施術時間をフルに使った「カウンセリング」で口コミ5.0を実現「chiffon」関りささん
「アイリストがお客さまに満足してもらうためには、眉の仕上がりイメージが共有しづらいことを乗り越える必要があると思います」。そう語るのは赤坂にまつげと眉の専門店「chiffon」を構えるアイリストの関りささん。平行眉、アーチ眉など眉のスタイルを表す言葉はありますが、雰囲気を共有できる言葉が少ないために、仕上がりに違和感が生まれやすいといいます。
それを解決するために関さんが編み出したのが、施術とカウンセリングをわけず、施術しながらお客さまの情報を集め、理想の形を確認していく方法。集客サイトの口コミは満点の5.0となり、開業からすぐに新規受付を停止するほどの人気サロンとなったそうです。
今回、お話を伺ったのは…
関りささん
アイリスト/「chiffon」オーナー
美容専門学校卒業後、都内1店舗を経て、2021年2月に独立。赤坂に完全個室のまつげと眉の専門店「chiffon」を開く。開業後まもなく、集客サイトの口コミは満点の5.0、新規受付を終了するほど人気のサロンとなる。現在は2号店出店に向け、人材採用にも力を入れている。
情報を1つでも多く収集。見ている映画でも「理想の眉」はつかめる
――集客サイトの口コミで、満点である5.0を達成されています。どのようにして実現されているのでしょうか?
私が一番大切にしているのは、お客さまが理想の眉やまつげになり満足していただくことで、それを実現するためにカウンセリングに力を入れています。一般的にはカウンセリングと施術をわけて行われますが、私の場合は2つの時間をわけず、施術をしながらずっとカウンセリングをしています。なぜかというと、眉毛の仕上がりの雰囲気を表現する言葉は、「柔らかい眉」、「大人っぽい眉」など、あまりはっきりしたものがなく、お客さまと施術者の間で完成イメージのずれが起きやすいと思うんです。
――完成のイメージのずれ、ですか?
たとえば「柔らかい眉」という言葉。その方にとっては柔らかい眉だとしても、アイリストのイメージとは異なる場合があります。一例ですが、洋画をよく見て、バリバリ仕事をしている方の「柔らかい眉」は、幅広い「柔らかさ」のなかでは若干きりっとしたイメージも含んでいるかもしれない。そこで何度も施術していて好みを把握しているお客さまを除いて、最初に方向性をある程度決めるだけにしています。施術をしながら趣味、ライフスタイル、お仕事、最近見た映画、メイク時間などをお聞きし、細かく確認しながら、その方が理想とする眉を探っていくんです。
――メイク時間を聞くのはなぜですか?
メイク時間をあまりかけない方には、すっきりし過ぎないナチュラルな仕上がりに、メイク時間をかける方にはパウダーやペンシルをのせた際に重くならないように、毛量を調整します。またメイク時間によって、その方の生活背景が見えるというメリットも。お仕事メインの生活なのか子育てメインなのかが、メイク時間で分かることが多いです。
スマホとパソコンで情報を二度整理。お客さまをより深く知る
――ほかにもカウンセリングで心がけていることはありますか?
最初に「こういう眉にします」と宣言しないことも、満足度をあげる上ではとても重要だと思います。最初にお伝えしてしまうと、お客さまは施術途中で違和感が出ても言いづらいと思うんです。なので細かく確認しながら、途中でも変更できるようにしています。
――それで、理想の眉ができると。
ただ、とくに新規のお客さまの場合は、最初から理想を完全に把握をするのはなかなか難しいと思っています。そこで雑談で聞いたお話を、自分のなかでもう一度整理してお客さまの好みや求めているものを理解し、2回目の来店で完璧に把握できている状態を作るようにしています。たとえば最初は柔らかいイメージだった方でも、お話を整理していくと実はすごく芯が強い一面に気づく、というようなこともあるので。
――整理とはどのように行うのですか?
お客さまがお帰りになったあと次のお客さまがいらっしゃるまでの間で、スマホにメモのように書き出しておいて、その日のうちにメモを見ながらパソコンでまとめるようにしています。お客さまはメモをされていると思ったら嫌かもしれないし、話しづらくなってしまうので、あまり言いたくないのですが(笑)。もちろん個人情報の取り扱いには注意しています。
――お客さまから情報をより引き出すために、心がけていることはありますか?
柔らかく聞くことです。アイリストの施術はどうしてもお顔に近くなってしまうので、圧がないように心がけています。たくさんの情報が得られるとありがたいのですが、「お仕事は?」、「趣味は?」など質問攻めにして、プライベートな領域にずかずかと入っていかない。あくまで世間話を楽しみながら、結果的に情報が集まるというのが理想だと思っています。
無茶振りこそ、自分を成長させる
――技術面では、どんなことを心がけてきましたか?
無茶振りにも応えることです。できる、できないをはっきり線引きしているサロンさんも多いと思うのですが、その境目をあまり作らないようにしていて。お客さまの要望はお店をよくすることにつながると思うので、シャットアウトしたくない気持ちがあります。そうすることでお客さまも要望を聞いてもらえるという安心感につながると思いますし、自分の成長にもつながるのではないかと考えています。
――具体的にお客さまの要望で実現した施術はありますか?
眉のカラーです。元々、眉のカラーをメニューにするつもりはなかったのですが、あるお客さまから「眉をピンクにしたい」と言われて。小さな面積しかない眉の色をだしていくのは難しいですし、失敗したときのクレームが怖い気持ちも正直ありました。でもクレームを出さないという気持ちで施術をすることが、自分を大きく成長させると思っているので、思い切って導入することにしたんです。結果、今年の春はピンクの眉カラーのお客さまがとても増えて。眉の色を明るくするとお顔の血色もよく見えるのでとても好評でした。どなたか1人のご要望は、ほかのお客さまのご要望でもあるということも実感した出来事でした。
関さんが口コミで高評価を得ている、3つの理由
1.カウンセリングと施術の時間をわけず、施術しながら情報を集める
2.集めた情報を反すうし、2回目以降の施術で完璧にできるようにする
3.無茶振りを、サロンと自分の成長機会だと捉える
後編では、関さんの独立のきっかけやどのように経営を軌道にのせたかについて伺います。前職では店長を務めていましたが、後輩の指導や管理が苦手で、1人サロンの形態で独立を決めたそうです。また開業当時に行っていた、インスタグラムに頼らない地道な広報活動についても伺いました。後編もお楽しみに!