美容業界の市場規模を紹介! トレンドや傾向・課題とは
美容師は、お客様の髪を整え美しくするだけでなく、清潔な生活を支える重要な職業でもあります。衛生という観点が根底から覆されない限り、美容師という職業がなくなることはないでしょう。
しかし、感染症の流行で経済が停滞したここ数年、美容室の市場規模は減少傾向にありました。
働く美容室がなくなれば厳しい立場におかれることから、美容師にとって、美容業界の市場規模は非常に気にかかるでしょう。
そこで今回は、美容業界の市場規模や美容室の動向・トレンド・今後の展望などについて紹介します。
美容業界(美容室)の市場規模はどれくらい?
ホットペッパービューティーアカデミーが発表しているデータによると、美容室の2024年上期の市場規模は約1兆3,500億円。理容室は約2,760億円、エステサロンは約3,950億円、ネイルサロンは1,400億円で、美容系全体では約2兆6,500億円となっており、美容室は美容系の市場の中で半分以上を占める、もっとも大きな市場であることがわかります。
2020年に感染症の流行で低迷していたものの、徐々に回復の傾向です。それでは、美容室の規模がわかるデータをもう少し詳しく見ていきましょう。
引用元
ホットペッパービューティーアカデミー|数字で見る美容業界
美容室の数
令和5年度の衛生行政報告例によると、美容室の数は27万4,070軒、理容室の数は11万0,297軒となっています。美容室の新規オープンの数は4,181軒となっており、総数・新規開店数ともに前年比アップという結果に。
美容師の数
令和5年度の衛生行政報告例によると、美容師の数は57万9,768人、理容師の数は19万9,467人です。また、令和5年度の美容師免許の新規登録者数は1万8,329人、理容師免許の新規登録者数は1,515人となっています。
引用元
厚生労働省|統計表一覧
公益財団法人 理容師美容師試験研修センター|新規免許登録件数
美容室全体のトレンドや傾向は?
ここからは、美容室のトレンドやお客様の傾向など、美容室業界の動向をチェックしていきましょう。
引用元
ホットペッパービューティーアカデミー|美容センサス データブック
利用回数は微減も、一回あたりの金額は微増
ホットペッパービューティーアカデミーの調査によると、2024年の女性全体のサロン利用回数の平均は、4.31回。前年の4.36回と比較すると、微減しています。
一方で、一回あたりの利用料金の平均は、7,482円。前年は7,293円なので、微増傾向にあります。
男性の美容室客単価が過去最高
男性の美容室利用者も年々増えてきており、一人あたりの平均利用金額は2023年に引き続き、過去最高を更新しています。全体では前年比0.6%の増加。とくに大きな増加を見せたのは30代で、前年比6.9%の増加です。
カラーの利用率は女性で微減、男性は微増
近年、明るいカラーリングの流行で、カラーの利用率は増加傾向にありましたが、2024年ではわずかに減少の傾向です。女性全体のカラー利用率は1.1%の減少、年代別では15~19歳の減少幅がもっとも大きく、7.7%の減少となっています。
一方で、男性は全体的には微増しており、カラーは2.2%の増加で、インナーカラーや白髪染めのニーズがより高まってきていることがうかがえます。
男女とも店販商品の年間購入率が増加
女性の店販商品の購入率は男女ともに増加しており、過去1年の店販購入経験は男性で2.7%、女性で1.6%の増加を見せました。女性の購入金額は前年から171円減と微減していますが、一方で男性の購入金額は前年から917円増と、大きな伸びを見せました。
ネット予約が一般的に
サロンの予約方法は、インターネットの利用が一般的になっているいることがうかがえます。女性全体の過去一年のサロン予約方法で、電話予約は23.6%と年々減少傾向にあり、今後も減り続けると予想されます。
対して、インターネット予約は全体の半数以上が利用しており、年々増加傾向です。男性も電話予約は前年比-4.2%と減少傾向にある一方で、インターネットを利用した予約方法は増加。
また、「サロンの継続理由」においても、「ネット予約できる」が33.6%を占め1位となっていることから、今後も増えていくと考えられるでしょう。
美容室業界の課題と解決策
美容室は増え続けているものの、美容業界にはまだまだ課題が多いのが現状です。美容室業界が今後も発展していくために、解決すべき課題について整理し、解決策も見ていきましょう。
1. 競争の激化|サービスの差別化が必須
