日本初の「整体エステ」で、33年サロンを安定経営【整体エステGAIA代表 南雅子さん】#1
美容業界で50年以上活躍を続ける「整体エステ GAIA」代表の南雅子さん。日本で初めてエステに整体カイロを取り入れた『整体エステ』を生み出し、サロンに通い続けるのではなく自らボディ調整ができるメソッドを提唱し続けています。
前編では、南さんのこれまでの道のりと、南さんが提唱している整体エステについて教えていただきます。
お話を伺ったのは…
「整体エステGAIA」主宰 南雅子さんラク
エステティシャンとして20年活躍後、カイロプラクティック・整体師の資格を取得。整体、カイロプラクティックの技術を取り入れ、整体エステボディ調整を開発。1990年「整体エステGAIA」を開業し、2011年より整体エステ協会を設立してスクールを開校。著書『股関節ハッピーダイエット』『すべては股関節からはじまる』『股関節ストレッチ』『骨から小顔』等。23年9月、42冊目となる『死ぬまで寝たきりにならない ごろ寝整体』を刊行。
美容学校入学からトータルビューティサロンの世界へ
より結果を出すため人体の真理を学ぶ
――美容業界に入ったきっかけと、これまでの道のりを教えてください。
昔から美容が好きだったので進路を決めた時点で美容家・山野愛子に憧れ、まっすぐ美容業界に進みました。卒業後に入ったサロンはトータル美容サロンで、2階がヘアサロン、1階にはブランド商品販売とエステサロンが併設されていて、私はどちらも好きだったので両方で活動しました。そこで6年ほど働き、退職後に結婚。その後、26歳で恵比寿にサロンを開業しました。
2階でメイクアップ&エステティックサロン、1階でヘアサロンという形態のサロンでした。少し手狭になったタイミングで、移転と同時にサロンの名前を「GAIA」に変えました。
それから少しして本格的にボディの研究をしたくなったので、既存のサロン2店舗は店長に任せて、新しくボディサロンとして「整体エステGAIA」をスタートしたんです。
――整体エステを始めたきっかけは?
エステでの施術でキレイになるのに限界を感じたんです。そこで、骨格を学びなおすところから、もう一度やろうと思いました。カイロプラクティックやオステオパシー、整体などの技術を取り入れて実験し始めたんです。
すると驚くほど結果が出るようになって、施術前後で変化が感じられるようになり、それがおもしろくてボディケアにのめり込んでいきました。それからボディの施術が楽しくなってしまって(笑)。ボディサロンを広い場所に移し、既存のエステのお客様を全部スタッフに任せて、私はボディに専念するようになりました。
それまでのエステは美肌やリラクゼーションが中心。でも、心から満足できるものが私には必要だったのです。ボディを始めたら、顧客を振り切るほどの情熱が生まれたし、エステのお客様を施術する時間がなくなるぐらい、忙しくなったんです。
体質や遺伝とあきらめていたボディの悩みを
健康を整えることで改善し美しいボディへ導く
――改めて、南さんが作り出した整体エステについて教えてください。
整体エステは、肌はエステの技術をベースに、整体、カイロ、オステオパシーなどからいいところを取り込みながら作り上げた、骨格からじっくり変えていくボディ調整のオリジナルプログラムです。私の施術はヘアサロン時代から「素材から変える」というのがテーマにあったんですが、ボディも同じで、骨格に着目して素材から整えれば変わることに気づいたんです。
整体やカイロ、痩身エステなんかもそうですが、施術を受けてから数日したら元に戻ってしまう。それが私はすごくイヤなんです。だから整体エステでは、施術でキレイにかたちを整えて、それを維持するためのエクササイズなどもお伝えしています。施術を受けたら何年も来なくてよくて、本当に変形したときだけ来る、というエステにしたかったのですね。
何度も来店してもらうのではなく、しっかり仕上げて、戻らない方法を教えて、リバウンドしないように努力してもらう、というのが整体エステの基本です。
――当時のエステティック業界では新しい考えだったのではないでしょうか。
そうですね。想像以上の変化が出せたので、すごく好評いただきました。でも当たり前なんですよね、その人ひとりを集中して教えるわけですから。体型は生まれつきではなく、変えられるというのは、今では多くの方に伝わっています。その分、さまざまな情報が飛び交っているけれど、本当に体のかたちが変わるものは少ないですよね。それが整体エステでは、3カ月で結果を出すことができた。だから多くの方に伝わっていったんだと思います。
――エステ業界だと、通ってもらうことを重視するサロンも多いですが…。
そういうのはないですね。私も整体やマッサージに行きますが、また来てくださいと何度も言われるのがイヤで。忙しくて通えないし、結果的によくならない。それは私がお客様だったらイヤだし、違うなと思うんです。
それと同様に、手を変え品を変え言葉を変えて、いろんなブームを作って、冷めたら誰も責任をとらない…という美容業界が、本当に好きではないんです。もちろん美の流行は変わります。四角い顔から丸い顔が好まれるようになったり、洋服が広がったり狭くなったり。でも宇宙の真理というのは変わらない。重力や力学、呼吸など、地球に住んでいる人間すべてが影響を受けているものは、流行とは全く関係がないんです。
GAIAの整体エステは、そんな宇宙の真理や動物の進化の過程などを考え方の基本にしています。だからずっと変わらないんです。人間が美容を求めたら健康になった。健康=美容が真理。それが元になっているので、GAIAは今まで続いてきたんだと思います。もちろんお客様とは長く付き合いたいんですが、私の場合は量産しない、だから全国展開もしないと決めています。
整体エステの理論を広めるため
42冊の著書を出版し続ける
――1店舗で長く続けてきたGAIAですが、南さんは著書がたくさんあります。本を書き出したきっかけは?
本を書き始めたのは平成17年、GAIAができてから15年ほど経ってからでした。それまでは理論などの露出はしていなかったんですが、自分の年齢もありますし全国展開をしないと決めていたこともあり、「サロンだけで成立するのではなく世間に広めてもいいか」という気持ちになったんです。
ただGAIAの考え方は理論としては地味ですし、社会的に当然とされている理論と違うことも言っていて、世の中の流れに反しているので、表現するのが難しいんです。だから優しく優しく、じっくりと伝え続けてきて、ついに42冊になりました。
――それ以前からも雑誌での取材などは多かったそうですね。メディアに出るようになったきっかけはありますか?
GAIAの前のサロン時代から取材していただくことは多かったので、恵比寿という場所もよかったんじゃないかと思います。そのおかげか、ステキなお客様たちにも恵まれました。
新しいもの、めずらしいものを求めがちな業界で、多くのメディアにも長期間次々とご紹介いただき本当にありがたいです。
次回後編では、美容のお仕事の魅力や経営面のお話、これから美容業界を目指す方へのアドバイスをお聞きします。
取材・文:山本二季