につながらないと気づいてからは、自分がどこまでできるかを把握して、できないことは無理にやらないと心がけるようにしました。
それからは、お客様に毎回「できません」って言うのが申し訳なくなって…。それもあってさらに練習に力を入れたので、今では割と何でもできるようになったと思います。
独立への不安を払拭するため、練習を続ける日々
――サロン勤務を経て、そこから独立を決意した理由は？
お客様のために施術しているはずなのに、いつの間に「お店や上司に評価されよう」と頑張ってたことに気づいて。私は「お客様からの評価」が欲しいと思ったので、独立することにしました。
といっても時間内に施術を終わらせられない状態で独立したので、これはまずいと思って集客用アプリでお客様を取って練習することにしたんです。全部2時間のメニューで「時間内に終わらない可能性もあります」と注意書きをして、隙間なく予約を埋めました。
次から次へとお客様が来るようにしていたので、最初の頃は15分〜20分待たせてしまう人もいて。その度謝っていたんですが、次はもう謝りたくないから頑張るという形で自分に発破をかけてましたね。
――自ら不安を払拭してきた平井さんですが、そのほかに心配なことはありましたか？
技術面や接客面でもまだまだだと思っていたので、お客様がつかなかったらどうしようという不安がありました。当時は銀座のサロンで働きながら、自宅にもモデルさんを呼んでネイルをしていたんですけど、お客様に「これならいけるよ」っていってもらえたんです。それにこれまで持ち込みのデザインをしてもらえるのが当たり前だと思っていたのですが、そういったサロンが少ないと聞いたので、そこでもなんとなく「いけるかも」と思いました。
それから友達がたくさんいる子が、ネイルをInstagramに投稿するときに私のアカウントをメンションしてくれて。それがきっかけで口コミで広がって、休みの日も1日5人ネイルをするほどお客様がつきました。そこで不安な気持ちはなくなったし、これだけ周りの方に「いけるよ」と応援してもらえたので、「よし！独立しよう」と思えましたね。
今思い返すとこのときが人生の転機だったと思います。
――サロンで働きながらも、自宅でもたくさん練習していたのですね。
池袋のサロンで働いているときから、自宅での練習はずっと続けてきました。週5サロン勤務で、週2の休みの日はずっと自宅で練習するみたいな。当時はまだスカルプのメニューに入れてもらえなくて、それが本当に悔しくて…。だから自分から「できます！」って言うために練習して、できなかったところはまたモデルさんの手を借りて練習して…の繰り返しでした。
お客様が心地いいと感じられる場所を目指して
――独立してから大切にしてきたこと、何か意識してきたことは？
ブレない技術を持ち続けるということですかね。この人に任せたら間違いがないって思ってもらえるように、現状に満足せずエアブラシなどの技術の習得などもしています。
それに加えて、接客面ではお客様全員に同じ態度で接するようにしています。芸能をやっている子でも、昔からの友達でも、年齢に関係なく全員一緒。特別扱いはしません。
それとお客様を不快にさせないように、言葉選びにも気をつけています。最初は喋りたいことをそのまま口にしていたんですけど、それも一つの仕事だなと思って。少なくとも2時間というとても大切な時間をいただくので、お客様に対してかける言葉もすごく勉強しましたね。
お客様との信頼関係を築き上げ、独立してからも挑戦し続ける気持ちを忘れない平井さん。
後編では、リピーターのお客様を多く抱える平井さんに「集客方法と接客術」について伺います。
取材・文／菊地菜々
写真／SHOHEI