競合サロンとの競争が激化するなかで、差別化は生き残るためのカギです。サロンの魅力を高めるためには、提供するサービスを含めターゲット層やコンセプトなど、さまざまな点を他店と差別化し、独自の強みを打ち出すことが求められます。
たとえば、顧客のニーズに合わせたオーダーメイドの施術や、最新の美容技術を取り入れたサービスを提供することなどが挙げられるでしょう。
また、店販の強化も重要です。美容師の提案による高品質なヘアケア製品や、化粧品の販売を通して、客単価のアップを目指すことができます。
こういったサービスの強化により、顧客の満足度が向上しやすくなり、リピーターを増やすことにもつながるでしょう。
2. 労働環境の改善|人材育成に力を入れる
美容業界の大きな課題の一つに、人材不足があります。美容室の数が増加するものの、美容師の離職率は高い傾向にあり、とくに若手美容師の定着が難しいのが現状です。
スタイリストとして一人前になるまでに時間が必要ですが、その間のやりがいや給与面での不満がモチベーション低下を招きます。
たとえば、求人サイト「リジョブ」に掲載されている美容師の給料は、以下のとおりです。
アシスタント | 下限 | 上限 | 平均 |
正社員(月給) | 202,215円 | 265,489円 | 233,852円 |
スタイリスト | 下限 | 上限 | 平均 |
正社員(月給) | 231,753円 | 410,359円 | 321,056円 |
※2024年1月現在
このように、スタイリストと比較すると、アシスタントの給与水準は低いと言えるでしょう。これを改善するためには、明確なキャリアパスや目標設定をし、早期にスタイリストデビューができる環境を整えることが重要です。
また、適正な給与支払いと労働環境の見直しも、スタッフのモチベーション向上に寄与するでしょう。業務効率化や客単価の向上を図ることで、利益を上げ、労働に見合った対価を支払う仕組みを作ることが求められます。
3. 高齢化社会|シニア向けサービスを視野に
日本の高齢化社会が進むなか、シニア層に向けたサービスの強化も急務です。シニア世代は美容院に対しても特別なニーズを持っているからです。たとえば、髪の悩みに関する相談や、よりリラックスできる空間を提供することなどです。
また、手足の不自由な高齢のお客様には、バリアフリー設計やリクライニングチェアの導入など、快適に過ごせる施設づくりも重要です。
さらに、シニア向けのヘアスタイルやカラーリングの提案などを提供することも、リピータトにつながるポイントとなります。
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美容室業界の今後の展望は?
美容師は、技術職。AIに置き換わることはないといわれている職業のひとつで、今後も需要はあり続けると考えられます。
ただし、ここまで見てきたように美容室全体として取り組むべき課題があることも事実です。その課題のひとつに、理容師の数が減少しており、今後の後継者不足や人材不足といった懸念があります。
ホットペッパービューティーアカデミーの調査によると、メンズ美容の需要は伸びており、今後も高まると予想されています。そこで、男性向けのメニューを増やしたり、理容師免許とのダブルライセンスを取得したりするなど、男性客を取り込んでいくことが鍵となるでしょう。
また、ネット予約やキャッシュレス決済の導入は、業界の活性化に欠かせません。これに対応することが、美容室の競争力を高めるために重要です。
また、労働環境の改善も大きな課題です。労働条件の改善に取り組まない美容室は、人材確保が難しくなる可能性があり、業界全体での改善が求められます。そうなれば、より多くの美容師が働きやすい環境で働くことができ、業界全体が活性化するでしょう。
引用元
ホットペッパービューティーアカデミー|美容センサス データブック
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美容業界の市場規模は回復傾向!課題に取り組み業界の活性化をはかろう
美容業界は市場規模が横ばいかやや回復傾向にあり、今後さらに成長が期待できるでしょう。しかし、業界には人材不足や労働環境の改善といった課題もあります。こうした課題に取り組むことで、美容業界全体の活性化がより進むでしょう。
美容業界には、美容師以外にもさまざまな職種が存在します。たとえば、エステティシャンやネイリスト・アイリストなどです。
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