店長職が苦手でも自分らしくアイリストを続けるため、1人サロンで独立「chiffon」関りささん
2021年に独立し、赤坂にまつげと眉の専門店「chiffon」を開いた関りささん。前編では集客サイトで口コミ5.0と高評価を得ている関さんが、とくに力を入れているカウンセリングについてお聞きしました。
後編では、関さんの独立のきっかけやどのように経営を軌道にのせたかについて伺います。前職では店長を務めていましたが、後輩の指導や管理が苦手で、1人サロンの形態で独立を決めたそうです。また開業当時に行っていた、インスタグラムに頼らない地道な広報活動についても伺いました。
今回、お話を伺ったのは…
関りささん
アイリスト/「chiffon」オーナー
美容専門学校卒業後、都内1店舗を経て、2021年2月に独立。赤坂に完全個室のまつげと眉の専門店「chiffon」を開く。開業後まもなく、集客サイトの口コミは満点の5.0、新規受付を終了するほど人気のサロンとなる。現在は2号店出店に向け、人材採用にも力を入れている。
お客さまに集中できる1人サロンの経営
――2年前に独立されたとのことですが、どのようなことがきっかけだったのでしょうか?
以前に勤めていたサロンで店長になってから、後輩のスタッフに指示を出してまとめていくのが、自分にとっては苦手でしっくりきていない部分がありました。そのスタッフがやりたくないことでも会社の指示で言わなくてはいけないこともあり・・・。私は「やりたくないことは、やらなくていい」というタイプなので(笑)、モヤモヤしてしまって。あとは会社のなかで、下の立場も、上の立場も経験し、やったことがないのは独立だけだと思ったんです。
思い切って独立を決めましたが、1人でサロンを経営するこの形態が私にはとてもあっていて。経営者としての仕事は増えましたが、それを差し引いてもお客さまに集中できるし、自分でやりたいことが決められる。独立して本当によかったと思っています。
――集客はどのようにされたのでしょうか?
物件を決めてからすぐに取り組んだのが、この周辺のお店に行き「この近くにお店を出します。ご協力をよろしくお願いします」と頭を下げてまわることでした。ただお店を作ると伝えるより、ご協力をお願いしたことが印象に残っていたようで、実際に何度か新規のお客さまをご紹介していただくことができました。
あとは地域柄、意外に思われるのですが、ポスティングチラシも効果が高かったです。地道に広報活動を続けた結果、新規、紹介と徐々にお客さまが増えていきました。
――集客にインスタグラムなどSNSは活用されましたか?
私にはインスタグラムが向いていないと思ったので、一切やっていませんでした。向いていない一番の理由は、注目してもらうために個性を出したり、自分のキラキラした部分、良い面を出していかなければならないことが苦手で。また投稿後の反応が気になってしまったり、広告などの受動的な情報も入ってきたりしてスマホばかり見てしまうので、時間を無駄にしていると感じたんです。いろいろと疲れていまい、インスタグラムを使うのはやめました。
時間を大切にするお客さまのニーズに応えるため7時開店に
――では、SNSは一切やられていないのですか?
今、唯一発信に使っているのがYouTubeですが、目的は集客ではなく求人です。2号店の出店に向けて、人を募集しているところで。インスタグラムと違って発信することだけに専念でき、自分のやりたいことに集中できるのが利点です。また自分の人柄、サロンの雰囲気が伝わりやすいので、想いに共感してくれた方に応募してもらえればミスマッチも起こりにくいと思いました。
ちなみに、2号店といっても一緒に働いていく形ではなく、私が休みのときにここで施術をしてもらったり、2号店の物件が見つかり次第、2号店で働いてくださる方を探しています。あくまで私には1人サロンがあっていると思うので、その形は続けていきます。
――営業時間の開始を7時にされた理由は?
以前所属していたサロンでも赤坂周辺で勤務していたことがあり、この地域で働いているお客さまは経営者の方やバリバリとお仕事をされている方も多く、時間を大切にされている方が多い印象でした。実際お客さまから「夜遅くにやっているサロンはあるけど、朝早いところがない」と聞いたこともあって、早朝のニーズがあるのではないかと思ったんです。開業当時は6時に設定していたのですが、さすがにそれは早すぎて起きられないという方が多かったので(笑)、途中から7時に変更しました。まつげと眉毛のセットのメニューで1時間45分くらいなので、9時前にはお店を出ることができます。
お客さまが輝く瞬間をサポートできる、アイリストという仕事
――アイリストという仕事の魅力は、どんなところにあると思われますか?
輝いている方のそばにいられることですね。主役はお客さまで裏方にいるのがアイリスト。お仕事や家事、子育て、趣味などその方が輝く瞬間をサポートできるのが魅力だと思っています。またアイリストはお顔という人間の表面の部分に施術をする仕事ですが、お客さまと話す時間も多いので、内面的な女性の強さやしなやかさ、魅力を感じて、刺激をもらえる仕事だとも思います。
これはちょっと個人的な話になりますが、私の人生のなかで初めてほめられたのがアイリストの仕事を始めたときでした。それまでは勉強も運動も苦手でほめられた経験がなかったので、うれしいのと同時にこの仕事を失うのが怖いと思ったくらい(笑)。今でもアイリストの仕事は大好きです。
――最後に今後の目標を教えてください。
2号店出店に向けて、人を雇うというのが当面の目標です。実は2022年7月に2号店を開き、あるアイリストさんにお任せしていたのですが、いろいろな事情が重なり半年で閉店することになってしまいました。お互いにとっていい道を探った結果で、今でもその方のことは応援しているのですが、そのときの反省を活かし、2号店を軌道に乗せたいと思っています。私のように1人サロンがあっている、会社に所属するより輝けるアイリストさんも多いと思うので、そんな方たちの活躍の場を増やしていけたらと思っています。
関さんが独立を成功させた3つの要因
1.スタッフの指導や管理が必要なく施術に集中できる、1人サロンの形態で独立した
2.自分に合わないインスタは使わず、地道な広報活動に力を入れた
3.お客さまが輝く瞬間をサポートする裏方という思いで、仕事に取り組んでいる
関さんのお話を聞いていて驚いたのが、施術、経営、広報など自分に合う方法を徹底的に探し、見つけていること。それは心からお客さまに喜んでもらいたいという思いがあり、行動しているからこそ確立できたのだと感じました。アイリストとしてもっと活躍したい方は参考にしてみてくださいね。